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今月の住宅ローン金利情報(2020年11月)固定10年で金利競争!? 全期間固定・フラット35は上昇

豊田眞弓永続家計アドバイザー/FP/大学非常勤講師
ここがボクのハウスなんだワン(写真:アフロ)

2020年11月の住宅ローン金利は、変動金利は動きなしで、全期間固定(35年)は半分強が上げ、フラット35も0.01%上げました。一方で、固定10年は「上げ」「下げ」「変動なし」の三つ巴状態となりました。

*コラム内の住宅ローン金利は、一般団体信用生命保険(死亡・高度障害時)の保障コストを含む表示で統一しています。

■2020年11月の住宅ローン金利

今月の住宅ローン金利は、変動金利はほぼ動きなしでした。固定10年は、「上げ」「下げ」「変わらず」の三つ巴状態でした。全期間固定(35年)は半数強が上げ、フラット35も最多金利で0.01%の上げとなりました。

変動金利:ほぼ動きなし

10年固定:上げ、下げ、変わらずが混在

フラット35:0.01%上げ(最多金利)

全期間固定(35年):半数強が上げ

今月は、個人的にジャパンネット銀行と常陽銀行の動きが気になりました。

■住宅ローンに関わる日銀の政策に変更なし

日銀の金融政策決定会合は10月28・29日に行われ、住宅ローン金利にも影響するイールドカーブコントロール(長短金利操作)について継続と決まりました。

これにより、短期の政策金利(「無担保コールレート(オーバーナイト物)」)をマイナス0.1%、長期金利の指標になる10年国債の金利を0%程度に誘導する「イールドカーブコントロール(長短金利操作)」が維持されています。

ただし、全体の金利の動きとは別に、金融機関が独自に優遇金利を変更するなど、適用金利が変動する可能性があることも知っておきましょう。

■長期金利の動き

参考まで、10年固定や全期間固定に影響する10年物国債の月末時点の利回りの推移は下記の通りでした。10月末は9月末に比べ、0.014%上がっています。

<10年国債の利回り(月末時点)>

R2.5.29 0.009

R2.6.30 0.042

R2.7.31 0.018

R2.8.31 0.056

R2.9.30 0.027

R2.10.30 0.041

(財務省データより)

全体的に、10年固定や全期間固定が上がるのはうなずけます。しかし、10年固定で下げた商品も少なくなかったのは、後述する某2社の最低金利競争による、金利水準の低下に対する調整の動きではないかと推測します。

■「新規で借りる」住宅ローン

以下は、2020年11月現在の金利タイプごとに金利が低い注目商品をピックアップしたものです。

実際には、金利だけでなく総返済額その他で比較をして選択するようにしましょう。参考として、保証料と事務手数料などの情報も併記しています。

団体信用生命保険(団信)は契約者が万が一、亡くなったり高度障害になったりした時に、残債を保険で支払ってもらえるものです。これにがん保障やその他の疾病などに関する特約が付いているものもあります。特約付きは無料のものと有料(金利上乗せ)とがあります。

まずは変動金利ですが、ジャパンネット銀行が2019年7月末に参入以来、最低金利を維持し続けています。

<変動金利>

・ジャパンネット銀行「住宅ローン」0.380%《保証料なし、事務手数料=借入額の2.2%》*がん先進給付金付き団信無料

・Yahoo! JAPAN「ヤフーの住宅ローン」0.380%《保証料なし、事務手数料=借入額の2.2%》*商品はジャパンネット銀行のもの。

・auじぶん銀行「住宅ローン全期間引下げプラン変動」0.410%《保証料なし、事務手数料=借入額の2.2%》*がん50%保障+入院保障団信無料

・SBIマネープラザ「ミスター住宅ローンREAL<通期引下げプラン>」0.410%《保証料なし、事務手数料=借入額の2.2%》*全疾病保障団信無料

続いて10年固定ですが、数カ月前から、auじぶん銀行とジャパンネット銀行の最低金利競争が勃発。先月はauじぶん銀行が最低金利でしたが、今月は1カ月ぶりにジャパンネット銀行が最低金利に。来月も目が離せません。

