トランプ大統領も泊まったパレスホテル東京に新しいレストランがオープン 注目したい3つのこと

パレスホテル東京「エステール(ESTERRE)」内観/著者撮影

パレスホテル東京に新たなフレンチ・ファインダイニングがオープン

日本における美食のレストランガイドといえば、ミシュランガイドがまず筆頭に挙げられるでしょう。1900年にフランスで創刊し、1926年から星をつけるシステムが始まり、そして2007年には日本でも創刊されました。

そのミシュランガイドで、史上最年少で3つ星を獲得し、異なる3つの国で3つ星を獲得した世界初のシェフといえば、アラン・デュカス氏です。

日本で展開しているレストランは、最高級ファッションブランド「シャネル」とコラボレーションし、2004年にオープンした「ベージュ アラン・デュカス 東京」。

デュカス氏から絶大の信頼を得られている小島景氏が総料理長として腕をふるい、東京のミシュランガイドが始まってから2つ星を獲得し続けている名店です。

そのデュカス氏によって設立された「デュカス・パリ」がパレスホテル東京と組み、満を持して、この東京に新たなレストランをオープンし、世界から耳目を集めています。

パレスホテル東京「エステール(ESTERRE)」

パレスホテル東京「エステール(ESTERRE)」エントランス/著者撮影
パレスホテル東京「エステール(ESTERRE)」エントランス/著者撮影

そのレストランとは、パレスホテル東京に2019年11月1日に開業した「エステール(ESTERRE )」。デュカス氏の故郷であるフランスのオクシタニー地方の言葉で「母なる大地」を意味します。

パレスホテル東京は、アメリカのドナルド・トランプ大統領が2019年訪日の際に宿泊したことでもよく知られている、日本のラグジュアリーホテル。

パレスホテル東京はデュカス・パリをパートナーとして迎え、「大地と海の出会いの物語を紡ぐ場所」をコンセプトにして、日本のテロワールを存分に生かし、フランス料理の技術で旬の素材を最大限に引き出した日本ならではのレストランを志向しています。

フランス料理に忠実でありながらも、日本の大地と海の恵みの大切さを表現するメニューを提供していくということです。

マルタン・ピタルク・パロマー(Martin PITARQUE PALOMAR)氏がシェフに就任

オートアルプ産ヒヨコ豆のコンフィ 鰻とキャヴィア/著者撮影
オートアルプ産ヒヨコ豆のコンフィ 鰻とキャヴィア/著者撮影

シェフを務めるのはマルタン・ピタルク・パロマー(Martin PITARQUE PALOMAR)氏。

1992年に生まれ、フランスでミシュランガイド2つ星「ルストー・ド・ボマニエール」をはじめとする星付きレストランで修業を重ねました。

2014年には、ミシュランガイド3つ星「アラン・デュカス・オ・プラザ・アテネ」へプルミエ・シェフ・ド・パルティとして移籍し、2016年からはロンドンのミシュランガイド3つ星「アラン・デュカス・アット・ザ・ドーチェスター」でエグゼクティブ・スーシェフを務めました。

パロマー氏は「フランス料理の技術を使って、日本のテロワールが生み出す素晴らしい食材をお皿に表現することは、私自身にとって新たな挑戦であり、非常に楽しみにしている」と述べました。

ペストリーシェフはトマ・ムーラン(Thomas MOULIN)氏

アラン・デュカスのチョコレートやげん堀の七味/著者撮影
アラン・デュカスのチョコレートやげん堀の七味/著者撮影

ペストリーシェフに就任したのがトマ・ムーラン(Thomas MOULIN)氏。

1991年生まれで、フランスやロンドンのミシュランガイド星付きレストランで修行。その後、ホテル・デュ・カステレのミシュランガイド3つ星レストランで、ペストリースーシェフを務め、2018年から香港のミシュランガイド1つ星「レッシュ・バイ・アラン・デュカス」 でペストリーシェフとして腕をふるいました。

