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この夏のトレードで最もお買い得だったのは、カーディナルスがレッドソックスから獲得したジョン・ラッキー

宇根夏樹ベースボール・ライター

2014年の夏に移籍した選手のうち、獲得した球団にとって最もお買い得だったのは誰か?

さまざまな見方があるだろうが、2015年の年俸という観点からすると、ジョン・ラッキーということになるだろう。

ラッキーはトレード・デッドライン当日の7月31日に、ボストン・レッドソックスからセントルイス・カーディナルスへ移籍した。このトレードでは、ラッキーとA+にいたコリー・リットレル、そして175万ドルと交換に、アレン・クレイグとジョー・ケリーがレッドソックスへ移った。

2009年のオフにラッキーとレッドソックスが交わした5年8250万ドルの契約には、次のような付帯事項がある。2010年から2014年の間に肘の故障を再発させて手術を受け、かなりの時期を離脱した場合、2015年はメジャーリーグ最低保障年俸の球団オプションとなる――。

ラッキーは2011年11月にトミー・ジョン手術――他の部位から肘に腱を移植して、損傷あるいは断裂している靭帯を再生する手術――を受け、2012年を全休した。2015年の最低保障年俸は50万ドルで、2014年のラッキーの年俸は1525万ドルだ。2006年の年俸と比べても、6分の1に過ぎない。

2015年の開幕をラッキーは36歳で迎える。それでも、ここ2年とも3点台半ばの防御率を残していて、2013年は189.1回を投げ、2014年は200イニングに到達するペースだ。カーディナルスが2015年のオプションを行使しない理由は、どこにも見つからない。

ラッキーにすれば、2014年限りで引退するという手もある。すでにワールドチャンピオンは2度経験し、そのどちらにおいてもワールドシリーズ最終戦の勝利投手になっている。あと1勝に迫っている通算150勝も、まず確実なところだろう。

だが、MLB.comでカーディナルスをカバーしているジェニファー・ランガッシュがツイートしているように、ラッキーは最低保障年俸で投げるつもりだという。どの球団でも喜んで投げるというわけではないが、カーディナルスならば文句はないらしい。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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