Yahoo!ニュース

昭和・平成の名曲を未来へ歌い繋ぐ歌姫発掘オーディション『トロット・ガールズ・ジャパン』が熱い

田中久勝音楽&エンタメアナリスト
写真提供(全て)/「トロット・ガールズ・ジャパン」製作委員会

国発の歌姫発掘オーディション番組『トロット・ガールズ・ジャパン』が昨年12月に日本に上陸し注目を集める

韓国発の歌姫発掘オーディション番組『トロット・ガールズ・ジャパン』が昨年12月に日本に上陸し、盛り上がりを見せている。韓国で絶大な人気を誇る音楽ジャンル・トロットは、日本でいう昭和歌謡など懐メロに近いジャンルだ。韓国ではこれまでBTSやSEVENTEENのメンバーがトロット好きを公言したり、TWICEのメンバーがテレビ番組でトロット楽曲を披露したり、さらにPENTAGONのフイ、ASTROのMJら現役ボーイズアイドルたちでトロット・ユニット「タソッジャン」が期間限定で結成されたりと、トレンドになっている。

さらにトロットのガールズグループもデビューするなど、K-POPアイドルの間でもトロットは人気で、あらゆる世代を巻き込んでトレンドになっている。このブームを背景にして「トロット」のオーディション番組は30%を超える高視聴率を記録するなど、目が離せないジャンルになっている。

そのオーディションが『トロット・ガールズ・ジャパン』として日本に上陸。オーディション出場者は昭和から平成にかけての名曲を歌い、新たな日本のトロットの歌姫を発掘する。

出場者は12歳から50歳までと幅広く、韓国から現役トロット歌手やアイドルも参加

出場者の年齢は12歳から50歳までと幅広く、韓国からも現役トロット歌手やアイドルなど5名が参加するなど、様々なキャリアや経験を持つ“強者”54組57名が事前審査を通過し予選に参加。本線一次審査35組→本線二次審査26人→本線三次審査20人と激しいバトルが繰り広げられ準決勝に進む14人が決定。いよいよ佳境を迎え、ここからさらに決勝ステージに進む5組が選ばれる。

松崎しげる、船山基紀、Night Tempo他錚々たる顔ぶれの審査員が、あらゆる角度から出場者を審査

彼女達をあらゆる角度からジャッジする審査員は、審査委員長を務める松崎しげる(準決勝は欠席)をはじめ、日本の歌謡界を牽引してきた名編曲家・船山基紀、プロデューサーの鎌田俊哉、昭和の名曲をブラッシュアップする人気DJ・Night Tempo、トロットシリーズの仕掛け人の韓国のトップ・プロデューサー、ソ・ヘジン、遼河はるひ、浅香唯、安藤裕子など、錚々たるメンバーが参加。司会はお笑いコンビEXITが務める。

司会のEXIT
司会のEXIT

採点は、審査員(審査員長代理の船山基紀のみ40点満点、ほか1人20点満点)と一般審査員(1人1点)が担当。点数の高い上位5人が決勝戦に進出することができる。優勝者には賞金1000万円(+追加賞金)が授与される。

毎年春と夏に甲子園球場で繰り広げられる高校野球も、ベスト8の戦いが最も面白いという野球ファンが多いが、このオーディションも14人が戦う準決勝も素晴らしいパフォーマンスで、高得点を叩き出す出場者が続出し、熱量が高い回になった。

準決勝は「レジェンド歌手の名曲を歌い継ぐ」がテーマ。美空ひばり、越路吹雪、テレサ・テン、山口百恵の名曲14曲が課題曲

準決勝のステージは「レジェンド歌手の名曲を歌い継ぐ」がテーマで、美空ひばり、越路吹雪、テレサ・テン、山口百恵の名曲14曲が課題曲として選ばれ、出場者が希望曲を選択し、希望が被ったら抽選になる。それぞれのスタイルで歌い、個人戦で競った。

10代の若い出場者が、レジェンド達の難易度が高い歌をどう表現するかにも注目が集まった。後援会は1800人という注目のスーパー高校生・東亜樹は、テレサ・テン「別れの予感」を歌い180点を記録。広島の女子高生・住田愛子は「恋愛経験がないから困ってるんです」と、歌の世界にどこまで入り込めるか不安を口にしながら、山口百恵「愛染橋」を情感豊かな歌で歌いあげ、審査員ほぼ全員が満点をつける198点で暫定1位につけた。「16歳でここまで歌詞の世界を読み込むのはすごい。決勝でもう一回歌を聴きたいと思った」と審査員もその歌に脱帽していた。

様々な思いを抱えて一曲一曲全身全霊で臨む出場者

同じく、人一倍涙もろい広島の女子高生シンガー・ソングライター寿里も、山口百恵「いい日旅立ち」を審査員から「うらやましい声。表現力と世界観もすごい」と絶賛される歌声で187点と、歌のうまさはもちろんそれぞれが圧倒的な表現力で、ハイレベルな争いになった。

病気と闘う父にステージで歌う晴れ姿を見せたいと、強い思いで出場し勝ち残ったnatsucoは越路吹雪「愛の賛歌」を、まるでミュージカルのように感情を前面に出し熱唱。審査員長代理の船山が「感激した」と評価し183点、ガールズグループ解散後、歌手になる道を模索してきたアルトボイスが魅力の福田未来は、越路吹雪の「サン・トワ・マミー」を歌うも、自身も「二次、三次と比べると自分的には点数が低いステージだった」と語るように176点と伸びなかった。

