花火ほど、子供から年配者までを一瞬で夢中にさせ、楽しませる「エンターテイメント」は他にはないのではないだろうか。日本人の多くは昔から春は桜、夏は花火を観る事をなにより楽しみにしている。四季のありがたさを感じ、楽しみ、儚く美しいものに惹かれる国民性だろう。しかし花火は今は夏だけではなく、全国各地で一年中打ち揚げられている。花火には元々「鎮魂」の意味も込められ、同時に「希望」も与えてくれ、空に咲く大輪を観ているだけでグッときてしまう。でも打ち揚げる場所によっては、もっと感動的でグッとくるこということを、先日身をもって体験した。

伝説の「第1回フジロックフェスティバル」が開催された絶景の場所で、日本一の花火師フェス誕生

「The絶景花火@Mt.Fuji」――4月23日、このなんとも興味を引かれるネーミングに誘われ、行ってみた。場所は世界遺産・富士山の一合目に位置する「ふじてんリゾート」特設会場。音楽ファンにはおなじみの「フジロックフェスティバル」の第1回目が開催された場所だ(当時は「富士天神山スキー場」)。このフジロックは台風の直撃を受け、今や“伝説”として語り継がれているが(翌日は中止)、「The絶景花火」当日は晴天。目の前に鎮座する富士山の雄大さたるや、来場者はこれだけで気持ちがあがるはずだ。富士山の頂上付近はもちろん、会場にもまだ少しだけ雪が残っている。そして入場ゲートでは桜の花が出迎えてくれ、日本人が好きなものが全て揃う贅沢な風景が広がっている。さらにここで富士山と重なる花火を観るという、まさに「これを“絶景”と言わずなんと言う」というこの花火ショウのキャッチコピーの通りだ。

そしてなんといっても紅屋青木煙火店、磯谷煙火店、齊木煙火本店、菊屋小幡花火店という、創業100年を越える日本を代表する花火師BIG4の競演が観られる、それだけで胸が躍る。その最強の職人達が、互いにその技巧の限りを尽くす、花火師フェスでもある。国内、いや世界最高峰の花火イベントといっても過言ではないクオリティだ。優に10000人は収容できる会場に、定員は1095人。全てが特別席、全てがベストビューポイントになっているなど、全てにおいて“圧倒的”なクオリティとホスピタリティを追求していることが伝わってくる。

撮影/筆者
撮影/筆者

夕暮れが迫る18:30。富士山の姿はまだはっきり見える。気温がグッと下がり、標高1500mにいることを肌で感じる。澄んだ空気の中でのプロローグは「富士の夕暮れ」と題し、本編への期待感を煽るように、一発ずつゆっくりと富士山をバックに打ち揚げる。これぞ絶景。花火に照らされる夕暮れ時の富士山は感動的だった。夜の帳が降りてきて、いよいよ本編が開幕。まずは「歓喜の花束」と名付けられた一斉スターマインからスタート。一発打ち揚がるごとに客席から歓声が上がる。各社の特徴が出ている個性的な芸術玉は、まるで夜空を照らす星の代わりのようで、客席のあちこちからため息が漏れる。

その後も、2社がコラボする合同スターマイン、終盤は4社混合で、ドーンと腹に響くような低い打ち揚げ音が響き渡り、球が開いた際の直径が300メートルにも及ぶ“尺玉”と呼ばれる大玉を次々と惜しげもなく打ち揚げていった。拍手が沸き起こる。そしてラストは4社が協力した日本初の花火師BIG4の夢の競演のスペシャルタイムだ。イメージや想像を軽々と越えてしまう極上花火は、まさに息を飲むような美しさだ。約1万発の花火が“富士空”に鮮やかに咲いた。優雅に、そして花開く一瞬の儚いその“美”は、脈々と受け継がれてきた進化の歴史なんだと改めて感じさせてくれる。

開催前にはテレビのニュース番組にも取り上げられたり、開催後も中国を始め、世界中にその情報が伝えられるなど、日本にまたひとつ注目の花火イベントが生まれた。富士山+花火という外国人にはたまらないイベントになるのは間違いなく、インバウンド需要も大いに期待できそうで、将来的には世界を代表する花火大会のひとつになる可能性を秘めている。さらに来年以降は開催地である山梨県鳴沢村のふるさと納税返礼品としても活用されるなど、ラグジュアリーな花火イベントとして、さらに注目を集めそうだ。

来年2023年は「ふじさん」の年。4月22日(土)に開催することが発表されている。さらにパワーアップした新しい“春エンタメ”「The絶景花火」を楽しむことができそうだ。

「Th絶景花火」オフィシャルサイト