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こんな「ブルペン・カート」にも復活してほしい!! ダイヤモンドバックス以外の各球団はぜひ検討を

宇根夏樹ベースボール・ライター
ブルペンからマウンドへ向かうマリアーノ・リベラ SEP 26, 2013(写真:ロイター/アフロ)

 今シーズンより、アリゾナ・ダイヤモンドバックスはブルペン・カートを導入する。ちなみに、「Dバックスのブルペン・カート」という点では、復活ではない。メジャーリーグには、1950年(クリーブランド・インディアンズ)から1995年(ミルウォーキー・ブルワーズ)まで、ブルペン・カートあるいはそれに類する乗り物が存在したが、Dバックスは1998年に誕生した。

 アーチー・ブラッドリーが早速乗っているブルペン・カートは、ゴルフ・カートをカスタマイズしたものだ。キャップ/ヘルメットとボールを組み合わせたデザインも含め、かつてスタンダードだったブルペン・カートとよく似ている。

 ただ、過去には、こんな乗り物でブルペンからマウンドへやってきた投手もいた。

 ニューヨーク・ヤンキースなどは、リリーフ投手を運ぶのに本物の自動車を使った。ヤンキースのブルペン・カーは、トヨタのセリカ。白のボディにピンストライプが入っていた。

 ミルウォーキー・ブルワーズのリリーフ投手は、ハーレー・ダビッドソンのサイドカーに乗った。ミルウォーキーには、ハーレー・ダビッドソンの本社がある。

 わずか1試合だが、カンザスシティ・アスレティックスの投手はラバに乗ってマウンドへ向かった。もちろん、当時のオーナーだったチャーリー・O・フィンリーのアイデアだ。

 シアトル・マリナーズのホーム・ゲームでは、「タグ・ボート」に乗ってマリナー(船員)が登場した。

 ブルペン・カートが試合時間の短縮につながるかどうかはわからないが、こういったバリエーションは、目にするだけでも愉しい。Dバックス以外に導入もしくは復活を考えている球団があるなら、検討してもらえないだろうか。

 シカゴ・カブスであれば、映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』に出てくるタイムマシン、デロリアンがいい。2016年のワールドシリーズ優勝は、1989年に公開されたシリーズ2作目の「予言」とたった1年しか違わなかった。デトロイト・タイガースの場合、モータウンに本拠地を置くだけに、どの自動車にするか迷うところだが、ア・リーグ創設時からの古豪ということを踏まえ、T型フォード(フォード・モデルT)を推したい。

 一方、絶対にないのは、サンフランシスコ・ジャイアンツのダート・バイクだろう。1人乗りというだけではない。昨年、エースのマディソン・バムガーナーはダート・バイクで転倒し、3ヵ月近く欠場した。また、インディアンズのトレバー・バウアーはドローンを持っているが、当然ながら人は運べない。

 

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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