最新のペアリングは中国料理とあのドリンク! 画期的なマリアージュが生まれた理由

チャイナシャドー@ストリングスホテル東京インターコンチネンタル/著者撮影

料理とワイン

フランス料理では料理にワインを組み合わせることによって、食事をより楽しめるようになっています。色や風味や重たさを合わせて味わいをより深めるか、足りない食味を補ってバランスを保つかして、食体験を高めているのです。

料理とワインの関係性は非常に重要であることから、料理にワインを合わせることは結婚を意味するマリアージュとよくいわれます。

最近では、料理一皿ごとによって最適なワインを合わせるペアリングが主流となっており、たとえば、アミューズや冷前菜にはシャンパーニュ、前菜には白ワイン、メインディッシュには赤ワインといったように、コースを通してマリアージュを体験できるようになっているのです。

このマリアージュやペアリングは広まっていき、ビールや日本酒といったアルコール、さらには、お茶などのノンアルコールドリンクを合わせるようになり、発展していきました。

新しいマリアージュ

チャイナシャドー/著者撮影
チャイナシャドー/著者撮影

様々な料理とドリンクのマリアージュが試みられているペアリング全盛期にあって、新しい取り組みが行われています。

それは、中国料理とカクテルとのペアリングです。

中国料理に合わせるドリンクといえば、だいたいはビールや紹興酒ですが、最近はワインとのペアリングも一般的になってきました。

ワインはまだしも、カクテルとなると味わいも香りも強いので、中国料理に限らず、マリアージュは容易ではありません。

そういった状況にあって、中国料理とカクテルのペアリングに挑戦しているのが、ストリングスホテル東京インターコンチネンタルの中国料理「チャイナシャドー」です。

2020年7月1日から9月30日の平日夜にかけて行われている「シノワ&カクテル」では、開業時から腕をふるう料理長の黒柳正司氏による料理と、コンペティションでの受賞歴も多いヘッドバーテンダー高橋司氏のカクテルを楽しめます。

「シノワ&カクテル」の内容

チャイナシャドー・アペタイザー/著者撮影
チャイナシャドー・アペタイザー/著者撮影

「シノワ&カクテル」は次の通り。提供される中国料理はこちらです。

  • チャイナシャドー・アペタイザー

北京ダック、鮑の青山椒ソース、天使の海老 グリーンマヨネーズソース、窯焼きチャーシュー、サザエの紹興酒浸け、クラゲの和え物、豚肉と青菜の煮凝り

  • ヌードル

特製担々麺

  • デザート

杏仁豆腐 サマーフルーツ

アペタイザー類が豊富で、アフタヌーンティーのような美しいプレゼンテーションで提供されます。アペタイザーを食べ終えるとヌードルが運ばれて来て、最後はデザートという流れです。

カクテルを含めたドリンクはこちらです。

  • カクテルセレクション

モヒート、ハイボール、チャイニーズ・ニーズ、チャイナシャドー・シーブリーズ、陳皮の梅酒ソーダ

  • モクテル(ノンアルコールカクテル)セレクション

バージンモヒート、白胡麻アーモンドミルクティー、Orchard Dawn~果樹園の夜明け~

  • スパークリングワイン
  • 生ビール
  • 赤・白ワイン
  • 紹興酒
  • ソフトドリンク各種

カクテルに加えてノンアルコールカクテルのモクテル、そして、スパークリングワインやワイン、紹興酒まで用意されています。このどれもがフリーフローになっていて、自由にオーダーできるのは嬉しいところでしょう。

ペアリングのオススメ

興味が引き立てられるのは、どのカクテルがどの料理に合うか、ということではないでしょうか。高橋氏は次のように案内します。

陳皮の梅酒ソーダ/著者撮影
陳皮の梅酒ソーダ/著者撮影

「陳皮の梅酒ソーダ」は陳皮を溶かし込んだ自家製の梅酒ソーダで、氷の上に梅のチップが載せられていて、甘い香りが漂います。陳皮はマンダリンオレンジの果皮を干したもので、山椒の風味とよく合うので、「鮑の青山椒ソース」にぴったりです。

