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「負けるのにはもう飽きた」――違うチームのスーパースターが相次いで同じ発言。これを一挙に解決するには

宇根夏樹ベースボール・ライター
ノーラン・アレナード(コロラド・ロッキーズ)Jun 29, 2018(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 コロラド・ロッキーズのノーラン・アレナードは、6月29日にニック・グローク(The Athletic)が発表した記事のなかで「ボールパークへやってきて、負けるのにはもう飽きた」とコメントしている。一方、ニューヨーク・メッツのジェイコブ・デグロムは、その翌日に「イライラしている。負けるのにはもう飽きた、正直に言うと」と語ったという。こちらは、アンソニー・ディコモ(MLB.com)がツイートした。

 アレナードもデグロムも、それぞれのチームのベスト・プレーヤーだ。アレナードは過去3年に2度、本塁打王&打点王を獲得し、今シーズンもリーグ最多タイの21本塁打を放っている。三塁の守備も優れ、ゴールドグラブは5年連続だ。デグロムは過去3年に2度、サイ・ヤング賞の投票で8位以内に入り、今シーズンはリーグ1位の防御率1.84を記録している。

 現在、ロッキーズ(ナ・リーグ西地区)とメッツ(ナ・リーグ東地区)は負け越していて、両チームとも地区4位にいる。

 ただ、ロッキーズは地区首位まで5.5ゲーム差、ワイルドカード2枠目までは4.5ゲーム差に位置する。メッツはそのどちらからも、11.5ゲームも離されている。「負けるのにはもう飽きた」という発言は同じでも、アレナードが求めているのはトレードによるチームの補強で、デグロムが望んでいるのはトレードによる自身の放出だろう。

 今シーズンに限ったことではないが、ロッキーズは「打高投低」が著しい。ロッキーズがデグロムを獲得すれば、それによる最終的な結果はさておき、アレナードとデグロムの望みは同時に叶えられる。

 交換条件さえよければ、メッツはデグロム(やノア・シンダーガード)を他チームへ手放してもいいと考えているらしい。けれども、ロッキーズは微妙なポジションにいる。ここからもアレナードをうんざりさせる試合が続くようだと、今夏のトレード市場では「買い手」ではなくメッツと同じ「売り手」に回り、シーズン終了後にFAとなるDJ・ラメイヒューアダム・オッタビーノを放出することになりそうだ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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