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TOMOO 『関ジャム』で「天才」と絶賛されたSSWの、昨年発売のデビュー作にして名盤に集まる注目

田中久勝音楽&エンタメアナリスト
写真提供/ポニーキャニオン

『関ジャム』の“プロが選ぶ年間マイベスト10曲”で、いしわたり淳司が「Super Ball」を1位に、蔦谷好位置が「Grapefruit Moon」を2位にセレクト

人気音楽バラエティ番組『関ジャム 完全燃SHOW』の『プロが選ぶ年間マイベスト10曲』は川谷絵音、音楽プロデューサー・蔦谷好位置、作詞家いしわたり淳司が2023年に聴いた膨大な作品の中から、それぞれがBEST10 を発表する、視聴者はもちろん業界内が注目している年始の名物企画だ。1月21日のオンエアでは前週の10位から5位に続き、1位から4位までの楽曲とアーティストが発表され、シンガー・ソングライターTOMOOが蔦谷から「ユーミンさんと中島みゆきさんの両方の才能を持っている」と絶賛され、注目を集めている。

「彼女は今後メジャーシーンのど真ん中で長く活躍していく気がします」(いしわたり)

番組ではTOMOOの「Super Ball」をいしわたりが1位に、蔦谷が「Grapefruit Moon」が2位に挙げた。いしわたりは「Super Ball」の歌詞について「目の前の壁を壊せとか未来を切り拓け、という歌はたくさんあるけど、“尖らずに丸いままつらぬけ”というメッセージはあまり聴いたことがない。ちょっとした違いのようだけど、どこか耳新しくて、力強い言葉として届いてくる。自分のオリジナルな理屈や考えを歌で伝えようとすると、どうしても説明文みたいになってしまって、聴いたときにもたついてしまう事があるのですが、彼女は自分の想いを、自然な言葉の中で涼しげに歌として伝えられてしまう才能の持ち主という感じがします」と、TOMOOの物事を捉える視線、感情の切り取り方と言葉の選び方に注目していた。

特に「<おさまりのいい綺麗なビルじゃ>って始まりのAメロ」に注目したと語り「四角いオフィスビルっていうものの対極が、ポケットの中の子供の頃から知ってる小っちゃなスーパーボールだっていう……この対極を、一瞬でこの行数で正確に伝えて、そっから先、丸いままつらぬけっていう話になっている。スーパーボールの躍動感とかすべてが計算されつくしている感じがして、これって特殊な才能というか、素晴らしい才能だなと思います」と彼女の表現に脱帽した様子で、「彼女は今後メジャーシーンのど真ん中で長く活躍していく気がします」とその才能を絶賛した。

「時間の経過も感じさせる作詞作曲能力、歌唱表現に言葉を失うほど感動した」(蔦谷)

「Grapefruit Moon」を2位に挙げた蔦谷は「例年だったら1位にしていた。一人の女性が少女でもない大人でもない年代に差し掛かって、自分の肉体や精神の変革と向き合っているという曲だと思う」「歌詞だけでなく作曲においても心情や情景描写ができる」、そして「時間の経過も感じさせる作詞作曲能力、歌唱表現に言葉を失うほど感動した」とやはり絶賛。特に2番の<もう苦いのも食べられると 気がついた頃に思う それはさ、豊かさ? 鈍さか? なんてね>という歌詞に注目し「ちょっと照れが入ってる。つまりグレープフルーツって甘酸っぱい。甘酸っぱいって少女時代ですよ。苦味もある、大人の苦さ。これをひと言でこうやって表現するって素晴らしい」「天才ですよね」と高く評価した。

TOMOOの感情を、純度が高いまま聴き手に伝える小西遼のアレンジ。

TOMOOが作る楽曲は日常の光と影、相反するものを色濃く表現して、些細な感情の揺れ、心の機微を鮮やかに伝えてくれる。そんなTOMOOの感情を、純度が高いまま聴き手に伝えるが小西遼のアレンジだ。

蔦谷、いしわたりの言葉を通して、TOMOOの表現者としての魅力、作品の本質を垣間見ることができる。その魅力が伝わってくる。いや、すでに広く伝わっている。Official髭男dism・藤原 聡、Vaundy、YOASOBI・Ayase/幾田りらを始め、様々なアーティストからその音楽を絶賛され、一躍注目の存在になった。

“次”のフェーズに入ったタイミングで『関ジャム』で高い評価を受け、TOMOOの音楽が一気にお茶の前へと広がる

そして「夜明けの君へ」は映画『君は放課後インソムニア』の主題歌、「夢はさめても」はドラマ『ソロ活女子のススメ3』(テレビ東京系)のオープニングテーマの起用され、話題になった。昨年6月には東京・大阪のNHKホールでライヴを成功させ、9月27日には「Grapefruit Moon」、「Super Ball」も収録されている1st Album 『TWO MOON』をリリース。各方面から高い評価を得ている。全国ツアー『TOMOO LIVE TOUR 2023-2024 "TWO MOON"』を成功させ、“次”のフェーズに入ったことがわかる。そのタイミングで『関ジャム』で高い評価を受け、お茶の前へと広がっていった。

昨年9月に発売された『TWO MOON』がチャートで再浮上し、首位に

1stアルバム『TWO MOON』(2023年9月27日発売)
1stアルバム『TWO MOON』(2023年9月27日発売)

『関ジャム』でピックアップされたことを受け、2024年1月31日公開(集計期間:2024年1月22日~1月28日)のBillboard JAPANダウンロード・アルバム・チャート“Download Albums”で首位に再浮上し、ロングヒットになっている。

自身の“リアル”を伝えるために、感情を少しもこぼさずに届けようという想いの強さが伝わってくる。

改めて『TOO MOON』に収録されている13曲を聴くと、現在と過去曲が混在している中でも、その時その時の“リアル”を追求していることは、楽曲の中で眩しいほど輝いている。無邪気な視点や、少し背伸びしている視点もあるが、でもそれがその時の本当の想いだ。自身の“リアル”を伝えるために、どの曲も歌詞のメロディへの乗せ方がこれ以上はないと感じるほど絶妙で、それぞれの楽器のフレーズひとつにもとことんこだわって、言葉の意味、感情をこぼさずに届けようという想いの強さが伝わってくる。

“尖らずに丸いままつらぬけ”という「Super Ball」の一節のように、鋭く尖った感情、沸々とした熱い感情を失うことなく、球体のように視点が変わるだけ捉え方が変わるポップスに昇華させるメロディと歌詞。そしてそれを伝える優しい柔らかさと強さ、内側に存在する凛としたもの感じさせてくれる、心地よく響くアルトボイス。TOMOOの音楽は今を生きる人たちの心の中に、幾重にも輪を描いて広がる波紋のように、美しさを湛えて衝撃を与え続けている。

2月14日にニューデジタルシングル「Present」がリリースされる。そして6月20日のZepp Hanedaを皮切りに『TOMOO LIVE HOUSE TOUR 2024』 を行なう。

TOMOOオフィシャルサイト

音楽&エンタメアナリスト

オリコン入社後、音楽業界誌編集、雑誌『ORICON STYLE』(オリスタ)、WEBサイト『ORICON STYLE』編集長を歴任し、音楽&エンタテインメントシーンの最前線に立つこと20余年。音楽業界、エンタメ業界の豊富な人脈を駆使して情報収集し、アーティスト、タレントの魅力や、シーンのヒット分析記事も多数執筆。現在は音楽&エンタメエディター/ライターとして多方面で執筆中。

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