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【2015年に引退したメジャーリーガーたち/先発投手編】「幻の完全試合」を演じた右腕もマウンドに別れ

宇根夏樹ベースボール・ライター
アーマンド・ガララーガ March 8, 2009 WBC(写真:ロイター/アフロ)

どんなスーパースターであろうと、永遠にプレーすることはできず、キャリアに終止符を打つ日は訪れる。2015年のシーズン開幕以降に引退した、先発投手たちの足跡を振り返ってみた。

アーマンド・ガララーガ

RHP 33歳 MLB6年(2007-2012)

100試合 542.0回 26勝34敗0セーブ 防御率4.78

2008~10年にデトロイト・タイガースの先発投手として投げ、2010年に「幻の完全試合」で一躍有名になった。誤審をしたジム・ジョイスとともに、著書「ノーバディズ・パーフェクト」も出版した。今シーズンはメキシカンリーグで10試合に先発。デトロイト・フリー・プレスのジョージ・シップルによれば、ガララーガは引退の理由に肘の故障を挙げ、今後はマイナーリーグで投手コーチをしたいと考えているという。

ティム・ハドソン

RHP 40歳 MLB17年(1999-2015)

482試合 3126.2回 222勝133敗0セーブ 防御率3.49

9月上旬に通算221勝目を挙げた直後、今シーズン限りで引退する意向を明かした。「ビッグ3」の一人だったオークランド・アスレティックス時代よりも、アトランタ・ブレーブスで過ごした期間の方が長い。ステップの広いフォームからシンカーを投げ込み、多くのゴロを打たせた。2014年にサンフランシスコ・ジャイアンツでワールドシリーズ優勝を経験。それまでのポストシーズンは、6度ともディビジョン・シリーズで敗退していた。

バリー・ジート

LHP 37歳 MLB15年(2000-2015)

433試合 2576.2回 165勝143敗0セーブ 防御率4.04

ティム・ハドソン、マーク・マルダーとともにオークランド・アスレティックスで「ビッグ3」を形成し、2002年にサイ・ヤング賞を受賞した。決め球はカーブ。昨シーズンは無所属のまま過ごしたが、今シーズンはアスレティックス傘下のAAAで投げ、ハドソンが引退を表明したのに引っ張られる形で、メジャーリーグへ昇格した。最初で最後となったハドソンとの投げ合いを含め、3試合に登板した。

A.J.バーネット

RHP 38歳 MLB17年(1999-2015)

435試合 2731.1回 164勝157敗0セーブ 防御率3.99

2014年にフィラデルフィア・フィリーズで投げ、相互オプションだった2015年の1500万ドルを互いに却下した後、選手オプションの1275万ドルも破棄してFAに。ラストイヤーとして、2012~13年を過ごしたピッツバーグ・パイレーツを選び、850万ドルで契約した。今シーズンの防御率3.18はキャリアベスト。初めてオールスター・ゲームにも選ばれた。速球とパワーカーブを主体とする本格派で、通算2513奪三振は歴代31位、奪三振率8.28は1000イニング以上の36位、161暴投は26位タイ。2001年には9四球を与えながらノーヒッターを達成した。

ダン・ヘイレン

RHP 35歳 MLB13年(2003-2015)

391試合 2419.2回 153勝131敗1セーブ 防御率3.75

制球に優れ、通算K/BB4.03は1000イニング以上の歴代7位。2005年以降は11年続けて30試合以上に先発した。7月末に移籍したシカゴ・カブスでつけた背番号「50」は、2003年にセントルイス・カーディナルスでメジャーデビューした当時と同じ。ポストシーズンでの登板に意欲を示していたものの、ロースターに入れず、カブスが敗退すると「ありがとうベースボール。この素晴らしいゲームを30年プレーしてきた。今夜、ジャージを脱いだのが最後だ。光栄に思う」とツイートした。

ブルース・チェン

LHP 38歳 MLB17年(1998-2015)

400試合 1532.0回 82勝81敗1セーブ 防御率4.62

通算1532.0イニングと227先発はパナマ出身では最も多く、82勝もマリアーノ・リベラと並ぶ最多。1990年代の終盤にトップ・プロスペクトとして期待されていたことからすれば物足りなさも感じるが、息は長く、メジャーリーグの11チームで投げた。5月半ばにクリーブランド・インディアンスのロースターから外され、引退を決意。数日後に「本日、引退を発表したい。22年間、好きなことを仕事にしてきた。恵まれていたし、幸運だったと思う」とツイートした。

エリック・ベダード

LHP 36歳 MLB11年(2002-2014)

241試合 1303.2回 71勝82敗1セーブ 防御率3.99

2007年にボルティモア・オリオールズでリーグベストの奪三振率10.93を記録したが、故障が多く、規定投球回をクリアしたのは、この年と前年の2度しかなかった。今シーズンはロサンゼルス・ドジャースとマイナー契約を交わしたが、開幕前に故障に見舞われ、5月下旬から傘下のA+で3登板したところで引退を決めた。2008年2月のトレードでは、ベダード1人と交換に5人がシアトル・マリナーズからオリオールズへ移り、そのなかにはブレイク前のアダム・ジョーンズがいた。

ジェフ・フランシス

LHP 34歳 MLB11年(2004-2015)

254試合 1291.0回 72勝82敗1セーブ 防御率4.97

2002年のドラフトでコロラド・ロッキーズから全体9位指名を受け、2005年から3年続けて180イニング以上を投げた。ロッキーズで記録した185先発と1066.0イニングは球団2位、64勝は3位、742奪三振は4位。2007年にロッキーズが初めてワールドシリーズに進出した時は、第1戦の先発マウンドに立った。

ジェフ・カーステンス

RHP 32歳 MLB7年(2006-2012)

138試合 592.1回 26勝40敗0セーブ 防御率4.44

痩身で制球が良く、2011年にピッツバーグ・パイレーツでリーグ4位の与四球率1.83を記録した。規定投球回に達したのはこの年だけ。2013年のシーズン序盤に肩の手術を受け、オフにFAに。今年5月、インスタグラムにスパイクを吊るした写真をアップし、引退を発表した。

このオフにマウンドを去るのは、ここに挙げた選手だけではないだろう。引退を宣言せずとも、契約先が見つからずにそのままフェードアウトする選手も少なくない。また、トロント・サンのボブ・エリオットによれば、マーク・バーリーは故郷に本拠を置くセントルイス・カーディナルスで投げるか、そうでなければ引退するつもりだという。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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