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シャンパンしゃぶしゃぶ、ハーレーのTボーン、ブランドのグリルコンボ。今そこだけのホテル肉料理の背景

東龍グルメジャーナリスト
シャンパンしゃぶしゃぶ@けやき坂(グランド ハイアット 東京)/著者撮影

引き続き肉ブーム

農林水産省が公表している平成29年度食料需給表(概算)における「国民1人・1年当たり供給純食料の推移」を確認すると、日本人による肉の消費量は増え続けています。

※食料需給表に掲載されている1人・1年当たり供給純食料(「1人当たり供給」内の「1年当たり数量」の欄)が1人当たり年間消費量に該当します。これは、野菜のしんや魚の頭部、内臓などの通常食しない部分を除いた量です。なお、純食料には店頭での売れ残りや家庭での賞味期限切れによる廃棄などが含まれるため、「摂取量」とは異なる概念である点に留意願います。

出典:よくある質問

ぐるなびが2014年から毎年発表している2017年の「今年の一皿」で「鶏むね肉料理」が選ばれたり、海外から有名ステーキハウスが引き続き上陸していたり、熟成肉や赤身肉がまだまだ話題になっていたりすることも鑑みれば、肉ブームはまだ維持されているといってよいでしょう。

鉄板焼、焼肉、すき焼き、しゃぶしゃぶ、ステーキハウスといった業態ではなく、単に肉料理屋というジャンルも確立されており、肉はグルメにおいて重要な一角を担っているといっても過言ではありません。

そのような肉人気の中で、興味深い肉メニューを提供しているホテルがあります。

  • ラウンジ&ダイニング G(東京マリオットホテル)

グリルコンボディナー

  • けやき坂(グランド ハイアット 東京)

シャンパンしゃぶしゃぶ

  • グリロジー バー&グリル(ヒルトン東京お台場)

ハーレーダビッドソン×グリロジー 肉を食べ尽くすコラボレーションメニュー

それぞれの肉料理の背景を詳しく紹介していきましょう。

ラウンジ&ダイニング G(東京マリオットホテル)

青森県産リンゴをあしらったヴォルドーフサラダ グリルターキーを添えて@東京マリオットホテル/著者撮影
青森県産リンゴをあしらったヴォルドーフサラダ グリルターキーを添えて@東京マリオットホテル/著者撮影

肉料理といえば、どの種類の肉を思い浮かべるでしょうか。

ステーキであれば外国産のビーフが一般的ですし、鉄板焼であれば黒毛和牛が普通でしょう。トンカツであればもちろん豚肉であり、焼き鳥は鶏肉と、料理によって肉の種類はある程度決まっているものです。冬になれば、ジビエのシーズンとなり、鹿、鴨、猪、熊なども選択肢に加わります。

様々な肉があるにも関わらず、レストランでどれか一つしか選べないのは、肉好きとしては残念なことです。

しかし、東京マリオットホテル1階にある「ラウンジ&ダイニング G」では、定番のディナーコース「グリルコンボディナー」で何種類もの肉を味わうことができます。

しかも、2018年12月1日から2019年2月28日にかけて行われている「ハートウォーミング ウィンター ディライツ」では、ブランドの牛肉、豚肉、鶏肉がワンプレートで提供されているのです。

コース内容

熊本産「伝承あまざけ」ベースのクラムチャウダー 2色のニョッキを浮かべて@東京マリオットホテル/著者撮影
熊本産「伝承あまざけ」ベースのクラムチャウダー 2色のニョッキを浮かべて@東京マリオットホテル/著者撮影

コース内容は以下の通り。

グリルコンボディナー ウィンター

  • 本日の一口前菜
  • 青森県産リンゴをあしらったヴォルドーフサラダ グリルターキーを添えて
  • 熊本産「伝承あまざけ」ベースのクラムチャウダー 2色のニョッキを浮かべて
  • グリルコンボ

