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10年ぶりの先発マウンドで対戦したのは、10年前と同じチーム

宇根夏樹ベースボール・ライター
タイラー・クリッパード(トロント・ブルージェイズ)Aug 2, 2018(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 8月2日、タイラー・クリッパード(トロント・ブルージェイズ)が10年ぶりに先発マウンドに上がった。2008年6月14日に先発登板した後、クリッパードはリリーフとして670試合に投げた。10年前はワシントン・ナショナルズの選手だったが、シアトル・マリナーズを相手にセーフコ・フィールドで投げるのは、前回も今回も同じだ。

 当時も今もマリナーズでプレーしている選手は、フェリックス・ヘルナンデスしかいない。クリッパードが先発した10年前の試合に、フェリックスは投げていない。「1番センター」として出場したイチローはマリナーズへ戻ってきたが、現在はプレーしておらず、今後復帰するかどうかもわからない。

 ただ、10年前の試合でクリッパードと対戦した打者9人のうち、「5番サード」のエイドリアン・ベルトレー(テキサス・レンジャーズ)をはじめとする4人は、今も現役選手だ。「2番セカンド」のホセ・ロペスと「7番ライト」のウラディミール・バレンティンは、それぞれ、横浜DeNAベイスターズと東京ヤクルト・スワローズにいる。「9番ショート」のユニエスキー・ベタンコート――2014年にオリックス・バファローズで18試合に出場――は、メキシカン・リーグでプレーしている。

 一方、この試合に出場したナショナルズの選手で、プレーを続けているのはクリッパードだけのようだ。

 ちなみに、日本プロ野球を経験したのは2人。「3番センター」のラスティングス・ミレッジは東京ヤクルト(2012~15年)、「8番DH」のウィリー・モー・ペーニャは福岡ソフトバンク・ホークス(2012~13年)、オリックス(2014年)、東北楽天ゴールデンイーグルス(2015年)、千葉ロッテ・マリーンズ(2017年)でプレーした。

 また、今シーズンからニューヨーク・ヤンキースで監督を務めているアーロン・ブーンは、8回裏から一塁を守った。ブーンの選手としてのキャリアは、この翌年が最後だ。

 なお、クリッパードは救援から先発に再転向するわけではない。今回の役割は、あくまでも「オープナー」だ。1回裏に2ラン本塁打を打たれたとはいえ、この作戦は功を奏した。2回裏から登板したマイク・ホスチャイルドは、最初に8番打者と対戦し、そこから6イニングを無失点に抑えた。試合は7対3でブルージェイズが勝利を収め、ホスチャイルドはメジャーリーグで初めての白星を手にした。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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