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大谷翔平と同じくデビュー4試合中3試合でホームランを打ちながら、その後は2本塁打に終わった選手がいた

宇根夏樹ベースボール・ライター
トレント・オルチェン(左端)/2017年WBC MAR 8, 2017(写真:中西祐介/アフロスポーツ)

 大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)は、メジャーデビューからの4試合中3試合でホームランを打った。MLBパイプラインによると、これは史上6人目のことだ。

 2005年にマイク・ジェイコブス(ニューヨーク・メッツ)、2009年にトレント・オルチェン(アリゾナ・ダイヤモンドバックス)、2012年にヨエニス・セスペデス(オークランド・アスレティックス)、2016年にトレイ・マンシーニ(ボルティモア・オリオールズ)とトレバー・ストーリー(コロラド・ロッキーズ)が記録したという。大谷は野手出場4試合、ストーリーがホームランを打ったのは「大谷翔平の連続ホームラン試合はどこまで続く。日本時代の自己最長まで伸ばせばMLBのルーキー記録に並ぶ」でも書いたとおり、4試合中4試合だ。

 最近の選手ばかりなので、本当にこれだけしかいないのか、にわかには信じ難い。だが、この6人に関しては、調べてみたところ、確かにそうだった。ホームランがなかったのは、大谷とセスペデスが1試合目、ジェイコブス、オルチェン、マンシーニは2試合目。過去の5人とも、5試合目はホームランを打っていない(大谷はこれから)。また、セスペデス、ストーリー、大谷は開幕戦でデビューしたが、他の3人は8月以降だった。セスペデスは東京ドームでデビューし、東京ドームで初本塁打を打った。

 大谷の前に記録した5人のうち、ストーリーとマンシーニは今も同じチームにいる。昨シーズンは2人とも、同数の24本塁打を放った。セスペデスは現在のニューヨーク・メッツが4球団目だが、ジャーニーマンというわけではない。これまで、シーズン20本塁打に届かなかったのは、故障に泣かされた昨年だけ。2015~2016年は続けて30本塁打をクリアし、4年1億1000万ドルの大型契約も手にした。現在はマイアミ・マーリンズ傘下のA-、バタビア・マックドッグスで監督を務めるジェイコブスも、2006年に20本塁打、2008年は32本塁打を放った。

 ただ、オルチェンだけは違った。デビュー5試合目は二塁打と三塁打を含む4安打ながら、勢いはそこまで。結局、メジャーリーグ3年間で99試合に出場し、打率.220、出塁率.299。ホームランは5本にとどまった。2011年8月に打った5本目は、ランニング本塁打だった。

 もともと、オルチェンはパワー・ヒッターではなかった。マイナーリーグを合わせても、15本塁打以上の年は皆無。それに対し、20盗塁以上は7度を数えた。メジャーリーグでは通算9盗塁を決め、失敗は1度しかなかった。

 2015年1月、母国オーストラリアのリーグでプレーしていたオルチェンは、選手生活を終えることを発表した。その後、復帰してオーストラリアのリーグとアメリカの独立リーグでプレーし、昨年のWBCにも出場したが、再びメジャーリーグへ戻ってくることはないだろう。

 オルチェンは現在、同じくシドニー出身のライアン・ローランド-スミスとともに「ネクストジェン・ベースボール(NxtGen Baseball)」という会社を運営し、子供や若者たちを指導している。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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