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陛下「オンラインは良い使い道を考えていこうと思います」 ご学友に明かした令和皇室の新しい可能性

つげのり子放送作家、ノンフィクション作家(テーマ:皇室)
赤坂御用地内のテニスコートにて 陛下と乃万ご夫妻(写真提供・乃万暢敏さん)

 天皇に即位されて1年も経たずして、令和2年の年明けから新型コロナウイルス感染症の流行が拡大し、4月には緊急事態宣言が出され人びとの生活は一変。

 陛下の公務も、それまでとまったく違うものとなっていった。

 国民と苦楽をともにし、寄り添うことを常に考えておられた陛下にとって、ほとんどの公務を自粛しなければならなかったのは、とても残念なことであっただろう。

 しかし、陛下は、できないならば別の方法で、国民と交流しようと考えられた。まさにそれこそが「令和の皇室」を感じさせる、新しい姿だったのかもしれない。

 筆者が顕著にそう感じたのが、「オンラインの活用」だ。

 コロナ禍になってから、両陛下は合計17回の、オンラインによる行幸啓並びに各種団体や地方自治体とのご交流などを行われた。

 今、天皇陛下はオンラインの活用についてどのような感想を持ち、どのように生かしていこうとお考えなのだろうか?

 最近、このテーマについて情報交換したという、陛下のご学友、乃万暢敏(のま のぶとし)さんがその内容を明かしてくれた。

■両陛下が行ったオンラインの新たな可能性

 両陛下がオンラインを活用されていることが、初めて報じられたのは、令和2年8月、水問題に関する国際オンライン会議を聴講された時だった。

 11月には、全国にある4つの赤十字病院と当時お住まいだった赤坂御所をオンラインで繋ぎ、新型コロナウイルスに対応する現場の医療従事者と交流された。 

 その後、両陛下によるネットを通じてのご訪問や人びととの交流が次第に増えていった。

 ネット上のやりとりでは心が通わないのではないか、という声もあったと聞く。しかし、人と人が直接会うことがかなわないコロナ禍にあって、少しでも国民の力になりたいという両陛下の切なる思いが、そうさせたのだろう。

 陛下はオンライン交流の体験が意外な発見につながったことを、今年のお誕生日に際する記者会見でこのように述べられている。

「オンラインの活用が、感染症対策としての利点だけではなく、例えば複数の場所にいる人々に同時に会うことができたり、離島や中山間地域など、通常では訪問がなかなか容易にできない地域の人々とも比較的容易に、しかも臨場感を持って交流することができるという利点と可能性があることを改めて実感させてくれるものでした」

 一日に何カ所もの地域と繋いで、普段のご訪問より多くの人たちと話をしたり、実際に訪問するのが難しいエリアに暮らす人びととも交流することが可能になる。  

 つまり、オンラインの活用によって、もっとたくさんの人びとの話に耳を傾けられ、両陛下がお言葉をかけることができるのだ。

 記者会見で陛下は、「感染収束後も、オンラインを活用することが適当な場合には、その活用も視野に入れていきたいと思います」と、今後の意欲もにじませていらっしゃった。

■陛下がご学友に語ったお考え

 この記者会見を見たご学友の乃万さんは、学習塾を経営している。コロナ禍になってリモート指導を行っていたことから、陛下のお言葉に共感するところが大きかった。

 乃万さんはすぐに陛下に連絡し、オンラインでのコミュニケーションの可能性について、こう伝えた。

「意外とその場の空気感も持てるような気が致します。今後はコロナ禍に拘らず、オンライン化が各分野で増えていくと思います。近々、完全オンラインでマンツーマンの医学部予備校を開設したいと思っております」

 すると陛下は、

「オンラインは良い面もあれば、課題もあるように思いますので、今後とも良い使い道を考えていこうと思っています」

 と、ご自身の見解を伝えられたという。

■令和の新しい皇室へ リアルとオンラインの融合

 乃万さんは陛下のお言葉から、

「時と場合によってはオンラインもあるかもしれませんが、少なくとも、全国植樹祭などの四大行幸啓は、やはりリアルで現地を訪れたい、という強いお気持ちを感じました」

 と話す。

 四大行幸啓とは、「全国植樹祭」「国民体育大会」「全国豊かな海づくり大会」「国民文化祭」などを指し、天皇皇后両陛下が毎年出席される、いわば定例の地方公務である。

 これらは、全国の都道府県によって持ち回りで開催されている行事だ。開催に向けて地元の人たちが長い月日をかけて準備をし、両陛下のご訪問を心待ちにしている。

 両陛下と直接お会いできることは、一生のかけがえのない宝となり、何ものにも代えがたい明るい希望をもたらしてくれるものだ。

 だからこそ、陛下は地方ご訪問を大切にされていることは言うまでもないが、一方で訪れることが難しい地域には、オンラインを活用することで、より多くの人たちと触れ合えるかもしれない。

 さらに乃万さんは、こんなことも話してくれた。

「例えば外国の王族や要人など、オンラインを使えば交流を深める機会が圧倒的に増えると思います。こう言うと語弊があるかもしれませんが、手軽にコミュニケーションを図れるという意味では、皇室の国際化に役立つのではないでしょうか」

 令和の時代、両陛下のふれあいの足跡は、日本地図を飛び越えて、世界中の人びとと心の繋がりを紡いでいくのではないだろうか。

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放送作家、ノンフィクション作家(テーマ:皇室)

2001年の愛子内親王ご誕生以来、皇室番組に携わり、現在テレビ東京・BSテレ東で放送中の「皇室の窓」で構成を担当。皇室研究をライフワークとしている。日本放送作家協会、日本脚本家連盟、日本メディア学会会員。著書に『天皇家250年の血脈』(KADOKAWA)、『素顔の美智子さま』『素顔の雅子さま』『佳子さまの素顔』(河出書房新社)、『女帝のいた時代』(自由国民社)、構成に『天皇陛下のプロポーズ』(小学館、著者・織田和雄)がある。

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