フーテン老人世直し録(324)

長月某日

 前回ブログを書いた直後に山尾志桜里衆議院議員が民進党を離党する記者会見を行い、そのことを巡ってまたテレビのワイドショーがバカ騒ぎを続けている。なぜバカ騒ぎが続くかと言えば「男女関係はない」と言い切る山尾氏が離党したからである。

 「男女関係がないならなぜ離党したのか、嘘をつかずに男女関係を認めろ」というゲスの怒りが爆発し、だからテレビが取り上げる。しかしフーテンは前回のブログで書いたが、政治家の身の下問題を騒ぐことほど愚劣なことはないと考える。

 政治家の最も「私」の部分に属する問題は、政治家にとって最も重要な「公」の能力と何の関係もない。政治家の能力は唯一「公」の分野で判断されるべきで、もし問題にされることがあるとすれば身の下の相手に「公」の立場を利用して利益を供与した場合である。私的な関係の範囲を超えていなければ問題は何もない。

 民主主義政治の先進国ではそれが常識なのだが、米国だけがそれとは異なっていたものをクリントン大統領のセックス・スキャンダルが命取りにならず、「未熟な米国政治がようやく成熟した」とフランスのメディアから称賛された事例を前回のブログで紹介した。

 従ってフーテンは山尾議員の議員辞職などとんでもないと思い離党にも反対であった。文春の記事に堂々と対応した方が良い、対応ぶりによっては「禍を転じて福」とすることもあり得ると考えていた。ところが山尾氏は「男女関係はない」と言い切る一方、民進党に迷惑をかけるという理由で離党を発表した。

 これで民進党に山尾氏を守る気がなかったことが分かる。同じく週刊文春に「口利き疑惑」を報道された甘利明衆議院議員が自民党を離党せず今も主要な地位にいるのとは対照的である。スキャンダル報道に対し自民党は所属議員を守るが民進党は守らない。その構図が鮮明になった。

 言うまでもなく「口利き疑惑」の方が「不倫疑惑」より政治家にとって致命的である。フーテンの考えでは100対0の割合だ。「不倫疑惑」は騒ぐ方がおかしいので問題にならないが、「口利き疑惑」は汚職の疑いだから100%問題にすべきである。

 「口利き疑惑」は国会で厳しく追及されて当然の事案である。しかし「不倫疑惑」を国会で追及する議員はいるだろうか。追及すれば追及した議員がバカにされつまはじきされるだろう。「不倫疑惑」はせいぜい三流週刊誌やテレビのワイドショーでバカ騒ぎするゲスな大衆向けの話題で、まともな場所でまともな人間が追及する問題ではない。

 ところが山尾議員は党から離党を迫られ甘利議員は党によって守られた。これがどのように政党に跳ね返ってくるか、そのことを民進党は考えたのだろうか。民進党執行部は山尾議員を守れば国民の反発を買い党は致命的な打撃を受けると考えたのだろう。

 しかし離党させることが党の利益にならないことだってある。そこのところの計算がフーテンには分からない。現実に起きているのは、山尾氏を離党させたことで民進党が週刊誌報道を認めた形に見え、一方の山尾氏は「男女関係はない」と言い切り、ゲスが怒りだして問題が尾を引いている。