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ドジャースが迷走? 監督は去り、グレインキーとは再契約できず、チャップマン獲得は白紙に。そして岩隈も

宇根夏樹ベースボール・ライター
ザック・グレインキーとドン・マッティングリー October 15, 2015(写真:USA TODAY Sports/アフロ)

ドン・マッティングリー監督のロサンゼルス・ドジャース退団には、奥歯に物が挟まったような感があった。解任でも辞任でもない。ベースボール運営部門の長を務めるアンドルー・フリードマンは、ディビジョン・シリーズ敗退から1週間後の会見で「互いに違う道を歩むことになった」と説明した。マッティングリーとドジャースが交わした3年契約は、あと1年残っていた。ドジャースを去ったマッティングリーはマイアミ・マーリンズの監督に就任し、ドジャースは後任の監督にサンディエゴ・パドレスのベンチコーチだったデーブ・ロバーツを据えた。

続いて、ドジャースはザック・グレインキーとの再契約に失敗した。オプト・アウトの権利を持つグレインキーは、ドジャースと結んでいた6年1億4700万ドルのうち、残りの3年7100万ドルを破棄してFAに。争奪戦はドジャースとサンフランシスコ・ジャイアンツの一騎打ちと見られていて、ドジャースが6年2億1000万ドルを提示するのではという報道もあったが、どうやらそうはしなかったらしい。グレインキーは6年2億650万ドルでアリゾナ・ダイヤモンドバックスに入団した。ちなみに、年平均3441万6666ドルは史上最高額だ。

シンシナティ・レッズからアロルディス・チャップマンを獲得するトレードは、白紙に戻った。最初にトレードを報じたFOXスポーツのケン・ローゼンタールによれば、両チームは合意に達し、ドジャースが放出するのはプロスペクトの2選手だったという。締結に至らなかった理由は、チャップマンが10月末に起こしたドメスティック・バイオレンスだ。MLB機構に出場停止処分を科されれば、その間は投げられないだけでなく、FAとなるのが、来シーズン終了後から2017年のオフにずれ込む可能性も出てくる。そうなれば、トレードの交換条件も違ってくる。レッズはチャップマンを放出する方針を変えていないようだが、相手がドジャースになるのかどうかはわからない。

さらに、岩隈久志との契約も成立しなかった。ドジャースと岩隈は3年4500万ドルで合意したものの、身体検査で問題が見つかったという。結局、岩隈はシアトル・マリナーズと再契約を交わした。マリナーズは「クマは2017年と2018年の相互オプションがついている2016年の契約にサインした」とツイートした。

今のところ、オフに入ってからドジャースが手に入れたビッグネームはいない。トッド・フレイジャーがレッズからシカゴ・ホワイトソックスへ移ったトレードに絡んだが、ドジャースが得たのは2015年にメジャーデビューした若手3人だ。いずれも来シーズンの戦力にはなるだろうが、主力としての計算はまだ立てにくい。他の(成立した)動きも、ブレット・アンダーソンがクオリファイング・オファーを受け入れたのと、チェイス・アトリーと1年700万ドルで再契約したのが目につく程度だ。アトリーはビッグネームだが、全盛期はとうに過ぎている。

一方、ドジャースと同地区のダイヤモンドバックスとジャイアンツは、先発投手陣に大きな補強を施した。ダイヤモンドバックスはグレインキーとの契約にとどまらず、アトランタ・ブレーブスからシェルビー・ミラーを獲得した。ジャイアンツは5年9000万ドルでジェフ・サマージャと契約したのに続き、6年1億1300万ドルでジョニー・クエイトも手に入れた。サマージャとクエイトの2人には、グレインキーを逃したドジャースが狙っているとの噂も出ていた。

とはいえ、ドジャースの地区4連覇に赤信号が点灯したと考えるのは、まだ早い。エイドリアン・ゴンザレスを中心とする打線はほとんど変わっておらず、エースにクレイトン・カーショウを擁する先発ローテーションは、リュ・ヒョンジン(柳賢振)が復帰すれば4番手までが埋まり、クローザーにはケンリー・ジャンセンがいる。このまま補強がなくとも、ペナントレースを争うことはできるだろう。

しかも、ストーブリーグはまだ終わっていない。先発投手に限っても、FAマーケットにはスコット・キャズミアーチェン・ウェイン(陳偉殷)、マイク・リークイアン・ケネディらが残っていて、前田健太もいる。フリードマンの前職がタンパベイ・レイズのGMだったことも忘れてはならない。GM在任9年間で4度のポストシーズン進出は、ジョー・マッドン監督(現シカゴ・カブス)の采配とともに、フリードマンの手腕があったからだ。ドジャースと違って資金の乏しいレイズにおいて、フリードマンはニューヨーク・ヤンキースやボストン・レッドソックスと渡り合えるチームを作ってきた。CBSスポーツのジョン・ヘイマンによれば、ドジャースは現在、レイズとジェイク・オドリッジのトレードについて話し合っているという。

オドリッジは25歳の右投手だ。ここ2年とも規定投球回をクリアし、防御率は4.13と3.35、奪三振率は9.32と7.97を記録している。フリードマンは3年前、ジェームズ・シールズら3選手をカンザスシティ・ロイヤルズへ放出し、オドリッジら4選手を獲得した。また、5年前にオドリッジら4選手がミルウォーキー・ブルワーズからロイヤルズへ移った時、交換にブルワーズへ移籍したのは、ユニエスキー・ベタンコートとグレインキーだった。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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