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ジュニアNISA廃止。未成年の子が原則非課税で証券投資をするもう1つの方法とは?

豊田眞弓永続家計アドバイザー/FP/大学非常勤講師
(写真:アフロ)

2023年末で終了するジュニアNISA口座の新規開設。実際のところ、証券会社ではすでに新規口座の受付は終了しています。今後、未成年の子が証券投資をしたいと言ったらどうすればいい?

■ジュニアNISA口座開設は「9月まで」で終了

お客様から、「ジュニアNISA口座を開きたいのですが」という相談を受けたのは9月上旬のことでした。まだ受付をしている証券会社をいくつか調べてお知らせし、すぐに手続きに入られたので間に合うかどうかぎりぎりでしたが、結果は、口座開設に必要な書類(住民票)を取りに行く時間がなく断念されたと、ご報告がありました。

新NISAが2024年から拡大するので、ご夫婦2人分の非課税枠を使い切りましょうとお声がけしたうえで、「どうしてもお子さん専用の口座で証券投資をされたいのであれば、他にも方法はあります」とお伝えしました。

■高校生からも切実な相談が

今夏のこと。高校生向け金融教育講座の中で投資の話をしたところ、高校生からこんな質問を受けました。

「これから投資のことを勉強して実践したいのに、ジュニアNISAが終わったら僕らはどうすればいいのでしょうか?」

「18歳になった翌年からNISA口座を開設できるので、もう少し待っていただくか、あるいはもう1つの方法があります」と答えました。

■18歳まで待たなくてもこの方法がある!

ジュニアNISAが廃止となり、残念がる声も多いようです。投資教育がますます重要になる中、18歳になってNISA口座を持てるまで待つべきなのでしょうか。何か方法はないのでしょうか。

実は、あります。未成年口座を活用するのです。

未成年口座は課税口座です。そのため、「特定口座・源泉徴収あり」で開設した場合、投資信託や株式の売却益から20.315%(所得税と復興特別所得税15.315%、住民税5%)の税金が自動的に差し引かれます。また、一般口座とは異なり、1年間の売却損益の計算もしてくれます。

■一定額までは確定申告をすれば税金が戻る

ただし、他に収入のないお子さんの場合、一定額までの所得は非課税で済みます。16歳以上19歳未満は親の扶養控除にも関わるので、扶養の範囲で考えると(勤労学生控除を考慮せず)、非課税になる所得は次のようになります。

所得税:合計所得金額48万円以下⇒非課税

住民税:合計所得金額45万円以下⇒非課税

※勤労学生控除を加味する場合、金額はもう少し上がります

よりラインの低い、45万円を参照するとよさそうですが、年間の売却益の累計がこれ以下であれば、源泉徴収された所得税・住民税は、確定申告をすることで還付されます。

例えば、未成年口座(特定口座・源泉徴収あり)で、投資信託の売却益が40,000円、株の売却益が60,000円あったとします。合計100,000円の売却益に対して、源泉徴収される税金の合計額は20,315円(所得税15,315円、住民税5,000円)。

翌年3月15日までに子どもの収入を確定申告することで、この所得税・住民税が還付されます。

■「特定口座・源泉徴収なし」で非課税の範囲なら申告も不要

確定申告の手間が面倒であるなら、未成年口座を「特定口座・源泉徴収なし」にするという方法もあります。ただし、金融機関で未成年口座を開設する際には、「特定口座・源泉徴収あり」を選択するようになっている金融機関が多いようです(中には、口座開設後に「特定口座・源泉徴収なし」に変更できるところもあるようです。ご確認ください)。

「特定口座・源泉徴収なし」は、金融機関が売却損益の計算をしてくれて、源泉徴収はされない分、自分で確定申告をして納税する、という口座です。

年間トータルの売却益が非課税の範囲であれば確定申告はしなくて済みますが、一定以上に売却益があって納税が必要な場合、確定申告は必須です。また、売却益がかなり大きいと、未成年が親の扶養を抜ける年が出てくるかもしれません。

■注意点は毎年、非課税の範囲に抑えること

お子さんのお年玉などの運用を想定しているのであれば、さほど大きな収益は考えにくいので、あまり気にする必要はないかもしれません。また長期投資を前提に、投信積立を体験させるのであれば、すぐに売却をして収益を得ることは想定しにくいケースです。

ただし、祖父母などからまとまった贈与や相続を受けて運用するケースもあるかもしれません。年間の収益が大きくなりそうなときは、利益確定のタイミングなどに注意を払う必要が出てくるかもしれません。非課税にこだわるのであれば、株式や投資信託の売却益が、ある年に集中しないようコントロールする必要があります。

■確定申告もセルフで?

「特定口座・源泉徴収あり」を選べば、確定申告を毎年行う可能性が出てきます(売却益が出た場合)。確定申告はお子さんのマイナンバーカードがあればスマホでも行うことができます。そこまで1人でできるように導ければ、金融教育のレベルはかなり高度になります。高校生であればできそうですね!

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永続家計アドバイザー/FP/大学非常勤講師

<生涯永続できる家計の実現を!> マネー誌・女性誌等のライター・コラムニストを経て、独立系FPへ。講演・研修、コラム執筆や監修、個人相談などを業務としている。ライフワークとして、子どもから高齢者まで幅広く金融経済教育に携わっている。亜細亜大学ほかで非常勤講師、子どもマネー総合研究会理事を務める。趣味は講談、投資、猫に添い寝。

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