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愛子さまの「海外留学」はどうなる? 「いつから」「期間は」 ヒントは「両陛下の留学経験」

つげのり子放送作家、ノンフィクション作家(テーマ:皇室)
天皇ご一家(写真:毎日新聞社/アフロ)

最近、週刊誌やネットの記事で愛子さまの海外留学に関するものが増えている。その内容に「愛子さま留学断念」や「留学延期」など、否定的なものを目にしたが、本当にそうなのだろうか。

留学に関しての皇室の前例や天皇皇后両陛下のこれまでの言動などを総合的に判断すれば、愛子さまが留学されないことはまずありえないと思うのだが……。

◆大学院進学後、時期を見て留学する可能性

父である天皇陛下は、昭和57年3月に学習院大学を卒業した翌月、学習院大学大学院に進学された。大学院で1年あまり研究を行った後、昭和58年10月にイギリス・オックスフォード大学に留学されている。

なぜ陛下は大学を卒業してすぐに留学されなかったのかと、素朴な疑問が浮かぶ。その理由は、当時、上皇さまが記者会見で、留学の意義を次のように話されたことから伺える。

「(浩宮が)成年に達したのは大学在学中ですけれども、大学を出て今年になってから、やはり皇族としての活動も多くなっているわけです。そういう経験を持っていれば、外国で同じような立場の人に接した時など、よりよく自分の経験を通して話し合える。お互いを理解するのではないかというふうに思っています。

そしてまた、研究の方も、大学を出て、ある程度大学院での研究によって、自分が外国でどういうことを研究するのが一番意味があるか、という方向をつかめてくるのではというふうに考えています」

(昭和57年8月9日、当時の皇太子ご夫妻(現上皇ご夫妻)記者会見 『新天皇家の自画像 記者会見全記録』より)

愛子さまの場合も同じ考えのもとに進めるならば、海外留学は大学を卒業する来年ではなく、陛下のように大学院に1年あまり通われ、公務にも参加される再来年の秋ではないかと予想できる。

特に愛子さまの場合、コロナ禍で通常の大学生活を過ごせる期間が短かったため、大学院に進学してお友達を増やしたり、議論したりなどの時間をもう少し作るという考えもあるだろう。

両陛下ともにご留学経験があるだけに、若い頃に海外で生活されることは、とても得るものが多く、その後の人生に良い影響を与えてくれることはよくご存じだ。

天皇皇后両陛下(写真:ロイター/アフロ)
天皇皇后両陛下(写真:ロイター/アフロ)

◆ご両親ともに留学経験者

筆者が注目したいのは、愛子さまが留学される期間だ。以前、上皇さまが親しくされていたご友人から、陛下のオックスフォード大学ご留学について、こんな話を聞いた。

「当初、浩宮さまの留学は1年と考えられていたが、上皇ご夫妻は将来の皇室には国際親善が求められることを見据えて、2年間の留学を希望された」

この話をしてくれたご友人は、海外の文化や習慣を肌で知り理解するには、留学期間は1年では足りず、2年は必要だと上皇ご夫妻は考えていらっしゃったのだと説明してくれた。

実際、陛下は昭和58年10月から2年間、オックスフォード大学で留学生活を経験された。他の学生たちと同じように寮生活を送り、街に出て買い物をしたり、初めてコインランドリーを使った時は泡だらけにしてしまったりなど、自由な空気の中で見聞を広められた。

もし愛子さまが留学されることになったら、期間は1年なのか、2年なのか……。

最近の例を挙げると、秋篠宮家の長女・小室眞子さんはイギリス・レスター大学大学院に約1年間の留学。次女の佳子さまもイギリス・リーズ大学に留学されたが、期間は1年未満であった。

女性皇族は結婚すれば皇室を離れることが決められているが、今後、国会での議論によっては女性宮家創設の可能性もある。

また、愛子さまは、幼い頃から古典文学に関心を持っておられることからも、ライフワークとして取り組んでいくとなると、2年間の留学によって、外から日本の文化をじっくり研究することになるのではないだろうか。

◆愛子さまの人生の大切な数年間

雅子さまはアメリカ・ハーバード大学を卒業され、イギリス・オックスフォード大学にも留学されている。特にハーバード大学では日本文化クラブを設立し、日本の名曲をピアノ演奏したり、海苔巻きやお茶を振る舞ったりなど、日本文化の紹介を行っていらっしゃった。

海外で暮らすことによって、日本人としてのアイデンティティが明確になり、世界の中の日本、あるいは日本人というものを考えるきっかけとなられたに違いない。

国際親善が求められる皇室にあって、愛子さまが濃密な国際感覚を身につけられて、何の問題もない。

さらに思うのは、愛子さまに海外生活を経験してほしいと願う、両陛下の親心だ。陛下の著書『テムズとともに 英国の二年間』には、留学を終えて帰国される時の、陛下のご心境がこう綴られている。

「再びオックスフォードを訪れる時は、今のように自由な一学生としてこの町を見て回ることはできないであろう。おそらく町そのものは今後も変わらないが、変わるのは自分の立場であろうなどと考えると、妙な焦燥感におそわれ、いっそこのまま時間が止まってくれたらなどと考えてしまう」

イギリス・オックスフォード大学(写真:イメージマート)
イギリス・オックスフォード大学(写真:イメージマート)

かつて陛下が経験されたように、わが子にも限られた時間ではあるが、人びとの視線を感じることのない環境で自由な時間を満喫してほしいという親心が、ないとはいえないだろう。

愛子さまが自由で思うままに過ごすことができる数年間の留学生活は、人生の中で永遠の思い出として輝き続けるはずだ。

「動物を愛する天皇ご一家がプライベートで参加されたフォーラム 耳慣れない『伴侶動物』とは?」

https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/f0f377f811eea9d6ee4ec3372c6c420c988f4d95

「天皇陛下と愛子さまが鑑賞された『雅楽演奏会』 筆者も味わった古式ゆかしき世界とは?」

https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/b8b5eefc4eb8f20738c61f1e321c4e0244838e90

放送作家、ノンフィクション作家(テーマ:皇室)

2001年の愛子内親王ご誕生以来、皇室番組に携わり、現在テレビ東京・BSテレ東で放送中の「皇室の窓」で構成を担当。皇室研究をライフワークとしている。日本放送作家協会、日本脚本家連盟、日本メディア学会会員。著書に『天皇家250年の血脈』(KADOKAWA)、『素顔の美智子さま』『素顔の雅子さま』『佳子さまの素顔』(河出書房新社)、『女帝のいた時代』(自由国民社)、構成に『天皇陛下のプロポーズ』(小学館、著者・織田和雄)がある。

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