「広島 菊池は打力不足でメジャーは無理?」なぜMLBでは二塁手も強打者であることが必要か

2017年WBC決勝ラウンドでは本塁打も放ったが・・・(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

広島の菊池涼介がメジャー移籍希望を表明も「打力不足で通用しないのでは?」との声もある。そもそもなぜメジャーでは二塁手も強打者であることが求められるのか?

菊池が来オフのポスティングによるMLB移籍希望を表明した。丸佳浩のFA流出後はカープにとって最大の精神的支柱である彼の渡米表明に、ショックを受けたファンも多いだろう。

そして、違う意味でやや否定的な意見もある。簡単に言えば、「通用しないのではないか」ということだ。メジャーでレギュラーを張るには、守備はともかく打力不足は如何ともしがたい、ということだ。

菊池は打力不足?

菊池はほぼ毎シーズン2ケタ本塁打を放っているが、通算の長打率は.389だし今季のOPS(出塁率+長打率)は.656とかなり低い。メジャーに渡ることができてもその初年度となる2020年は、30歳で迎えるシーズンとなる。この先の「開眼」を期待するのは無理がある。

絶対的な打力不足、というよりはコツコツ当ててくるタイプというのが彼の地では受け入れられない。「二塁手も守備優先でパワーレスじゃダメなんです」ということだ。実際そうだと思う。彼なら貴重なバイプレイヤーとして重宝されるとは思うが、中心選手としてバリバリやれるかと聞かれれば、それは難しいと言わざるを得ない。

ここでシンプルな疑問を持たれる方もいるだろう。「なぜ、メジャーでは二塁手も強打者でなければならないのか?」

メジャーで打力を問われないポジションは投手だけ

そもそも現在のメジャーでは、バントや進塁打などの小技に長けていることは残念ながら評価されない。三振を恐れず外野スタンド目がけてフルスイングする時代なのだ。小兵の二塁手でも、アストロズのホゼ・アルトゥーべやレッドソックスのダスティン・ペドロイアのように目一杯振り回してくる。いや、何も二塁手だけではない。長打力がなくても良いのは投手だけ、と言っても良いだろう。

歴史的にも二塁手には強打者が多い

また、歴史的にも二塁は強打者のポジションだったことも今日の価値観に影響を与えているかもしれない。19世紀や20世紀初頭、野球は現代で言うところのスモールボールだった。無死一塁ならほぼオートマチックに犠打狙いだったようだ。その時代、打球処理が多い(右打者が多いため)三塁手が守備優先のポジションで、各球団は打球があまり飛んでこない二塁には強打者を配置した。タイ・カッブのライバルとして知られる首位打者5回&三冠王のナップ・ラジョイや三冠王に2度輝き首位打者7回のロジャース・ホーンスビー、歴代11位の通算3315安打のエディ・コリンズなどはこの時代を代表する強打の二塁手だ(彼らは守備でも名手だったが)。

この傾向に大きな変化が生じたのが1925年だ。ベーブ・ルースの登場で本塁打が俄然注目されるようになったメジャーでは、この年から「ライブリーボール」(飛ぶボール)が採用されたのだ。これで、それまで以上に各打者はブンブン振り回すようになり、犠打は一気に減った。その結果増加したのが併殺打だ。これにより、二塁手、遊撃手はピボットマンとして大忙しとなった。これにより、守備力も高いものが求められるポジションになったと言われている。このような歴史的背景により、殿堂入りは元三塁手が17名であるのに対し、元二塁手は21名と上回っている。

菊池がメジャーでやっていくには

話を菊池に戻す。彼のアクロバティックな守備は素晴らしいが、このレベルはいくらでもいる。また、プロ入り後は基本的に二塁しか守っていないのもややマイナス要素だ。メジャーでは近年、一人の選手(それがスター級であっても)が複数のポジションで起用されることが一般的になりつつある。2016年ナ・リーグMVPのクリス・ブライアント(カブス)などはその好例だ。また、極端な守備シフトの普遍化により、伝統的な守備位置の概念が消滅しつつある。何せ、三塁手が一二塁間に就くケースも茶飯事なのだ。

そのような環境でも活躍できることをアピールするには、叶うならば2019年は三塁や遊撃も時には守って欲しいと思う。そうすれば、オールラウンドな控えの内野手としての需要はあると思う。メジャーでは、順番に休みを取らせるのが普通だからだ。