<10年固定>

・ジャパンネット銀行「住宅ローン固定10年」0.530%《保証料なし、事務手数料=借入額の2.2%》*がん先進給付金付き団信無料

・Yahoo! JAPAN「ヤフーの住宅ローン」0.530%《保証料なし、事務手数料=借入額の2.2%》*商品はジャパンネット銀行のもの。

・auじぶん銀行「住宅ローン当初期間引下げプラン」0.540%《保証料なし、事務手数料=借入額の2.2%》*がん50%保障団信無料

フラット35は、最多金利で0.01%の上昇でした。その他の全期間固定(35年)は、多くが上げました。

フラット35の中でも、物件が所定の条件をクリアすれば、0.25%の金利優遇を10年間または5年間受けられる「フラット35S(Aプラン、Bプラン)」は要注目です。フラット35の場合、団体信用生命が任意加入の商品も多いことから、比較のために一般的な団信に加入した場合の金利表示で統一しています。

<全期間固定>(自己資金50%以上)

・ARUHI「ARUHIスーパーフラット5S【自己資金50%以上】」0.830%(保証型、団信0.280%含む。Aプランは10年、Bプランは5年経過後は1.21%)《保証料なし、事務手数料=借入額の2.2%》

<全期間固定>(自己資金40%以上)

・ARUHI「ARUHIスーパーフラット6S【自己資金40%以上】」0.860%(保証型、団信0.280%含む。Aプランは10年、Bプランは5年経過後は1.11%)《保証料なし、事務手数料=借入額の2.2%》

<全期間固定>(自己資金20%以上)

・住信SBIネット銀行「フラット35S(保証型)【自己資金20%以上】」0.900%(Aプランは10年、Bプランは5年経過後は1.15%)《保証料なし、事務手数料=借入額の2.2%、団信無料》*全疾病保障団信無料

・ARUHI「ARUHIスーパーフラット8S【自己資金20%以上】」0.960%(保証型、団信0.280%含む。Aプランは10年、Bプランは5年経過後は1.21%)《保証料なし、事務手数料=借入額の2.2%》

<全期間固定>(自己資金10%以上)

・住信SBIネット銀行「フラット35S(保証型)【自己資金10%以上】」0.960%(Aプランは10年、Bプランは5年経過後は1.210%)《保証料なし、事務手数料=借入額の2.2%、団信無料》*全疾病保障団信無料

・ARUHI「ARUHIスーパーフラット9S【自己資金10%以上】」1.010%(保証型、団信0.280%含む。Aプランは10年、Bプランは5年経過後は1.26%)《保証料なし、事務手数料=借入額の2.2%》

【参照】フラット35の金利表示に注意!

■借り換えるときの住宅ローン

借り換えをする場合の住宅ローンの金利も見ておきましょう。

まず、変動金利ですが、新規借り入れ同様、ジャパンネット銀行強し、です。

<変動金利>

・ジャパンネット銀行「住宅ローン(借り換え)」0.380%《保証料なし、事務手数料=借入額の2.2%》*がん先進給付金付き団信無料

・Yahoo! JAPAN「ヤフーの住宅ローン」0.380%《保証料なし、事務手数料=借入額の2.2%》*商品はジャパンネット銀行のもの。

・auじぶん銀行「住宅ローン全期間引下げプラン(借り換え)」0.410%《保証料なし、事務手数料=借入額の2.2%》*がん50%保障+入院保障団信無料

・SBIマネープラザ「ミスター住宅ローンREAL(借り換え)<通期引下げプラン>」0.410%《保証料なし、事務手数料=借入額の2.2%》*全疾病保障無料

続いて10年固定。新規借り入れ同様、auじぶん銀行とジャパンネット銀行の最低金利競争が繰り広げられています。先月はauじぶん銀行が、今月はジャパンネット銀行が最低金利に。利益を削り合うチキンレースのような戦いの行方が気になります。

<10年固定>

・ジャパンネット銀行「住宅ローン(借り換え)固定10年」0.530%《保証料なし、事務手数料=借入額の2.2%》*がん先進給付金付き団信無料

・Yahoo! JAPAN「ヤフーの住宅ローン(借り換え)固定10年」0.530%《保証料なし、事務手数料=借入額の2.2%》*商品はジャパンネット銀行のもの。

・auじぶん銀行「住宅ローン当初期間引下げプラン(借り換え)固定10年」0.540%《保証料なし、事務手数料=借入額の2.2%》*がん50%保障団信無料

・KDDI「au住宅ローン 当初期間引下げプラン(借り換え)固定10年」0.540%《保証料なし、事務手数料=借入額の2.2%》*がん50%保障団信無料

借り換えで固定金利を利用する際には、住宅ローンの残存期間によっても選ぶべき住宅ローンは異なります。ちなみに、借換えで利用できるフラット35もありますが、新規のときのような一定期間の金利優遇(「フラット35S(Aプラン、Bプラン)」)はありません。