根菜とキノコペーストをロールした北海道産知床鶏

鹿児島県産黒華牛もも肉のローストビーフ

霧島純粋豚肩ロースのロール仕立て

季節野菜のグリル添え

  • ペストリーシェフ渾身のデザート
  • コーヒー

前菜2種にスープが出された後で、シグネチャーとなっているグリルコンボが運ばれてきます。国産のブランド肉が異なる調理法で提供されているので、飽きさせません。

注目料理

グリルコンボ@東京マリオットホテル/著者撮影
グリルコンボ@東京マリオットホテル/著者撮影

「青森県産リンゴをあしらったヴォルドーフサラダ グリルターキーを添えて」は、1893年頃にアメリカ合衆国ニューヨークにあったウォルドーフ・ホテル(1931年に開業したウォルドーフ・アストリア・ホテルの前身)で考案されたサラダ。リンゴやナッツ類、セロリ、マヨネーズに加えて、ワイルドライス、チキンとバルサミコ酢も添えられています。

「熊本産『伝承あまざけ』ベースのクラムチャウダー 2色のニョッキを浮かべて」はあまざけのコクが隠し味となったクラムチャウダー。白と緑のニョッキを浮かべている体が温まるスープに仕上げています。

「根菜とキノコペーストをロールした北海道産知床鶏」はニンジン、ゴボウなどを巻いたバロティーヌに仕上げ、バジルソースをかけています。知床鶏は北海道産の小麦や海藻粉末を飼料に配合した植物性飼料を与えて育てた臭いが少ない鶏です。

「鹿児島県産黒樺牛もも肉のローストビーフ」は、東京ではあまり食べられない黒樺牛(くろはなぎゅう)で作られたローストビーフ。黒樺牛は、熊本県宇城市に本社を置く、食肉卸業の杉本本店が自社ブランドとして2004年に開発した黒毛和牛です。黒毛和牛の黒、白樺の樺から、命名されました。黒樺牛は、黒毛和牛独特の甘味とやわらかさが感じられるので、しっとりとしたローストビーフにはぴったりでしょう。

「霧島純粋豚肩ロースのロール仕立て」は、しっかりと火を入れてありますが、ジューシーで豚の旨味を讃えています。霧島純粋豚は、宮崎県と鹿児島県に跨る、霧島高原の広大な自然環境の中で、徹底した衛生管理野のもと、抗生物質を一切使わない専用肥料で飼育した健康豚です。

「ペストリーシェフ渾身のデザート」は、寒い冬ということで、小さなフライパンで提供される温かなパンプディングが提供されています。

背景

ペストリーシェフ渾身のデザート@東京マリオットホテル/著者撮影
ペストリーシェフ渾身のデザート@東京マリオットホテル/著者撮影

「ラウンジ&ダイニング G」では、何種類もの肉料理が楽しめるグリルコンボメニューを2016年から提供しており、約2~3ヶ月毎に新しくなっています。

そもそものところ、どうしてグリルコンボを提供することになったのでしょうか。

広報の小幡泉氏は「『ラウンジ&ダイニング G』はもともとグリル料理をメインに据えたレストランとしてオープンしたことから、ダイナミックなグリル料理をご堪能いただくシグネチャーコースとして考案した」と目玉のグリル料理として誕生したといいます。

今回のグリルコンボの内容はどのようにして決まったのでしょうか。

「火入れから焼き上がりまでこだわったメインディッシュを、どうおいしく召し上がっていただけるかを考えた結果、牛肉、豚肉、鶏肉を食べ比べて楽しめるメインディッシュに至った」と答えます。

特にこだわっているメニューについては「黒樺牛は関東ではあまり出回っていない九州産の黒毛和牛。腿肉を最もおいしく食べられるようにローストビーフに仕上げている。あまざけを使ったスープは、体が温まるので寒い冬にはぴったり」と2品を挙げます。

ゲストの反応を尋ねると「味だけでなく、見た目も非常にこだわっているので、料理を提供した時に驚いていただいている。提供スタイルは変わるかもしれないが、グリル料理はシグネチャーなので、引き続きグリルコンボを提供していきたい」と力を込めます。

