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トレードでパイレーツを去った選手が、12年後のまったく同じ日にパイレーツへ戻ってきた

宇根夏樹ベースボール・ライター
アラミス・ラミレス(ピッツバーグ・パイレーツ/前回在籍時)(写真:ロイター/アフロ)

12年の時を経て、アラミス・ラミレスがピッツバーグ・パイレーツへ戻ってきた。それも、12年前とまったく同じ日に。

今回、パイレーツとミルウォーキー・ブルワーズの間で、ラミレスのトレードが成立したのは7月23日。ラミレスが2003年にケニー・ロフトンとともにパイレーツからシカゴ・カブスへ移ったのも、7月23日だった。

自ら選んだわけではないが、ラミレスはキャリアをスタートさせたチームに戻って、選手生活の最後を過ごす。ラミレスは2月に、今シーズンを最後にユニフォームを脱ぐ意志を明かしている。

メジャーリーグ18年目のラミレスは、パイレーツ、カブス、ブルワーズ――背番号はずっと「16」――の選手としてプレーしてきた。いずれも、ナ・リーグ中地区のチームだ。

ナ・リーグとア・リーグがそれぞれ東西2地区から3地区に移行した1994年以降に、ラミレスより多くの本塁打を放った選手は20人以上いるが、ナ・リーグに限れば、ラミレスの380本塁打は7位に位置する。さらに、ナ・リーグ中地区に絞ると、サミー・ソーサ(504本)、アルバート・プーホルス(445本)、ジェフ・バグウェル(396本)に次ぐ。この3人の本塁打は、いずれもナ・リーグ中地区の1チームで打ったものだ。ナ・リーグ中地区の複数のチームでプレーし、この地区においてラミレスを上回る本塁打を記録している選手は存在しない。

また、ラミレスの2138試合と1384打点は、ナ・リーグ中地区の最多。2255安打と482二塁打は、バグウェルと同じくヒューストン・アストロズ一筋にプレーしたクレイグ・ビジオ(2261安打と521二塁打)に次ぐ。ラミレスが安打でビジオを追い抜くのは、まず間違いない。もし、ナ・リーグ中地区の殿堂なるものが存在するなら、ラミレスはそこに迎え入れられるだろう。

それは妄想にしても、今回のトレードによって、ラミレスにはワールドシリーズの舞台に立つチャンスが巡ってきた。ラミレスはカブス時代に3度――2003年、2007年、2008年にポストシーズンを経験しているが、ワールドシリーズまで勝ち進んだことはない。パイレーツが1979年以来のワールドシリーズ出場を果たせば、ラミレスにとっては有終の美となる。

ただ、3地区制となった後に開催されたワールドシリーズに、ナ・リーグ東地区のチームは8度、ナ・リーグ西地区は7度出場しているのに対し、ナ・リーグ中地区は5度と少ない。しかも、その内訳はセントルイス・カーディナルスが4度、アストロズが1度で、ラミレスが在籍した3チームは含まれていない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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