Yahoo!ニュース

森山良子、平原綾香、LE VELVETS、山下洋輔、寺井尚子がクリスマスセッションで伝えたいこと

田中久勝音楽&エンタメアナリスト
写真提供/BS-TBS

“Heal The World〜世界を癒そう〜”をテーマに、一夜限りの豪華セッション

毎回一組のアーティストと、日本を代表する編曲家・ミュージシャン達が生演奏にこだわり、その日限りのアレンジでセッションする音楽番組『Sound Inn S』(BS-TBS)。上質なサウンドを追求し、そこから生まれる“熱”を届け続けている。12月17日(土)放送回は毎年恒例のクリスマス・スペシャル。今年は、森山良子平原綾香LE VELVETS、そしてジャズピアニスト・山下洋輔、ジャズヴァイオリニスト・寺井尚子が登場。“Heal The World〜世界を癒そう〜”をテーマに、時代を超えて愛される名曲の数々を船山基紀笹路正徳斎藤ネコ十川ともじ冨田恵一坂本昌之大嵜慶子という豪華アレンジャー陣がアレンジ。スーパーバンドとのセッションで癒しの音楽、背中を押す歌を届ける

“圧巻の5分間”――山下洋輔の「ボレロ」に酔う

山下洋輔
山下洋輔

今回のテーマは“Heal The World”。コロナ禍、ウクライナ情勢など、不安に苛まれた中で生活を送る世界中の人に向けて、アーティストが極上の音楽を届ける。歌だけではない、“音楽”で聴き手の心を潤す。見どころ満載の「クリスマス・スペシャル」だが、この番組に初出演の、キャリア50年を超えるジャズピアノ界の巨匠・山下洋輔のパフォーマンスは必見、必聴。ラヴェル作曲の「ボレロ」を軽快な指さばきから、肘まで使った自由で華麗な演奏で魅せる5分間は、まさに圧巻。

寺井尚子×坂本昌之「Smile」

寺井尚子
寺井尚子

ジャズヴァイオリニスト寺井尚子は坂本昌之のアレンジでチャーリー・チャップリンが作曲し、多くのアーティストがカバーしている「Smile」を披露。「皆さんが日々笑顔で過ごせるようになって欲しい」とメッセージを贈り、優しいメロディを歌うように奏でるヴァイオリンが、心地いい時間を作る。

森山良子×斎藤ネコ、笹路正徳=「花~すべての人の心に花を~」、「明日に架ける橋」

森山良子
森山良子

森山良子は「花~すべての人の心に花を~」を斎藤ネコのアレンジで歌った。ホーンセクションとストリングスが交差し生まれる美しいアレンジは、前半は抑え目で、後半徐々に熱を帯びてくる。森山のしなやかな歌は、聴き手の心に寄り添ってくれるように優しい余韻を残す。「明日に架ける橋」(サイモン&ガーファンクル)は笹路正徳のアレンジで披露。誰もが知るスタンダードナンバーを森山の色で染め上げ、今歌う意味を歌詞とメロディに丁寧に纏わせ、伝える。

LE VELVETS×冨田恵一、大嵜慶子=「Amazing Grace」、「Seasons of Love」

LE VELVETS
LE VELVETS

クラシックをベースにロックやポップス、ジャズ、J-POPまで様々なジャンルの歌を自在に表現する4人組ボーカルグループLE VELVETSは、「Amazing Grace」を冨田恵一のアレンジで披露。バリトンとテノールの4声と、上品かつクールな冨田節が利いたアレンジが重なり、芳醇な「Amazing Grace」が生まれる。「Seasons of Love」(ミュージカル『Rent』より)は大嵜慶子のアレンジで歌った。ゴージャスなアレンジと4人の圧倒的な表現力と歌が、情熱となって伝わってくる。

平原綾香×十川ともじ=「Heal The World」

平原綾香
平原綾香

平原綾香はマイケル・ジャクソンの「Heal The World」をカバー。アレンジは十川ともじ。ストリングスとフルートが印象的な、柔らかな肌触りのアレンジに、平原のエモーショナルな歌と厚いコーラスが重なり、この曲が持つ切なさが広がっていく。

平原綾香×平原まこと×坂本昌之=「Feels Like Home」

平原はこの日の収録に特別な思いを胸に秘め、参加していた。それは昨年11月に亡くなった、父で名サックス奏者の平原まことさんとの“セッション”が実現するからだ。平原が「とても大事な曲」と語る、まことさんの最後のレコーディングとなった「Feels Like Home」を、まことさんが残した音源とセッション。アレンジは坂本昌之。歌う横では、まことさんがそのレコーディングで使用したサックスとストラップが見守る。テレビで初めて親子共演したのもこの番組だった。その思い出の番組で、まるでまことさんが残したサックスの音を抱きしめるように歌う平原の歌は感動的だ。歌い終わった平原の目から大粒の涙がこぼれた。

オールキャスト×船山基紀=「White Christmas」

「White Christmas」は、船山基紀がアレンジした優雅で美しいサウンドを、全員でセッション。それぞれの歌が響き合い、山下のピアノと寺井のヴァイオリンが、そこに光を降り注ぐような音色で彩る。まさに一夜限りの豪華なセッションは、出演者からのひと足早いクリスマスプレゼントだ。

また、セイコーグループが行っている「未来を担う若者」を応援する次世代育成活動の一つ、「Seiko Summer Jazz Camp」を卒業し、国内外のジャズシーンで活躍が期待される6人のミュージシャンが、大林武司のアレンジで「I Got Rhythm」をセッション。こちらの演奏にも注目だ。

『Sound Inn S』(BS-TBS)は、12月17日(土)19時から1時間に拡大されオンエアされる。さらに番組放送終了と同時に「Paravi」で未公開映像と共に独占配信される。

BS-TBS『Sound Inn オフィシャルサイト』

音楽&エンタメアナリスト

オリコン入社後、音楽業界誌編集、雑誌『ORICON STYLE』(オリスタ)、WEBサイト『ORICON STYLE』編集長を歴任し、音楽&エンタテインメントシーンの最前線に立つこと20余年。音楽業界、エンタメ業界の豊富な人脈を駆使して情報収集し、アーティスト、タレントの魅力や、シーンのヒット分析記事も多数執筆。現在は音楽&エンタメエディター/ライターとして多方面で執筆中。

田中久勝の最近の記事