二次で一度脱落するも繰り上げ合格しこのステージに立った韓国のキム・テヒは、脱落した4人の韓国人出場者の分も、と力が入る。テレサ・テン「愛人」を伸びやかな声で歌い174点。言葉の違いを乗り越え、歌の世界にしっかり入り歌う姿は、審査員も評価していた。

“歌は心”をモットーに歌い続けて30年、このオーディションを象徴するひとり、歌心りえも決勝へ

このオーディションを象徴する一人、「歌は心」をモットーに歌い続けて30年の歌心りえは、美空ひばり「一本の鉛筆」を柔らかくそして凛とした歌で表現。「新しい時代の『一本の鉛筆』が見えた」と絶賛され、185点を出した。美しい高音が武器の下北姫菜は、この番組のテーマソングにもなっている美空ひばりの「川の流れのように」を歌い、183点と続いた。注目の2組は共に高得点だ。

高校卒業後、歌の修行のため単身韓国に渡り練習生として5年間鍛え、現在は料亭の女将として働きながらオーディションを受け続けるMAKOTOは、山口百恵「イミテーション・ゴールド」を妖艶かつパワフルに歌う。本人も「楽しかった」と満足のいくできで185点。

審査員の得点により暫定のトップ5が決定しており、ここに一般審査員70人の票が加わり“真”のランキングが決まる。1位に輝いたのは住田愛子。準決勝ステージのMVPも獲得し「ここまでの努力が皆さんに伝わっていたことが嬉しい」と喜びを爆発させた。2位はMAKOTO。名前を呼ばれると「ヨッシャ!」と思わず声が出て「次はてっぺんを獲りたい」と気合が入る。3位はnatsuco。「この場にはいない一緒に頑張ってきた仲間の分も精一杯頑張る」と喜びの表情を見せた。4位は歌心りえ、そして最後に名前を呼ばれたのは5位下北姫菜だった。

アイドルから歌手へ、最後のチャンスに賭ける福田未来が決勝進出

5名の決勝進出が決まったが、決勝出場は8枠。残りの3枠を敗者復活審査で、2枠はアピール力や将来性など様々な観点から審査員が合議で、1枠は一般審査員が決める。ここでドラマが待っていた。福田未来の名前が呼ばれると、涙が止まらない。「納得のいかないパフォーマンスだったので、決勝に行きたいけどここで落ちても仕方ないと自分に言い聞かせていた」と、半分諦めていた中での復活劇。

福田はボーイッシュなガールズグループ「THE HOOPERS」のメンバーとしてデビューしたが、26歳の時にグループが解散。アイドルを卒業し、歌手になる道を模索しながらも苦戦続きで、29歳という節目に最後のチャンスという気持ちでこのオーディションに臨んでいた。二次審査で尾崎紀世彦の「さよならをもう一度」を歌い絶賛された、クールさ、妖艶さ、そして深みを感じるアルトボイスで頂点を目指す。

審査員合議残り1枠は寿里が復活した。そして一般審査員が選んだ最後の一人は東亜樹だった。「今日はこれ以上は出せないというパフォーマンスができ、悔いがない歌を歌えたと思っていたので(例え落ちても納得したけど)復活させていただけて嬉しいです」とほっとした様子だった。

決勝出場者9組が決定。二次で脱落した松永実優が視聴者からの“アンコール”=応援投票で大復活

これで決勝進出メンバーが揃ったが、さらに視聴者の応援投票による決勝進出者が発表され、松永実優が大復活だ。彼女は本戦二次で脱落していたが、視聴者からの熱烈な“アンコール”により決勝進出が決まった。松永は幼い頃から祖父と一緒に昭和歌謡や演歌を聴いて育ち、ミュージカルや舞台にも出演し、音大在学中からアイドルとして4年間活動してきた。しかし昨年6月歌謡歌手になるためにアイドルを卒業し、アルバイトをしながらボイトレやレッスンに励んでいる。実力派の元アイドルが下克上を起こすことができるのか、注目だ。

そしてドラマはまだまだ終わらない。5位で決勝進出を果たした下北姫菜が、諸事情により決勝を辞退。敗者復活投票で東に次ぐ2位だったキム・ソヒが繰り上げ合格した。

決勝出場者9組
決勝出場者9組

2月23日決勝のステージで人生を賭けて歌う

過酷なオーディションを勝ち抜いた9人が、決勝のステージで人生を賭けて歌う。この模様は2月23日午後6時からWOWOWとABEMAで同時生中継され、トロットビーナスが誕生する瞬間を目撃することができる。

またスペシャルライヴ『TROT GIRLS JAPAN 2024』が、3月17日(日)に東京LINE CUBE SHIBUYAで行われる。トロットビーナスはもちろん、オーディションで輝きを放ったシンガー達が、新しい感性で歌う昭和・平成歌謡を堪能したい。

『トロット・ガールズ・ジャパン』オフィシャルサイト

音楽&エンタメアナリスト

オリコン入社後、音楽業界誌編集、雑誌『ORICON STYLE』(オリスタ)、WEBサイト『ORICON STYLE』編集長を歴任し、音楽&エンタテインメントシーンの最前線に立つこと20余年。音楽業界、エンタメ業界の豊富な人脈を駆使して情報収集し、アーティスト、タレントの魅力や、シーンのヒット分析記事も多数執筆。現在は音楽&エンタメエディター/ライターとして多方面で執筆中。

田中久勝の最近の記事