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夢を叶えた35歳のベテラン捕手。13年目にして初めて遊撃を守る

宇根夏樹ベースボール・ライター
ラッセル・マーティン(トロント・ブルージェイズ)Apr 1, 2018(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 5月15日、7回裏までマスクをかぶって投球を受けていたラッセル・マーティン(トロント・ブルージェイズ)が、8回裏に遊撃へ移った。

 マーティンはメジャーリーグ13年目、35歳のベテランだ。プロ入り当初は内野手で、メジャーリーグでも捕手の他に、三塁、二塁、ライトを守った経験を持つが、遊撃のポジションについたことはなかった。マイナーリーグで遊撃を守ったのも、プロ1年目の19歳、それも1試合に過ぎない。

 5年前、マーティンは遊撃手としてWBCに出場することを希望した。だが、当時所属していたピッツバーグ・パイレーツは、それに対して難色を示した。パイレーツは前年11月に2年1700万ドルを投じ、マーティンを迎え入れたばかりだった。結局、マーティンはカナダ代表入りを辞退し、そのことで批判も浴びた。また、昨年はブルージェイズが遊撃出場を容認する意向を(本心はともかく)示したものの、左膝の手術直後とあって、またしてもWBC出場を取りやめた。

 この日、ブルージェイズは8回表が終わった時点で2対9と大差をつけられており、野手登板に似た形で、ジェイ・ギボンズ監督がマーティンの夢を実現させた。ただ、守備機会はなし。マーティンが遊撃手として出場する機会は、再び訪れるのだろうか。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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