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1点差試合の記録。マリナーズが塗り替えそうなのはシーズン最高勝率ではなく最多勝

宇根夏樹ベースボール・ライター
左からB.ギャメル、D.スパン、D.ゴードン Jun 15, 2018(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 6月15日、シアトル・マリナーズは7対6でボストン・レッドソックスを下した。またしても1点差の勝利だ。これで22勝目。スタッツ社によると、開幕70試合の時点では史上最多だという。マリナーズは70試合を終えて45勝25敗(勝率.643)。そのうち、45.7%の32試合が1点差で、22勝10敗(.688)を記録している。

 ベースボール・リファレンスで1点差試合のシーズン記録を調べてみたところ、1901年以降の最多試合は1971年にヒューストン・アストロズが記録した75試合(32勝43敗/.427)、最多勝は1978年にサンフランシスコ・ジャイアンツが挙げた42勝(68試合/26敗/.618)、最高勝率は2016年にテキサス・レンジャーズが記録した.766(47試合/36勝11敗)だった。

 最多敗は1968年にシカゴ・ホワイトソックスが喫した44敗(74試合/30勝/.405)、最低勝率は1935年にボストン・ブレーブスが記録した.184(38試合/7勝31敗)だ。

 今シーズンのマリナーズは、このままのペースだと勝利数の新記録を樹立する。162試合の45.7%であれば1点差は74.0試合、そこで勝率.688を記録すると50.9勝となる。勝率は、今シーズンに限っても1位ではない。ニューヨーク・ヤンキースの.750(16試合/12勝4敗)が最も高く、マリナーズの上に4チームが並んでいる。

 ちなみに、今シーズンの最多敗はタンパベイ・レイズの18敗(28試合/10勝/.357)、最低勝率はミネソタ・ツインズの.188(16試合/3勝13敗)だ。

 それにしても、今シーズンのマリナーズは1点差試合が多い。5月20日から26日にかけては、6試合続けて1点差で勝負がつき、マリナーズは5勝を挙げた。

 マリナーズがここまでに挙げている1点差試合の22勝を、試合の最後に点が入ったイニング――どちらかのチームの得点(失点)によって最終的なスコアとなったイニング――によって分けると、17試合はビハインドあるいは0対0を含む同点から1点リードし、5試合はリードを縮められて1点差に迫られながら逃げきった。

 一方、1点差試合の10敗中、4試合はリードあるいは同点から相手に1点リードされ、6試合は1点差まで迫ったものの追いつけなかった。

 1点差試合の多さは、得点と失点が均衡しているからだろう。マリナーズの得失点差は、30チーム中12位の+27だ。プラスかマイナスを問わず、マリナーズよりも得失点差の大きいチームは21を数える。ただ、1点差試合の白星の多さについては、過去のチームを含めても、理由を明確に説明できるデータは見当たらず、運の要素も大きいと思われる。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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