「ラウンジ&ダイニング G」の「G」は、Gourmet(グルメ)、Gatherings(集い)、Goodies(心をくすぐるようなモノ)を意味していますが、Grill(グリル)もまさに「G」なので、今後も色々な肉料理を一度に体験できるグリルコンボに期待したいです。

けやき坂(グランド ハイアット 東京)

鮪の黒胡麻焼き 生姜ジャム添え@グランド ハイアット 東京/著者撮影
鮪の黒胡麻焼き 生姜ジャム添え@グランド ハイアット 東京/著者撮影

鉄板焼では、フランス料理で可能な調理方法がほぼ全てできるといわれています。実際に鉄板焼で焼いたり蒸したりするのは、お手の物です。

見た目が印象的な塩釜焼きといった手法もありますし、最近では耐熱フィルムで煮るのも一般的となりつつあります。

ただ、いくら様々な調理方法が可能であるといっても、鉄板焼でしゃぶしゃぶを作ると聞いたら驚くのではないでしょうか。しかも、出汁で湯通しするのではなく、シャンパーニュで湯通しするとなると、全くの初耳となるかと思います。

実はこの「シャンパンしゃぶしゃぶ」が、2019年1月7日から3月31日にかけてグランド ハイアット 東京「けやき坂」で提供されているのです。

「けやき坂」の料理長を務める本多良信氏は、オリジナル和牛である「けやき坂 ビーフ」を開発して2017年11月から提供を始めたり、鉄板焼カウンターでソルベを作ったり、黒トリュフの塩釜焼を考案したりと、常に先進的な試みを行っています。

<最高級食材の白トリュフはいくら? 一流ホテルの料理人が有する白トリュフの哲学>で紹介したように、白トリュフの季節には、鉄板焼で白トリュフのコースを提供するなど、様々な食材を組み合わせることにも長けているのです。

ヌーベル鉄板焼を追求する本多氏が生み出した「シャンパンしゃぶしゃぶ」はどういった料理なのでしょうか。

コース内容

「けやき坂」料理長の本多良信氏がシャンパンしゃぶしゃぶを調理する様子(手前)@グランド ハイアット 東京/著者撮影
「けやき坂」料理長の本多良信氏がシャンパンしゃぶしゃぶを調理する様子(手前)@グランド ハイアット 東京/著者撮影

「シャンパンしゃぶしゃぶ」はアラカルトメニューとなっていますが、コースにも組み立ててもらえます。「シャンパンしゃぶしゃぶ」が入ったコースはこちらの通り(事前に要確認)。

  • 鮪の黒胡麻焼き 生姜ジャム添え
  • 九州産舌平目のムニエル ケッパーバターソース アーモンドサラダ添え
  • シャンパンしゃぶしゃぶ
  • けやき坂 ビーフ テンダーロイン
  • トリュフとチーズのリゾット
  • フォンダンショコラ バニラアイスクリーム添え
  • コーヒー または 紅茶

「シャンパンしゃぶしゃぶ」はもちろん興味深いですが、マグロと黒胡麻を合わせた料理や舌平目の鉄板焼、さらにはフォンダンショコラなど、前菜から続くデザートまで他のメニューも気になる料理名ばかりでしょう。

「けやき坂」だけでしか食べられないオリジナル黒毛和牛である「けやき坂 ビーフ」も含まれているのは嬉しいところです。

注目料理

シャンパンしゃぶしゃぶ@グランド ハイアット 東京/著者撮影
シャンパンしゃぶしゃぶ@グランド ハイアット 東京/著者撮影

「鮪の黒胡麻焼き 生姜ジャム添え」はマグロにたっぷりと黒ごまをまぶして、ちょうどよいミキュイに仕上げています。マグロにはガリをということで、レモンとショウガのコンフィチュールを付け合わせているのが粋なところです。