<全期間固定>(例:残存31~35年)

・常陽銀行「めぶき de かりかえ(ネット申込専用住宅ローン)全期間完全固定(~35年)」1.100%《保証料なし、事務手数料=借入額の2.2%》*がん団信無料

・みずほ銀行「みずほネット借り換え住宅ローン(全期間固定プラン)」(21~35年)1.110%《保証料あり、電子契約手数料5,500円、固定金利手数料11,000円、保証事務手数料33,000円》

<全期間固定>(例:残存26~30年)

・みずほ銀行「みずほネット借り換え住宅ローン(全期間固定プラン)」(26~30年)1.090%《保証料あり、電子契約手数料5,500円、固定金利手数料11,000円、保証事務手数料33,000円》

・常陽銀行「めぶき de かりかえ(ネット申込専用住宅ローン)全期間完全固定(~35年)」1.100%《保証料なし、事務手数料=借入額の2.2%》*がん団信無料

<全期間固定>(例:残存21~25年)

・みずほ銀行「みずほネット借り換え住宅ローン(全期間固定プラン)」(21~35年)1.060%《保証料あり、電子契約手数料5,500円、固定金利手数料11,000円、保証事務手数料33,000円》

・新生銀行「パワースマート住宅ローン(借り換え)全期間固定(21年~25年)」1.100%《保証料なし、事務手数料=55,000円》

・常陽銀行「めぶき de かりかえ(ネット申込専用住宅ローン)全期間完全固定(~35年)」1.100%《保証料なし、事務手数料=借入額の2.2%》*がん団信無料

<全期間固定>(例:残存16~20年)

・りそな銀行・埼玉りそな銀行「りそな借りかえローン WEB申込限定プラン(金利プラン当初型) 固定20年」0.945%《保証料なし、保証会社手数料=33,000円、事務手数料=借入額の2.2%》

・新生銀行「パワースマート住宅ローン(借り換え)全期間固定(21年~25年)」0.950%《保証料なし、事務手数料=55,000円》

・auじぶん銀行「住宅ローン 当初期間引下げプラン(借り換え)固定20年」1.011%《保証料なし、事務手数料=借入額の2.2%》*がん50%保障団信無料

借り換えの場合は、残っている期間と選ぶ金利タイプによって有利な商品が異なりますので、きちんと試算をして選択しましょう。

なお、借り換えは通常、今借りている金融機関ではできないのですが、条件によっては同じ金融機関でより有利な金利の住宅ローンに借り換えることができる場合があります(要交渉)。他の金融機関への借り換えだけでなく、今の金融機関での借り換え(条件変更)も候補として検討するといいでしょう。

■複数の商品で試算・比較を!

注目の住宅ローンとその金利を見てきましたが、紹介したのは金利面に重点を置いた商品です。金利だけでは住宅ローンを選ぶことはできません。最近は団信の保障内容も注目されるようになってきました。

また、金利を含む総返済額のほか、保証料や事務手数料、団体信用生命のコストも含めたトータルコストで比較することも重要。新規で借りる場合も、借り換えの場合も、複数を比較してより有利な商品を選ぶようにしましょう。

コロナ禍の影響は、今後、本格的に押し寄せてくる可能性があります。住宅ローンの見直しをはじめ、思い切った家計見直しなど、できることはやっておきたいものですね。

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【参照】

FPラウンジ 住宅ローン金利情報

カカクコム 住宅ローン金利情報

永続家計アドバイザー/FP/大学非常勤講師

<生涯永続できる家計の実現を!> マネー誌・女性誌等のライター・コラムニストを経て、独立系FPへ。講演・研修、コラム執筆や監修、個人相談などを業務としている。ライフワークとして、子どもから高齢者まで幅広く金融経済教育に携わっている。亜細亜大学ほかで非常勤講師、子どもマネー総合研究会理事を務める。趣味は講談、投資、猫に添い寝。

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