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天皇陛下と愛子さまが鑑賞された「雅楽演奏会」 筆者も味わった古式ゆかしき世界とは?

つげのり子放送作家、ノンフィクション作家(テーマ:皇室)
秋季雅楽演奏会を鑑賞された天皇陛下と愛子さま(写真:毎日新聞社/アフロ)

今月22日、天皇陛下と愛子さまがお二人ご一緒に、皇居内の宮内庁楽部で開かれた「雅楽演奏会」を鑑賞された。

愛子さまは去年11月に秋篠宮ご夫妻の次女・佳子さまと、そして今年5月には陛下とご一緒に雅楽演奏会を鑑賞されている。この演奏会は春と秋の年2回行われており、愛子さまは3回連続足を運ばれたことになる。

今回は5年ぶりに一般公募を行い、抽選で当たった一般の人たちも鑑賞できるようになった。賑わいを取り戻したホールの様子に、愛子さまは「前回より観客の人数が増えてよかったですね」と話されたという。

さて、愛子さまを魅了する「雅楽」とは、いったいどのようなものなのだろうか。実は今回、皇居内の雅楽演奏会に筆者も応募したところ、運よく当選し、陛下と愛子さまが訪れた前日の21日に鑑賞することがきた。

◆皇居で開かれる雅楽演奏会

最寄りの地下鉄大手町駅を駆け上り、林立するビル群とは対照的な、玉砂利で覆われた広場に松の木が点在する皇居へ。当日は天気もよく、かなりの外国人観光客も訪れていた。

3分ほど歩いて皇居東御苑の大手門に着くと、その前には長い列が。割と年配の方が多く、手には宮内庁から返信された当選案内のはがきが握られている。筆者と同じように「雅楽演奏会」に訪れた人びとのようだ。順番に荷物検査を受け、ようやく皇居の中に入ることができた。

いつも思うのだが、皇居はとにかく広大である。皇居の中に入ってからも、目的とする場所にたどり着くまで、かなりの距離を歩かなければならない。

東御苑内を進んでいくと、雅楽演奏会が開かれる「宮内庁楽部」までの道が分かりやすいように、矢印が付いた看板が出ていた。案内が示す方向に歩いていくと、急こう配の汐見坂(しおみざか)があり、息を切らして登った。

坂を上りきったところに宮内庁楽部の受付があり、当選のはがきを見せると、職員らしき担当者が身分証明書と照らし合わせて、本人であることを確認。やはり皇居内の建物の中に入るとあって、チェックは厳重だった。

楽部の建物に入ると、すぐ目の前に荘厳な雅楽の舞台が広がっていた。中でも目を引くのは、舞台の左右にある大太鼓である。

左の大太鼓は龍の文様が施され、太陽を表す日輪の装飾が掲げられている。右の大太鼓は鳳凰の文様が施され、月を表す月輪を掲げているのが印象的だ。

舞台の周囲には、簡易的な折り畳み椅子がたくさん並べられていた。自由席だったのでよく見えるよう前のほうに座ろうと思ったが、すでに空席が見えないほどいっぱいであった。目を凝らして5列目に、ひとつだけ空いている席を見つけることができた。

愛子さまがいつも鑑賞されている2階の席のほうを振り返って見上げたが、この時は皇室の方々ではなく、関係者らしき人たちの姿が見えた。

午後1時30分の開場から待つこと1時間弱、しずしずと楽部の人たちが独特の伝統的な装束に身を包んで現れた。いよいよ演奏会がスタートする。

◆日本を代表する伝統音楽、雅楽の世界

5世紀半ばに日本に伝わった「雅楽」は、中国や朝鮮半島から入ってきた音楽と舞が日本古来の文化と融合し、独自に進化したものだという。日本最古の音楽といわれる雅楽を、皇室は後世に残そうと保護してきた。

宮内庁楽部による雅楽は、国の重要無形文化財に指定され、ユネスコの無形文化遺産にも登録されている。

雅楽演奏会の前半は、伝統楽器で合奏する「管絃」。

最初の曲「黄鐘調音取(おうしきちょうのねとり)」は、演奏に先立って奏する短い曲とされているだけに、音合わせをしているのかなと思っているうちに終わってしまった。

次は「千秋楽」。続いては、篳篥(ひちりき)や琵琶(びわ)などのメロディが特徴的な「越殿楽残楽三返(えてんらくのこりがくさんべん)」。さらに「拾翠楽(じっすいらく)」。

20分の休憩をはさんで、後半は音楽に合わせて舞う「舞楽」。

最初の演目「春庭花(しゅんでいか)」は、頭に花の飾りをつけた4人が優雅な動きで舞を披露する。

「仁和楽(にんならく)」は、鳥甲をかぶり、襲装束を着け、右肩をぬいで舞うというもの。雅楽の世界に触れ、千年以上も伝承されてきた音楽と舞が、現在まで生き続けてきたことを実感せずにはいられなかった。

1年ほど前に雅楽演奏会にいらっしゃった時、愛子さまは大太鼓について「重厚な音ですね」と感想を述べられたが、舞楽の演奏でその大太鼓が鳴らされた。確かに絢爛たる装飾を施された巨大な太鼓の音は、雷鳴のごとく響き渡り、実際、目が覚めるようであった。

「愛子さまの『海外留学』はどうなる? 『いつから』『期間は』 ヒントは『両陛下の留学経験』」

https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/bc7a8f12c5cf6d9e9ce5fe9693a64208f8918b11

「動物を愛する天皇ご一家がプライベートで参加されたフォーラム 耳慣れない『伴侶動物』とは?」

https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/f0f377f811eea9d6ee4ec3372c6c420c988f4d95

放送作家、ノンフィクション作家(テーマ:皇室)

2001年の愛子内親王ご誕生以来、皇室番組に携わり、テレビ東京・BSテレ東で放送中の「皇室の窓」で構成を担当。皇室研究をライフワークとしている。西武文理大学非常勤講師。日本放送作家協会、日本脚本家連盟、日本メディア学会会員。著書に『天皇家250年の血脈』(KADOKAWA)、『素顔の美智子さま』『素顔の雅子さま』『佳子さまの素顔』(河出書房新社)、『女帝のいた時代』(自由国民社)、構成に『天皇陛下のプロポーズ』(小学館、著者・織田和雄)などがある。

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