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加藤ミリヤ 3人のアレンジャーとの「夢見心地」セッションで感じたこと、伝えたかったこと

田中久勝音楽&エンタメアナリスト
写真提供/BS-TBS

加藤ミリヤが“深化”した歌で伝える、愛のメッセージ

時を超えた、ここでしか聴くことができないサウンド”がコンセプトの音楽番組『Sound Inn S』(BS-TBS)の1月15日(土)放送回に、シンガー・ソングライター加藤 ミリヤが登場。今歌いたい、伝えたい歌を笹路正徳、十川ともじ、本間昭光の3人のアレンジャー、スーパーバンド共にセッション。その素晴らしいアレンジと演奏に「夢見心地でした」と語る彼女の歌はさらに“深化”し、ますます説得力を増し、言葉の伝わり方がこれまで以上に心の奥深くまで届いてくる、そんな感覚を覚えた。

「自分のテーマソングになっている」という、尊敬する椎名林檎の「本能」を、笹路正徳のアレンジでカバー

この日の一曲目は彼女が尊敬している椎名林檎の「本能」(1999年)をカバー。この曲は2020年に発表した初のカバーアルバム『COVERS -WOMAN & MAN-』にも収録されているが、その時はALIのジャジーなアレンジで歌った。この日のアレンジを手がけるのは笹路正徳。加藤が中学時代に出演していたオーディション番組の審査員を務めていたのが笹路で、20年ぶりの再会に喜びを分かち合っていた。加藤が「自分のテーマソングになっている」というこの曲を、クールなホーンセクションと、笹路のピアノソロが印象的な、モダンなジャズテイストの情熱的な肌触りのアレンジで披露。その歌はさらに精悍さを増し、さらに繊細に言葉一つひとつを伝えてくれる。

十川ともじの「最高のアレンジ」で歌った「DEVIL KISS」は「今一番伝えたい愛のメッセージ」

2曲目に披露した「DEVIL KISS」は、昨年10月に発売した3年ぶりのオリジナルアルバム『WHO LOVES ME』のリード曲で、現在の音楽シーンを代表するトラックメイカー/プロデューサー・KMと共に作り上げた、攻めているポップスだ。歌詞も愛情表現が猟奇的で攻撃的な男性と、そんな愛情にハマってしまっている女性、極端な愛のカタチを表現し、引き込まれる。そんな曲のアレンジを手がけたのは十川ともじ。ギターやホーンがラテンの情熱的な空気を作り出し、そのサウンドと加藤が紡いだ歌詞が作るリズムが溶けあって、言葉が突き刺さってくる。デビューして18年、多くの女性の共感を得てきた加藤のラブソング。特に「押し付けない、きれいごとにしない」歌詞は高い支持を得、「色々な人がいて、色々な愛の形があって、それが全部正解」というメッセージを伝え続けてきた。この曲は「今一番伝えたい愛のメッセージ」だ。歌い終わった加藤は「オリジナルを忘れてしまうくらい、最高のアレンジ」と感激していた。

大切な曲「勇者たち」を本間昭光のアレンジで。「この曲をこういう気持ちで歌うのは初めて」

最後は2011年のシングル「勇者たち」。期せずして、東日本大震災から立ち直ろうと奮闘する全ての人々の心に寄り添うような歌詞になっており、自身も「時間が経っても忘れてはいけないことを思い出させてくれる曲」と、ライヴで歌い続けている大切な作品だ。この日のアレンジの手がけたのは本間昭光。ハープをフィーチャーした、優しく包みこんでくれるようなアレンジで、加藤も「優しい気持ち、笑顔で歌える。この曲をこういう気持ちで歌うのは初めて」と絶賛。年を重ね、二児の母となった加藤の歌はより“豊か”になり、とびきりの優しさと、逞しさを感じさせてくれ、コロナ禍で前を向いて歩いていく全ての人を「勇者」と称えている。「ライヴをやっているような感じだった」と本間が語っているように、バンド、加藤、音を奏でている全ての人の心がひとつになって、お客さんに語りかけるように音を響かせていたのが印象的だった。

「忘れられない時間になりました」

全てのパフォーマンスを終えた加藤は「初めてとは思えない温かな現場で、忘れられない時間になりました」と語り、さらにこれからの自身の「歌」について、「聴いてくれる人の心の隙間に、空気みたいに入り込める歌を歌っていきたい」と、その歌でリスナーの心をもっともっと潤したいと、決意を新たにしたようだ。

加藤ミリヤがスーパーバンドとセッションを繰り広げる『Sound Inn S』(BS-TBS)は、1月15日(土)18時30分からオンエアされ、番組放送終了と同時に「Paravi」で未公開映像と共に独占配信される。

BS-TBS『Sound Inn S』オフィシャルサイト

音楽&エンタメアナリスト

オリコン入社後、音楽業界誌編集、雑誌『ORICON STYLE』(オリスタ)、WEBサイト『ORICON STYLE』編集長を歴任し、音楽&エンタテインメントシーンの最前線に立つこと20余年。音楽業界、エンタメ業界の豊富な人脈を駆使して情報収集し、アーティスト、タレントの魅力や、シーンのヒット分析記事も多数執筆。現在は音楽&エンタメエディター/ライターとして多方面で執筆中。

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