「チャイナシャドー・シーブリーズ」は「シーブリーズ」に手を加えたもの。北京ダックのオイルを浸透させて裏漉ししたウォッカがベースになっているので「北京ダック」に合うことは間違いありません。

チャイニーズ・ニーズ/著者撮影
チャイニーズ・ニーズ/著者撮影

「チャイニーズ・ニーズ」は「ビーズ・ニーズ」をアレンジしたカクテルで、通常レシピに山椒のジンと自家製のライチハチミツが加えられています。中華らしい香りと口中をさっぱりさせる清涼感があるので、比較的どの料理にも合うでしょう。このカクテル名にはチャイニーズや「チャイナシャドー」のニーズをもっと広げたいという高橋氏の思いも込められています。

Orchard Dawn~果樹園の夜明け~/著者撮影
Orchard Dawn~果樹園の夜明け~/著者撮影

モクテルの「Orchard Dawn」は中国ティーと自家製ラズベリーシロップ、ライチという構成。非常に爽やかなので「窯焼きチャーシュー」「特製担々麺」といった味わいが濃厚なものとも相性がよいです。

白胡麻アーモンドミルクティー/著者撮影
白胡麻アーモンドミルクティー/著者撮影

「白胡麻アーモンドミルクティー」はデザートに最適なモクテル。自家製の胡麻アーモンドミルクは優しい甘味で、デザートの味わいを尊重しています。あしらわれたピンクペッパーによるピリッとした刺激が、甘味にはちょうどいいアクセント。

「シノワ&カクテル」の背景

特製担々麺/著者撮影
特製担々麺/著者撮影

「シノワ&カクテル」は非常に面白い試みですが、どのようにして考案されたのでしょうか。

黒柳氏は「コロナ禍でも安心して楽しめるプランをつくりたいと考えた。全て大皿盛りではなく、小皿盛りにしてそれぞれのゲストにサーブしている。ホテルならではの優雅な空間で、こだわりの中国料理とフリーフローを楽しんでいただけたら嬉しい」と述べます。

メニューの内容は、まず黒柳氏が料理を考え、高橋氏が料理に合うカクテルとモクテルを考案するという流れで決まりました。食べ疲れたり、飲み疲れたりしないものをということで、夏にぴったりの軽やかなものが用意されています。

一般的にフリーフローのカクテルにはあまり凝ったものがありません。それだけに、フリーフローのためだけにつくられたオリジナルカクテルが味わえるのは嬉しいところ。お酒を飲まない人にも楽しんでもらえるようにとモクテルも充実させています。

高橋氏はこれだけ多くのオリジナルカクテルを生み出すにあたって、どのようなことを考えたのでしょうか。

「伝統的な中国料理や繊細な味わいを邪魔しないように心がけた。色々なものを楽しめるようにと、様々な味わいや色合いを取り揃えた」と答えます。

今後も行う予定はあるのでしょうか。

黒柳氏は「まずこの夏を盛り上げたい。ウィズ・コロナの時代では、一回一回の外食がこれまでよりも慎重になっていく。せっかく外で食べるなら、大切な人と普段自宅では食べられない上質なものを、安心できる場所で食べたいと思うのではないか。そのような時に、中国料理とカクテルのフリーフローを利用していただけたら嬉しい」と力を込めます。

調和をテーマにした中国料理

杏仁豆腐 サマーフルーツ/著者撮影
杏仁豆腐 サマーフルーツ/著者撮影

ストリングスホテル東京インターコンチネンタルのストリングスとは、弦を意味する言葉。

2019年12月11日にグランドオープンしたダイニングエリアは「スコア・ダイニング」と名付けられ、どの料飲施設も音楽に関連する名前やコンセプトがつけられました。

「チャイナシャドー」はリノベーション前から存在する唯一のレストランです。名前は以前と同じままですが、調和をテーマにすることになりました。

そのコンセプト通り、オーセンティックな中国料理にモダンな食材や調理法を用いたり、和の要素を存分に取り入れたディナーコース「和音」を提供したりと、様々なものとの調和を図っています。

今度は中国料理とカクテルという挑戦的な調和を試みていますが、これも黒柳氏と高橋氏というタレントが揃った上でのこと。これを機に「シノワ&カクテル」というスタイルが定着していくのではないかと期待しています。