「九州産舌平目のムニエル ケッパーバターソース アーモンドサラダ添え」は舌平目の旨味をシンプルに味わえる逸品。アーモンドのふくよかな味わいとパリパリとした食感が、まさに今が旬の舌平目の上品な旨味とよく合っているでしょう。

「シャンパンしゃぶしゃぶ」では、最初に鶏のブイヨンが入れられたオーバルの容器が鉄板の上に載せられ、そこにたっぷりとシャンパーニュが注がれます。しっかりと泡立てられており、見た目も圧巻。シャンパーニュの程よい酸味によって、「けやき坂 ビーフ」のサーロインが、非常にさっぱりと仕上げられています。コンディメントにはポン酢と西京味噌入りの胡麻だれが提供されますが、さっぱりとしたサーロインには後者の方がお勧めです。

「トリュフとチーズのリゾット」は「シャンパンしゃぶしゃぶ」を注文した場合にアップグレードすると選ぶことができます。シャンパーニュと「けやき坂 ビーフ」の出汁から作られたリゾットには、黒トリュフもふんだんにスライスされるので、贅を極めた鉄板焼コース「最後のお食事」になっているといえるでしょう。

背景

トリュフとチーズのリゾット@グランド ハイアット 東京/著者撮影
トリュフとチーズのリゾット@グランド ハイアット 東京/著者撮影

これまでもヌーベル鉄板焼を追求し続けてきた本多氏ですが、この「シャンパンしゃぶしゃぶ」は初めての試みでした。

どういった経緯で考案されたのでしょうか。

本多氏は「もともと『けやき坂』のゲストは、サーロインよりテンダーロインを好まれる傾向にあった。そのため、上質な脂を含むサーロインも楽しんでいただけたらと思い、さっぱりと召し上がっていただけるメニューとして、しゃぶしゃぶを考えた」と答えます。

続けて「『けやき坂』は従来の鉄板焼とは一線を画す革新的な店であり、ゲストは舌が肥えているので、ただのしゃぶしゃぶでは満足していただけない。そのため、試行錯誤を繰り返していき、お肉が柔らかくなり、華やかな風味をまといながらも、さっぱりとした口当たりになる『シャンパンしゃぶしゃぶ』に辿り着いた」と一流店ならではの事情を語ります。

こだわっているところについては「酸味の強弱を考え、しゃぶしゃぶに使用するシャンパンとブイヨンのバランスを何度も研究した。程よい酸味と旨味が感じられるベストな配合で提供している」と、全く新しい料理ならではの苦労を話します。

ゲストの反応は「想定以上に多くのゲストからご注文いただいており、半数以上はドン・ペリニヨンにアップグレードされている。サーロインなのにさっぱりしていて食べやすいと好評で、肉のお替り(1枚10gより可)を希望する方も多い」と「けやき坂 ビーフ」にシャンパーニュを合わせた試みが成功であるとします。

「しゃぶしゃぶは、チームでよく食べに行くので、身近に感じている。みんなでワイワイと気兼ねなく食べられるので、チームギャザリングにもよい」と答える本多氏に、今後も提供するかと訊いてみると「まだ検討中だが、夏にはスタミナダレを使った新バージョンも面白いのではないか」と既に素晴らしいアイデアが浮かび上がっているようなので、進化版「シャンパンしゃぶしゃぶ」がこの夏にも食べられそうです。

グリロジー バー&グリル(ヒルトン東京お台場)

ハーレーダビッドソンの展示@ヒルトン東京お台場/著者撮影
ハーレーダビッドソンの展示@ヒルトン東京お台場/著者撮影

ハーレーダビッドソンをご存知でしょうか。

ハーレーダビッドソンは、食以外に関して非常に疎い私でも知っている、アメリカのモーターサイクル・ブランドです。1903年に創立し、ウィスコンシン州ミルウォーキーに本社を構える企業であり、大型モーターサイクル、カスタムバイクで世界最大手の地位を占め、世界中のライダーから愛されるトップブランドのひとつです。

