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TK from 凛として時雨×稲葉浩志(B’z) 、衝撃コラボの全貌「悦びに満たされたコラボ」

田中久勝音楽&エンタメアナリスト
TK from 凛として時雨(写真提供/ソニー・ミュージックレーベルズ)

「衝撃どころじゃない奇跡のコラボ!」――TK from 凛として時雨(以下TK)が、B’zの稲葉浩志をゲストに迎えたシングル「As long as I love/Scratch(with 稲葉浩志)」(3月16日発売)の、「Scratch」のレコーディングの様子を捉えたダイジェスト映像を観たファンからのコメントが、今回のコラボの重要性とワクワク感を一番表しているのではないだろうか。

「すぐそばで 聴いた歌声は、あの頃よりも更に輝きを増していて、より届かない場所から大切な何かを降り注いでくれてるかの様でした」(TK)

『As long as I love(with 稲葉浩志)』は、作詞は稲葉とTKによる共作で、 作曲・アレンジをTKが手がけたクールで美しいロックナンバー。「自分の部屋に篭りながら、無我夢中で弾いていた Bʼz」のボーカリスト・稲葉と共に感情と声を交錯させながら、熱いクリエイティブに臨んだTK。「すぐそばで聴いた歌声は、あの頃よりも更に輝きを増していて、より届かない場所から大切な何かを降り注いでくれてるかの様でした。」と興奮を隠せない様子だ。その興奮を全く隠そうとせず、体と心から迸る思いが、そのまま「As~」にはパッケージされている。TK の激しいギターリフと、歪みで鮮やかな煌びやかさ描き出し、厚いリズム隊の音が作る性急なビートとが重なり、心を揺さぶられる。そして太さと重さを合わせ持つ稲葉のハイトーンボイスと、透明感と繊細さを感じさせてくれつつも、突き刺さってくるようなTKのハイトーンボイスとが交差し、閃光を放っているような感覚になる。さらに、まるでジェットコースターのようなスリリングな展開の楽曲構成も相まって、カタルシスを呼び起こし、聴き終わったあとは得も言われぬ感動に包まれる。

「最初に彼から送られてきたデモを聴いた瞬間に迷いのようなものは消え去り、あとはTKの創作欲の勢いに身を任せて完成まで突っ走った、という感じです」(稲葉)

稲葉浩志
稲葉浩志

「Scratch (with 稲葉浩志)」(作詞・曲TK)は、切ないピアノから幕が開くストリングスが印象的な、強くも繊細なバラードだ。 TKが紡ぐ言葉とメロディ、この曲に込めた思いと温度を、稲葉が両手でしっかりと掬い取り、感じ、情熱的に歌い上げる。特にサビでの二人の歌はあまりに美しく、胸に迫ってくるものがある。間奏のエモーショナルなギターソロは雄弁で、その後、急に訪れる静けさとTKの優しいボーカル、そのメリハリにグッとひきつけられる。質の違う、だがどちらも極上の肌触りのハイトーンボイスが並走し、時に重なり合い、美しい轍になっていく。その轍が余韻になり、いつまでも心の中でこの曲が響く。

TKとの制作について稲葉は「お話をいただいた時は TK と一緒にどんなものを作れるか自分でも予想がつかず、とにかくお互いに納得できる面白いものができたなら発表しましょうという前提でスタートしたプロジェクトでした。そして最初に彼から送られてきたデモを聴いた瞬間に迷いのようなものは消え去り、あとは TK の創作欲の勢いに身を任せて完成まで突っ走った、という感じです」と振り返っている。TKのB‘zへの憧れ、リスペクト、そして同じ表現者として、稲葉浩志という稀代のボーカリストと今何をやるべきか、伝えるべきか、現時点でのTKというアーティストの存在証明をこの2曲の中に残した。そして稲葉がそこに刻印を押した。

昨年10月にソロプロジェクト10 周年の集大成的な ベストアルバム 『egomaniac feedback』 を発表し、 milet、斎藤宏介(USG/ XIIX)、阿部芙蓉美などとのコラボが話題になったが、思えば TK from凛として時雨の10年は、コラボレーションの歴史と言っても大げさではない。それほど様々なアーティストと有意義な交流を重ね、化学反応を起こし、一人のアーティストとしての自己を高めてきた。凛として時雨という、強固なトライアングルとは全く違う場所で、己と戦い“深化”してきた。

そして今回TKが「Guitarそして、音楽活動をするうえで自らの血肉となったとアーティスト」というB’zの稲葉浩志とのコラボに辿り着いた。いや手繰り寄せた。稲葉は今回の2曲の歌を通して、そして「TKは非常に耳が良く、頭も柔らかく、アイデアも豊富で、何より楽しい会話のできるミュージシャンです。素晴らしい音楽体験ができたこと、感謝しております」というメッセージからも、TKへのリスペクトが溢れている。何より稲葉はこれまで、GUNS N' ROSESのギタリスト・スラッシュ、スティーブ・ヴァイ、スティーヴィー・サラスなど海外のビッグネームとのコラボで話題を集めたが、そこにTKの名前が加わるということが、そのリスペクトの大きさを表している。

「音楽への扉を開けてくれた存在が、今も圧倒的な存在として心を震わせ続けてくれる悦びに満たされたコラボレーションでした(TK)

昨年5月、B’zの全曲がサブスクでの楽曲配信が解禁されたり、Mr.ChildrenやGLAYとの対バンライヴを行なったり、稲葉浩志としては映画『SING/シング:ネクストステージ』(3月18日公開)で、新キャラクターであるライオンのクレイ・キャロウェイ役の日本語吹替声優に初挑戦し、歌も披露している。B’zという日本を代表するアーティストと、そのボーカリストは常に刺激を求め、世代を超え様々なミュージシャンとコラボすることで、新しい何かを生みだそうとしている。TKとのコラボでも稲葉は、新しい何かが生まれる瞬間を目の当たりにしたのではないだろうか。TKは「音楽への扉を開けてくれた存在が、今も圧倒的な存在として心を震わせ続けてくれる悦びに満たされたコラボレーションでした。この曲が多くの人の傷跡として宿り続けます様に」と語り、今回のコラボで、表現者として“その先”にある確かな光を感じ、それは強い推進力となってTKというアーティストを、さらに上のステージに押し上げるはずだ。

「As long as I love/Scratch(with 稲葉浩志)」(3月16日発売)
「As long as I love/Scratch(with 稲葉浩志)」(3月16日発売)

なお「Scrach (with 稲葉浩志)」は、“世界でもっともよく遊ばれているトレーディング ・カードゲーム”などで、様々なギネス記録を持つ『マジック・ザ・ギャザリング』の 10 年ぶりの日本題材商品『神河:NEON DYNASTY』の広告に起用されている。

TK from 凛として時雨 オフィシャルサイト

音楽&エンタメアナリスト

オリコン入社後、音楽業界誌編集、雑誌『ORICON STYLE』(オリスタ)、WEBサイト『ORICON STYLE』編集長を歴任し、音楽&エンタテインメントシーンの最前線に立つこと20余年。音楽業界、エンタメ業界の豊富な人脈を駆使して情報収集し、アーティスト、タレントの魅力や、シーンのヒット分析記事も多数執筆。現在は音楽&エンタメエディター/ライターとして多方面で執筆中。

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