ムーラン氏は「フランスのコンテンポラリーで洗練されたペストリーをご提供し、本物を知る日本の皆様に新たな発見をしていただくことを楽しみにしている」といいます。

ランチは5コース、ディナーは3コース

オマールブルー キャベツとみかん シヴェのシュク/著者撮影
オマールブルー キャベツとみかん シヴェのシュク/著者撮影

「エステール」の店舗規模は60席で、個室3室。これだけのファインダイニングで個室が3室も設けられているのは充実しています。

前身の「クラウンが」64席、個室3室であり、キッチンエリアの面積も変わらないので、以前よりも席数は少なくなっており、ゲストが有するプライベート空間は広がっているといえるでしょう。

ランチ、ディナーともにコースとアラカルトが提供されています。

ディナーは15000円、19000円、26000円という3コース、ランチは6500円、9500円の2コースに加えてディナーのコースもオーダーできます。「ベージュ アラン・デュカス」と比べると、ほぼ同じような値段です。

デュカス氏の旗艦店のひとつであり、ミシュランガイド3つ星を獲得しているモナコの「ルイ・キャーンズ」では、ディナーで最も高いコースが360ユーロ、つまり、約43000円になっています。

それを考えれば、「エステール」のディナー26000円コースは、日本のフランス料理では最高級の価格帯になりますが、デュカス氏によるファインダイニングの中では、決して高くないといってよいでしょう。

注目点

栃木産和牛 茄子と紫蘇/著者撮影
栃木産和牛 茄子と紫蘇/著者撮影

このように今年最も話題となるレストランがオープンしたといっても過言ではありませんが、「エステール」の注目点はどこでしょうか。

まずは 「ベージュ アラン・デュカス」との差別化です。

「ベージュ アラン・デュカス」は総料理長の小島氏による鎌倉野菜をふんだんに用いた料理が特長。「エステール」も日本のテロワールを存分に生かすというコンセプトで、穀物や野菜、フルーツをふんだんに取り入れ、食材を余すことなく使い、素材本来の味を生かした減塩・低脂質・低糖なヘルシーで地球に優しいフランス料理が楽しめます。それぞれ、どのようにして日本の食材をモダンフレンチに昇華させているのか、比べてみると面白いでしょう。

次にミシュランガイドの星。「ミシュランガイド東京 2020」の発表会は11月下旬となっていますが、11月1日オープンは対象になりません。なぜならば、これまでの例を鑑みるに、審査対象となるには、どんなに最低でも3ヶ月前にはオープンしている必要があるからです。

したがって、来年発表される「ミシュランガイド東京2021」でいくつの星を獲得できるかが注目されることでしょう。東京では、フランス料理の3つ星が3店舗しかないだけに、「エステール」が4店舗目として名を連ねるか、関心がもたれます。

最後はパレスホテル東京への影響。「エステール」のスタッフはパレスホテル東京の従業員です。

世界的に成功しているデュカス氏の哲学やノウハウを吸収することにより、美食でも評判の高いパレスホテル東京のレストランが、さらに飛躍することが期待されます。したがって、他のレストランの変化があるかどうかをみてみるのも、面白いところではないでしょうか。

また、「エステール」をオープンするにあたり、内装だけではなく、テーブルウェアも新しくなっています。フランスのリモージュの磁器や日本の有田焼が使われているので、プレートもチェックしてみるとよいでしょう。

日本とフランスの架け橋

パレスホテル東京「エステール(ESTERRE)」内観/著者撮影
パレスホテル東京「エステール(ESTERRE)」内観/著者撮影

常務取締役総支配人である渡部勝氏は「デュカス氏はフランス料理の技法を通して日本のテロワールを表現できる素晴らしい料理人」と述べ、2016年から始動した大きなプロジェクトであるといいます。

デュカス氏は、パリ、モナコ、ロンドンに3つ星レストランを擁する、異なる国で3つ星を獲得した世界初の料理人ですが、「エステール」も3つ星を獲得すれば、異なる4つの国で3つ星レストランを有することになります。

「歴史に根ざしたパレスホテル東京とパートナーを組めて、素晴らしいコラボレーションになりそうだ。日本とフランスの架け橋になりたい」とも述べるように、フランスの美食を通して、日本とフランスの絆が深まり、より多くの人に素晴らしい食体験が得られることを期待しています。