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トレード・デッドラインを過ぎても、補強はできる。8月のトレードを簡単に説明すると…

宇根夏樹ベースボール・ライター
M.ゼプチンスキーは昨年8月にA’sからナショナルズへ Oct 9, 2016(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 7月31日のトレード・デッドラインが過ぎても、トレードはできる。ただ、それまでとは違い、40人ロースターに入っている選手のトレードには、ウェーバーという段階を経る必要がある。

 ウェーバーには、権利放棄の意味がある。球団が、契約している選手の保有権を放棄するということだ。

 まず、球団が選手をウェーバーにかける。すると、その後はこう動いていく。

(1)どの球団からも獲得の申し出がなかった場合

 ウェーバー公示期間が過ぎれば、球団はデッドラインまでと同じように(ウェーバーを経由することなく)その選手のトレードを行うことができる。

(2)1球団が獲得を申し出た場合

 ウェーバーにかけた球団には、3つの選択肢がある。(A)ウェーバーを取り消し、選手をそのまま保有する。(B)獲得を申し出た球団に選手を譲り、残っている契約を引き継がせる。(C)獲得を申し出た球団と交渉を行い、トレードの交換条件を決める。

(3)複数の球団が獲得を申し出た場合

 獲得を申し出た数球団のうち、交渉できるのは1球団だけだ。その権利は、ウェーバーにかけた球団と同じリーグに所属し、今シーズンの勝率がより低い球団に与えられる。同じリーグの球団から獲得の申し出がなければ、異なるリーグのなかでより勝率の低い球団が権利を持つ。その後は(2)と同じだ。

(4)その他の留意事項

 トレード拒否権を持つ選手は、それを行使できる。また、9月1日以降に獲得した選手は、ポストシーズンに出場することができない。選手をポストシーズンで起用するためには、8月中に手に入れる必要がある。

 8月はまだ始まったばかり。トレードはこれからも起きるはずだ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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