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バットが折れても打球はスタンドへ。「ミスター・エイプリル」の本塁打は早くも8本目。4月の新記録も!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
ハウイ・ケンドリック(左)とブライス・ハーパー Apr 7, 2018(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 33.5インチのバットは真っ二つに折れ、手元には数インチしか残らなかった。にもかかわらず、打球はライトのフェンスを越えていった。4月16日、ブライス・ハーパー(ワシントン・ナショナルズ)が両リーグ・トップとなるシーズン8本目のホームランを放った。本塁打のみならず、21四球とOPS1.265も両リーグ1位。17打点も、ジェド・ラウリー(オークランド・アスレティックス)と並んで最も多い。

 ハーパーの「ミスター・エイプリル」は、今に始まったことではない。そこには、ニューヨーク・ヤンキースのオーナーだったジョージ・スタインブレナーがデーブ・ウィンフィールドを「ミスター・メイ」と呼んだような、揶揄する意味合いは微塵もない。ハーパーは過去3年のうち2度、シーズンOPS1.000以上を記録している。どの月も、通算OPS(2012~17年)は.820を超える(4月は3月を含み、9月は10月を含む)。それでも、4月の1.068は群を抜く。他に1.000以上の月はない。また、ハーパーの月間最多ホームランは2015年5月の13本だが、通算では4月(33本)が5月(30本)を凌ぐ。

 4月を終えた時点の最多ホームランは、2006年にアルバート・プーホルス(現ロサンゼルス・エンジェルス)、2007年にアレックス・ロドリゲスが記録した14本だ。ハーパーは開幕17試合で8本塁打を打っていて、ナショナルズは4月末までにあと12試合を行う。ここまでのペースからすると、プーホルスとA-RODの14本塁打にはわずかに届かないが、バットを折られながらもスタンドへ運ぶパワーがあるだけに、もしかしたらと思わずにはいられない。少なくとも、4月の自己最多である9本塁打(2013年、2016年、2017年)を上回ることは間違いなさそうだ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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