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GARNiDELiA「パワーをもらって強くなれた」3年振り声出しライヴ。ファンとの絆を確かめ合った夜

田中久勝音楽&エンタメアナリスト
写真提供/ポニーキャニオン(以下全て)

3年振りの東京公演、3年振りの声出しOKライヴ

2022年12月18日東京・EX THEATER ROPPONGIで行われた『GARNiDELiA stellacage 2022 -stella ship- OSAKA and TOKYO』は、3年振りの東京公演、3年振りの声出しOK(マスク着用の上)ライヴということもあって、ガルニデの二人も客席も、終始ハイテンション、高揚感マックスのライヴで、それぞれが忘れられない一夜になったはずだ。

「皆様、今日もカミサマアライアンスメンバー、GARNiDELiA stella ship をご利用くださいましてありがとうございます」という、音楽の旅の始まるを告げる機内アナウンスが流れ、ライヴがスタート。オープニングナンバーは「21248931」。力強いロックナンバーに客席は早くも総立ちで拳を突き上げ、溜まっていたパワーとエネルギーをステージに向け放出する。「Poppin' Trip」でダンサーも加わりステージが華やかになり、MARiAも「めちゃめちゃ気持ちいい」とファンの声に心から感動していた。続いて「grilletto」(TVアニメ『魔法科高校の劣等生』OPテーマ)とまさに畳みかけるような激しいセットリスト。〈手を伸ばして キミに届くように〉と歌いながら、ステージから身を乗り出して客席に手を差し出すMARiA。掛け合いも繰り広げられ、会場の温度がグングン上がっていく。転調がドラマティックな「Lucifer」では、エモーショナルな歌がさらに熱を帯びる。

「声が聞けるのサイコー」(toku)、「会話のキャッチボール、サイコー」(MARiA)と客席とのコミュニケーションをたっぷりとり“いつもの距離感”を確認し、ホッとしつつ、それを心から楽しんでいる二人の表情が印象的だった。MARiAが「tokuさんがずっとニコニコしている。こんなtokuさん初めて見た」と語っていたように二人とバンド、そしてスタッフ全員がライヴを届けられる喜びを噛みしめていた。

怒涛の“攻め”は続く。イントロから客席がジャンプする「Burning Soul」(PCゲーム『ソウルワーカー』テーマソング)のサビで大合唱が起こり、バンドが作る強力なグルーヴが印象的な「Gravity」では、MARiAがさらにギアを上げてパワフルなボーカルを響かせる。「BAD BOY」「NEON NIGHT」では、ダンサー共に、ショーダンサーのようなセクシーでしなやかなダンスを披露したり、ステッキを使ったダンスで、歌だけではなく見せるステージで楽しませる。

「やっぱりこれだよね~」

中盤、MARiAは着物をアレンジした衣装を纏い、和楽器とトラップやヒップホップが融合した激しいビートのダンスチューンを披露。「謳歌燗慢」、ガルニデならではの四つ打ちのエレクトロポップから、後半はレゲエのリズムに変わり、どこか歌謡曲の風情も感じさせてくれる「幻愛遊戯」(TVアニメ『うちの師匠はしっぽがない』OP)、「極楽浄土」でさらにヒートアップし、掛け合いをMARiAと客席が思い切り楽しむ。歌い終わると「やっぱりこれだよね~」と興奮した様子で、この日のライヴで一番感じたこと、手にしたことを吐露していた。

MARiAは今回のライヴについて、「みんなで旅をしていく」というコンセプトから“stella ship”というキーワードが生まれ、インディ―ズ時代から現在に至るまでを音で旅をしていくという意味が込められていると明かした。今回はSNSでファンが“神セトリ”と言っていたように、これまでのアルバムからまさに音の旅をするように、バランスよく選曲されていた印象だ。インタビューでMARiAが「2022年はあまりライヴができなかったので、今年を締めくくるという感じで、と言ってはいるものの、この9月からは来年(2023年)に向けての助走期間だと思っていて。だからライヴは“来年も行くぜ”というテンションだと思います」と語っていたように、加速をつけ“その先”へ向かうガルニデを見せてくれた。

「ORiON」「SPiCa - ReACT-」ではMARiAの歌が、さらに“深化”した表現力を見せつけてくれる。そして「Real」「my code」「BLAZING」(TVアニメ『ガンダム Gのレコンギスタ』OP)、「オオカミ少女」と、MARiAの「こんなに体力を削っていくのかっていう、信じられないくらいのセットリストだから」という予告通り、ステージも客席もものすごい熱量を生み出す。

「君の声がずっと聴きたかった。大丈夫だと思ってたけど全然大丈夫じゃなかった。でも踏ん張った、歯を食いしばった」

MARiAが「君の声がずっと聴きたかった。大丈夫だと思ってたけど全然大丈夫じゃなかった。でも踏ん張った、歯を食いしばった」とこの3年間の苦しかった思い、心に溜まっていた素直な思いを感極まりながら吐露する。ファンも待ち焦がれた3年間だった。歌と言葉で感情を交感し、それぞれが押し寄せてくる思いを抱きしめる。「ambiguous」は歌い出しから合唱になり、「キミを連れてきたい景色があるから。キミと見たい未来があるから」とメッセージを贈った本編ラストの「G.R.N.D.」では、客席全員がジャンプし、体でメッセージをステージに贈る。

アンコール一曲目は「アイコトバ」(TVアニメ『アニメガタリズ』OPテーマ)、2曲目に12月8日にリリースされたばかりの新曲「蒼天」(Nintendo Switch用ソフト『滄海天記』主題歌)を披露すると、その極上の疾走感に会場の温度が再び上昇する。MARiAは「まだまだ乗り越えなきゃいけない壁はたくさんあって、本当にこの3年間で、自分の不甲斐なさに対してすごく悔しくなる時もありました。でも今日パワーをもらって強くなれた気がする」と涙ながらに語っていた。どんなに語っても語り尽くせない思いを抱えて、この日のステージに臨んだことが伝わってくる。そして「約束の場所に必ず連れて行く」と力強く語り、ラストは「Birth」。コール&レスポンスで、最後まで客席とのコミュニケーションを楽しむ。

ワールドツアー開催を発表

この日は、インタビューでtokuが「来年はとにかく盛りだくさんだということだけは宣言しておきます」と語ってくれていた通り、その一部が発表された。まず、YouTube上で話題の、アレンジ、衣装、セット、照明に徹底的にこだわり、ガルニデらしさ全開の“圧巻”のJ-POPカバーシリーズ「Cover Collection」をまとめたアルバムの発売。さらに5月から9月にかけて国内はもちろん上海、北京、重慶、成都、深セン、韓国、台湾、香港、シンガポール、フィリピンなど海外も含め約20都市以上を巡るワールドツアー【GARNiDELiA stellacage 2023 -stella ship- Re:CoNNeCT】を開催することが発表された。メジャーデビュー10周年イヤーに突入する今年、GARNiDELiAとファンの“希望”を乗せた“stella ship”号の未来は前途洋々だ。

GARNiDELiAオフィシャルサイト

音楽&エンタメアナリスト

オリコン入社後、音楽業界誌編集、雑誌『ORICON STYLE』(オリスタ)、WEBサイト『ORICON STYLE』編集長を歴任し、音楽&エンタテインメントシーンの最前線に立つこと20余年。音楽業界、エンタメ業界の豊富な人脈を駆使して情報収集し、アーティスト、タレントの魅力や、シーンのヒット分析記事も多数執筆。現在は音楽&エンタメエディター/ライターとして多方面で執筆中。

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