FAの外野手には、イチローと似たタイプがまだ残る。左打者でセンターを守れて、年齢は10歳以上も若い
開幕まで1ヵ月を切ったが、今オフのFA市場は動きが鈍く、少なからぬ選手が契約できずにいる。外野手に限っても、昨シーズンに200打席以上を記録した7人が、まだFAのままだ。彼らの他に、ジョン・ジェイソとマット・ホリデイもいるが、ジェイソは引退する可能性が高く、ホリデイは昨シーズン、一度も外野を守らなかった。
なかでも、ホゼ・バティスタは過去8年間に272本のホームランを打っている。この本数は、ポジションを問わず、2010年代の全メジャーリーガー最多だ。また、バティスタほどでないが、メルキー・カブレラが2010年代に記録した1268安打と254二塁打は、どちらも全選手の12位にランクインする。
ただ、表に出ている7人のうち、昨シーズンのホームランが10本以上の5人は、少なくとも3年間、センターを守っていない。それに対し、ジョン・ジェイとイチローの2人は、昨シーズン、外野3ポジションの守備についた。ジェイは守備イニングの40%以上、イチローは約25%がセンターだった。ジェイとイチローは、左打者という点も共通する。
ジェイは3月15日に33歳を迎える。イチローは44歳だ。昨シーズンだけでなく、過去3年間の打撃成績も、ジェイはイチローを上回る。スラッシュライン(打率/出塁率/長打率)は、ジェイが.275/.346/.354、イチローは.256/.315/.325だ。ホームランはともに5本。1052打席と1018打席なので、サンプル数はほとんど変わらない。
こういったことからすると、センターを守れる外野手を必要とする球団――これから故障者が発生してそうなる球団を含む――があったとしても、イチローよりもジェイを欲しがるのではないだろうか。