非常にワイルドかつ印象的なバイクを生み出すメーカーであり、全世界に熱狂的なファンがいることでも知られています。

そんなハーレーダビッドソンが、これまでほとんど前例はなかったホテルのレストランとのコラボレーションを行っているのです。

コラボレーションしたホテルのレストランは、ヒルトン東京お台場の「グリロジー バー&グリル」。

「グリロジー バー&グリル」では、2019年2月3日から5月31日にかけて、ランチではハーレーダビッドソンとコラボレーションした「ファットボーイ・アメリカンビーフワイルドバーガー」を、ディナーでは「ハーレーダビッドソン×グリロジー肉を食べ尽くすコラボレーションメニュー」を提供しています。

同期間中の日曜日には「肉好き集まれ!肉ビュッフェ開催!」として、全13種類の肉料理とサラダ、デザートが好きなだけ楽しめるディナーも開催。

期間中は館内に希少なバイクを3台の展示し、月一度のバイカー向けイベントも開催しています。ランチとディナーにはハーレーダビッドソンのオーナーに特別優待価格で提供するなど、非常にユニークな企画となっているのです。

コース内容

ハーレーダビッドソンウィスキースモークサーモン サーモンリエットのキャンディバー@ヒルトン東京お台場/著者撮影
ハーレーダビッドソンウィスキースモークサーモン サーモンリエットのキャンディバー@ヒルトン東京お台場/著者撮影

「グリロジー バー&グリル」では、総料理長である水口雅司氏の類まれなる想像力を生かした以下のコラボレーションメニューを楽しめます。

ハーレーダビッドソン ディナーコース

  • ロブスターショットフォーティーエイト
  • ハーレーダビッドソンウィスキースモークサーモン サーモンリエットのキャンディバー
  • 杉板の香る銀鱈のグレーズ 柚子リゾット 雲丹 花穂 季節のグリーンリーフを添えて
  • ウルトラTボーンステーキ マッシュポテト 下仁田葱のスパイスリーク ハーレーダビッドソンウィスキーペッパーソース
  • バニラムース サフラン香るパイナップルオレンジゼリー パッションクリームとブラックチョコレートクッキー

メニュー名を見てみると、通常コースメニューのようにも感じますが、使われている食材やプレゼンテーション、さらには背景を鑑みると、どれもこのハーレーダビッドソンとのコラボレーションならではの一品であることが分かるでしょう。

注目料理

ウルトラTボーンステーキ マッシュポテト 下仁田葱のスパイスリーク ハーレーダビッドソンウィスキーペッパーソース@ヒルトン東京お台場/著者撮影
ウルトラTボーンステーキ マッシュポテト 下仁田葱のスパイスリーク ハーレーダビッドソンウィスキーペッパーソース@ヒルトン東京お台場/著者撮影

「ロブスターショットフォーティーエイト」は、ハーレーダビッドソンのスポーツスターモデル「フォーティーエイト」にちなみ、48時間かけてトマトビーフコンソメを仕上げた一品です。コンソメスープがウィスキーのスキットルに入れられており、目の前でロブスターとキャビアオニギリが入ったショットグラスに注がれます。

「ハーレーダビッドソンウィスキースモークサーモン サーモンリエットのキャンディバー」は、ハーレーダビッドソンのウィスキーで漬けたサーモンを楽しめる冷前菜。ボトルからは桜の素晴らしい薫香が漂います。ハーレーダビッドソンがイメージされるオレンジ色をふんだんに用いて、グリロジーのシグネチャーディッシュにアレンジしました。

「ウルトラTボーンステーキ マッシュポテト 下仁田葱のスパイスリーク ハーレーダビッドソンウィスキーペッパーソース」は、ハーレーダビッドソンのツーリングモデル「ウルトラ」を上から見た形がTボーンに似ていることからインスパイアされ、水口氏によって生み出されたステーキ。ハーレーダビッドソンのオリジナルウィスキーで作られたペッパーソースは刺激的で大人の味わいでしょう。

