Yahoo!ニュース

雅子さまとご結婚してから陛下はオシャレに ご学友が明かす陛下のファッションの変遷

つげのり子放送作家、ノンフィクション作家(テーマ:皇室)
2019年、両陛下に新年のご挨拶に伺った時に撮影(写真提供・乃万暢敏さん)

 令和になって天皇ご一家が3人で登場される時には、装いにさりげなく同じ色をあしらい、ご家族で統一感を出しているのは、もはや多くの国民が知るところだろう。

 今年、新年をお迎えになった天皇ご一家の写真では、陛下のネクタイと愛子さまのスーツを水色で整え、陛下のシャツと雅子さまのスーツはオフホワイトで合わせていらっしゃった。

 そして愛子さまが初の記者会見でお召しになったのは、若々しさを感じさせる、薄い若草色のツーピースであった。

 あくまで筆者の個人的な推測だが、おそらくこうしたファッションコーディネートは、ご一家で話し合って、決めていらっしゃるのだろう。雅子さまや愛子さまが、陛下のネクタイの色をあれこれアドバイスするご様子に思いを馳せるだけで、自然と笑みがこぼれてくる。

 実は陛下のファッションについて、長年にわたって見つめてきた方がいる。陛下と学習院初等科から半世紀以上にわたって交流する、ご学友の乃万暢敏(のま のぶとし)さんだ。

 なんと乃万さんは、陛下はご結婚当初から、洋服のチョイスに大きな変化が表れていらっしゃったと話す。

■大学時代、陛下が同じ洋服だった理由

 学習院大学に通っていた頃、陛下は、夏は半袖のシャツ、冬はタートルネックのセーターと、ほとんど同じ格好をされていることを、乃万さんは不思議に思っていた。

 聞けば、陛下の洋服を購入する役目を担っているのは、内舎人(うどねり)という職制にある男性職員(東宮職内廷2係の内舎人〈総理府事務官〉)だという。ファッションなど門外漢の男性職員が、良さそうなものを見繕って買っているのだから、無難なチョイスとなるのは無理もなかった。

 また、”ほとんど同じ格好“には、もう一つの理由があった。

 それは乃万さんが御所へ伺って、上皇さまや美智子さまとも接するうちに気づいたことだったと言う。

「天皇家の普段の生活が、とても質素であることに驚きました。すべての品物は質の良いものをお選びになっているのですが、それを長く大切にお使いになる。長期間使えるものを選んでいらっしゃるように感じました」

 だからなのだろうか。洋服に関しても、一時の流行に流されず、大切に長い間お使いになる。だから必然的に、陛下は同じ洋服をお召しになることが多かったのだと理解できた。

■雅子さまと結婚してから陛下はオシャレになった

 しかし、年頃を迎えた男性にとって、流行を取り入れたり、オシャレしたりなどは、モテるための条件の一つだ。

 陛下が結婚適齢期を迎えられた時、乃万さんは勇気を振り絞って、こう申し上げた。

「少しはオシャレをなさったほうがよろしいかと思います。そうでないと、女の子にモテませんよ」

 陛下は曖昧な笑顔を見せていらっしゃったが、そのアドバイスはあまり効果がなかったようだ。

 ところが、そんな陛下のファッションに変化が訪れたのは、1993年に雅子さまと結婚されてからである。陛下の服装がこれまでと明らかに違ってきたことに、乃万さんは気づいた。   

 スーツの色にバリエーションが出てきたり、オシャレな柄のネクタイをされるようになったりと、グングンとオシャレになられたのだ。

 実は、以前、乃万さんは、お二人にお会いした時、雅子さまにこのように伝えたことを思い出した。

「殿下(陛下)はあまりオシャレではありませんので、雅子さまのセンスの良さでアドバイスをなさってください」

 すると、雅子さまは「はい」と答え、微笑んでいらっしゃったという。おそらく陛下がオシャレになったのは、雅子さまの内助の功ではないかと、乃万さんは確信している。

■普段の両陛下は夫婦阿吽の呼吸

 平成から令和にお代替わりした2019年、乃万さんは両陛下に新年のご挨拶をするため、御所を訪れた。しばらく歓談した後、雅子さまが陛下のほうを向かれて、

「そろそろ写真でも。皆さんと」

 と、おっしゃった。

 陛下も「あ、そうだね」と答えられ、自然に相槌を打つような、阿吽の呼吸が伝わってきたという。両陛下と乃万さんの家族が並んで記念撮影を行い、和やかなムードに包まれていた。

 普段の雅子さまはどんな方でいらっしゃるのか、乃万さんに聞いてみた。

「雅子さまも、とても気を遣われる方でいらっしゃいます。両陛下ともに何事にも一生懸命でいらっしゃり、もう少しお楽にされたらいいのにと思うくらいです」

 さらに、今年で結婚29年目を迎える両陛下のご様子は、長年のご学友の目にどう映っているのだろうか。

「雅子さまという方がいらっしゃることが、陛下としては安心感なのだと思います。陛下にとって最も重要な相談相手が、雅子さまです。本当に素晴らしいカップルです」

 陛下は今年のお誕生日記者会見で、雅子さまのことを「私の日々の活動を支えてくれる大切な存在」「公私にわたり良き相談相手」と述べられた。陛下にとって雅子さまは、ファッションに限らず、何事においても良きアドバイザーでいらっしゃるのだろう。

「愛子さまの大学生活は? 陛下が大学のゼミ旅行で見せたお茶目な一面」

https://news.yahoo.co.jp/byline/tsugenoriko/20220411-00290409

「陛下『オンラインは良い使い道を考えていこうと思います』ご学友に明かした令和皇室の新しい可能性」

https://news.yahoo.co.jp/byline/tsugenoriko/20220413-00290415

放送作家、ノンフィクション作家(テーマ:皇室)

2001年の愛子内親王ご誕生以来、皇室番組に携わり、現在テレビ東京・BSテレ東で放送中の「皇室の窓」で構成を担当。皇室研究をライフワークとしている。日本放送作家協会、日本脚本家連盟、日本メディア学会会員。著書に『天皇家250年の血脈』(KADOKAWA)、『素顔の美智子さま』『素顔の雅子さま』『佳子さまの素顔』(河出書房新社)、『女帝のいた時代』(自由国民社)、構成に『天皇陛下のプロポーズ』(小学館、著者・織田和雄)がある。

つげのり子の最近の記事