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WBCは次回で廃止? MLBスターたちの出場表明は、開催継続の可能性見極めのためか?

豊浦彰太郎Baseball Writer
WBCも次回が見納め?(写真:ロイター/アフロ)

“World Baseball Classic could come to end after 2017”(WBCは2017年を最後に終わるかも)、こんなショッキングな、しかもあり得そうな見出しが躍っている。米国の『Yahoo! スポーツ』上でのことだ。

記事のソースは、『ESPN』のクリスチャン・モレノ記者のツウィートだ。

I’ve been told by multiple sources related to World Baseball Classic, the 2017 possibly final edition unless legit $$$ earnings come.

「何人かのWBC関係者に言われたよ、それなりの利益が出なかったら2017年大会が最後になるだろうと」

記事では、米国内でWBCへの関心が一向に盛り上がらないことを紹介している。球団経営者も、選手も、そしてファンも開幕前の故障を懸念しており、その結果有力選手の参加が限られ、当初目指したプレステージを得られていないというのだ。

実際、WBCを初回からフォローしてきたぼくにも頷ける点が多い。

第2回大会では、セカンドステージ観戦で訪れたサンディエゴのタクシー運転手はWBCが開催されていることすら知らなかったし、決勝ラウンド最中でも全国紙『USAトゥデー』は、スプリングトレーニング・ゲーム(オープン戦のこと)の報道・評論に紙面を費やし、WBCはボックススコアだけの掲載だった。

また、2013年の準決勝 日本対プエルトリコ戦では、開催都市の有力紙『サンフランシスコ・クロニクル』がフォーカスしたのは、「サイドネタ」だった。『Party at the ballpark』(球場でのお祭り騒ぎ)との見出しで、侍ジャパン応援団は「試合展開に関係なく、決まったコールを送り、飛び跳ねる(稲葉ジャンプのこと)」と、シニカルに報じていた。その一方で、試合内容そのものを伝える記事はやや扱いが小さめで、ボックススコアの記載すら無かった。

しかし、今回はやや様相が違う。米国人だけでなく、他国の選手も含めスター級が相次いで2017年大会への参加を表明している。

ある意味では、このことは当然だ。WBCを運営するWorld Baseball Classic International(WBCI)は、MLB機構とMLB選手組合の合同出資会社だ。WBCプロジェクトを成功に導かねばならない点では、労使の利害は一致しているのだ。

モレノ記者のツウィートは「それなりの利益が出なかったら」と但し書きが付いているのがミソだ。「ホントにWBCは止めるべきなのかどうかを2017年大会で見極めようじゃないか。一度、スター級をガンガン出場させて、それでもダメだったら止めてしまおう」。

そう考えているなら、急にWBCがオールスター戦の様相を呈してきたのも理解できる。

Baseball Writer

福岡県出身で、少年時代は太平洋クラブ~クラウンライターのファン。1971年のオリオールズ来日以来のMLBマニアで、本業の合間を縫って北米48球場を訪れた。北京、台北、台中、シドニーでもメジャーを観戦。近年は渡米時に球場跡地や野球博物館巡りにも精を出す。『SLUGGER』『J SPORTS』『まぐまぐ』のポータルサイト『mine』でも執筆中で、03-08年はスカパー!で、16年からはDAZNでMLB中継の解説を担当。著書に『ビジネスマンの視点で見たMLBとNPB』(彩流社)

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