「バニラムース サフラン香るパイナップルオレンジゼリー パッションクリームとブラックチョコレートクッキー」はオレンジの球体とキャンバスが映えたアシェットデセール。ヴァローナのジバララクテはバニラの香りがしてマイルドな味わいです。

背景

バニラムース サフラン香るパイナップルオレンジゼリー パッションクリームとブラックチョコレートクッキー@ヒルトン東京お台場/著者撮影
バニラムース サフラン香るパイナップルオレンジゼリー パッションクリームとブラックチョコレートクッキー@ヒルトン東京お台場/著者撮影

ハーレーダビッドソンとグリルレストランのコラボレーションは非常に珍しいですが、どのようにして実現に至ったのでしょうか。

マーケティングコミュニケーションズ マネージャーの粉川元美氏は「以前から『グリロジー バー&グリル』で何か面白いプロモーションを開催したいと考えていた。ある日、マーケティング コミュニケーションズのチームが総料理長の水口と立ち話で、ハーレーダビッドソンのイメージとよく合うのではないかと盛り上がった」と、意外なきっかけであったと振り返ります。

続けて「話が出たその日のうちに、コネクションのある営業部を通して相談した。すると、ハーレーダビッドソンの担当者から前向きな返事をいただいたので、水口がすぐにメニューを考案した」と非常にスピード感のある展開であったとします。

コラボレーションのメリットについて尋ねると「ホテルとしては新しい顧客層にアプローチできる。ハーレーダビッドソンとしてはオーナー様にユニークなサービスを提供できる。双方にとって非常によいコラボレーション」と納得のいく回答を寄せます。

また、ハーレーダビッドソンのオーナーはツーリングに出ると駐車場に困ることが多いようです。お台場はツーリングの目的地として素晴らしい場所であり、ヒルトン東京お台場に広い駐車場があることも、ハーレーダビッドソンにとって大きな魅力だったといいます。そういった経緯もあり、プロモーション期間中は、ハーレーダビッドソンでホテルに訪れて利用すると、駐車場の利用料が無料となる特典を設けたということです。

評判を尋ねてみると粉川氏は「ハーレーダビッドソンの会員様向けニュースレターで紹介された直後に、グループでランチのハーレーハンバーガーの予約がすぐに入った」ということなので、早くも評判を呼んでいるようです。

水口氏が「ハーレーダビッドソンを見ていると肉を想像することがある。バイクと肉は全く異なるが、ワイルドなイメージでは共通しているかもしれない。今回のメニューを作成するにあたり、私が感じるハーレーダビッドソンを自由に表現することができた」と自信を持つように、モーターバイク、それもハーレーダビッドソンをイメージした料理となれば、他ではまず食べられないだけに、この冬注目の肉料理であることは間違いありません。

今そこだけしか食べられない肉料理

この冬に食べてみたい肉料理として、何種類もの肉料理を食べられる東京マリオットホテルの「グリルコンボ」、鉄板で鍋料理を作り出すグランド ハイアット 東京「けやき坂」のシャンパンしゃぶしゃぶ、ハーレーダビッドソンをイメージした肉料理を楽しめるヒルトン東京お台場「グリロジー バー&グリル」のコース料理を紹介しました。

肉料理の食べ比べが季節によって新しくなったり、創造的な調理方法によって黒毛和牛のおいしさがより引き出されたり、思わぬコラボレーションによってTボーンステーキの魅力が紡ぎ出されたりしています。

どれも今そこだけでしか食べられないおいしい肉料理なので、気になったら是非とも食べに訪れてみてください。

グルメジャーナリスト

1976年台湾生まれ。テレビ東京「TVチャンピオン」で2002年と2007年に優勝。ファインダイニングやホテルグルメを中心に、料理とスイーツ、お酒をこよなく愛する。炎上事件から美食やトレンド、食のあり方から飲食店の課題まで、独自の切り口で分かりやすい記事を執筆。審査員や講演、プロデュースやコンサルタントも多数。

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