パックンマックン 25周年で15年ぶりの単独ライヴ開催「トレンドを追いかけないことが正解」
15年ぶりの単独ライヴ『二刀流でメジャー25周年!パックンマックン ワールドツアー!』開催
25周年を迎えたお笑いコンビ、パックンマックン(パトリック・ハーラン、マックン)が、2022年3月19日、15年ぶりの単独ライヴ「二刀流でメジャー25周年!パックンマックン ワールドツアー!」(東京・山野ホール)を行なう。パックンはその幅広い知識を生かしコメンテーターなどで活躍し、マックンも『ものスタ』(テレ東)で10年間司会を続けるなどMCで忙しくし、漫才は続けながらもそれぞれが別のフィールドで活躍している。15年ぶりの単独ライヴへの意欲、そして25周年を迎え、改めて二人の関係などについてインタビューした。
「今回もできれば避けて通りたかった(笑)」(マックン)
「本当に久しぶりにマックンが燃えています」(パックン)
――単独ライヴはなんと15年ぶりです。
パックン 大丈夫か?って思っているのはあなただけではありません(笑)
マックン みなさんそうです(笑) 。
パックン でも僕らはずっと漫才はやっているんです。
マックン ただ単独ライヴをやろうという話は出たことがなくて(笑)、できれば今回も僕的には避けて通りたいなって(笑)。年齢的に昔ほどの元気というか情熱がなくて…(笑)。
パックン サボりたいだけでしょ?今、人生が充実しすぎてるからでしょ?
マックン 昔は、昼間コンビニでバイトをして、夜はずっとファミレスでネタを書いて、という時代もありましたが今は安定しちゃってるんですかね。
パックン ハングリー精神も、アングリー精神もなくなっちゃって。
マックン でも今回この単独ライヴを提案してくださったBSフジの方のおかげで、ライヴに向けての気持ちが完全に生き返りました。
パックン 本当に久しぶりにマックンが燃えています。ネタも一生懸命書いて、ライヴの半年前からもうネタ合わせをしています。
「新ネタはもちろん、SDGsの時代なので環境のために昔のネタもたくさんやろうかと(笑)」(パックン)
「講演会で、あらゆる年齢層と客層を相手に舞台を何百回も経験してきて、それが生きるはずです」(マックン)
――どんなライヴになりそうですか?
マックン 25年目のパックンマックンはこんな感じですよ、というのを全部見せたい。とにかくやりたいことを全部やって、自分達が楽しんでいれば、お客さんにも楽しんでもらえると思っています。
パックン 漫才もトークも両方やりたいですね。新ネタはもちろんですが、SDGsの時代なので環境のために昔のネタもたくさんやろうかと(笑)。
――今お二人は講演会で大忙しですね。
パックン そこが15年前の単独ライヴと違うところで、講演会では今まで、幼稚園生からお年寄りまで、客層も年齢層も違うお客さんを相手に舞台を何百回も経験してきて、それが生きるはずです。
マックン 講演会で本当に揉まれました。全く笑いが起こらない高校とかあって、昔は動揺していましたが、そこでやり切ることを磨いてきました。いまだにそういう場面に出くわすことがありますが、でも笑わない人達の心を動かせるようになってきました。90分間の楽しませ方、楽しみ方がわかっているので、それは生かせると思います。
「パックンマックンで検索すると不仲、解散って出てきますけど、仲良しです(笑)」(マックン)
――お二人の関係性は結成当時からあまり変わらない感じですか?
マックン 結成当初はケンカばかりしてました。今もパックンマックンで検索すると不仲と解散って出てきます(笑)。僕らは昔からネタ作りで本気でケンカしていましたし、それは人前であろうと関係なくやっていました。でも他の漫才コンビはそういうところを見せないですよね。
パックン 一昨年のお正月番組で、ケンカをしたらそれがすぐにネットのニュースになっていました(笑)
マックン 僕がネタをガッツリ飛ばしてしまって、でもテレビではそこが編集されているので、フォローしようとしているパックンがおどおどしている姿だけが強調されて、パックンが悪いという見え方になっていました(笑)。そのあと、ラジオで鬼越トマホークに「パックンは本番であれだけおどおどしてたのに、舞台裏でマックンにキレている時の日本語はキレキレだった」って言われたり、みんな面白がってくれました(笑)。
パックン いやいや、それは裏のお笑いであって、真のお笑いじゃないからね(笑)。
――ニュースや情報番組でどんなコメントを求められても、いつも完璧な返しのパックンさんがおどおどしている画は、それは面白いですね。
パックン そうかもしれないけど、単独ライヴではそういうのはやめようね。
「25年間やってきて、お笑いシーンはいくつかのトレンドがあったけど、でも“芯”の部分は変わっていない」(パックン)
――デビュー当時、外国人と日本人の漫才コンビって他にはいませんでしたよね。
パックン お笑いが本業の国際コンビは僕らだけだったと思います。
――しかもパックンさんの日本語が完璧というのが面白かったです。25年間、お笑いシーンに身を置いて、変わったところと変わらないところを教えて下さい。
マックン 若手と僕らとはもう発想が全然違うし、でも僕らが20代の時にやっていたネタを見て、今もう大御所になっている先輩たちに「お前たちがやっているネタはよくわからない」って言われていたので、いつの時代も変わらないと思います。だから僕らが今の若い人達の感性に寄せていっても面白くなくて、48歳と51歳のおじさんが食いついている分野、面白がっているものをネタにして、そこでどう勝負できるかです。
パックン この25年でいくつかのトレンドがあったと思います。一発ネタ、リズムネタ、モノマネがフィーチャーされた時もあったし、でも僕は日本のお笑いの“芯”の部分はあまり変わっていないと思う。ボケ、ツッコミは今も成立しているし、我々は昔も今も正統派だと思いますが、今旬の人を見ていても、そんなに遠いところにいる感じはしません。そこまで変わっていないと思うから、マックンが言った通りトレンドを追いかけないことが正解だと思います。何が変わったかというと、お笑い芸人のプレゼンスが変わった。昔はお笑いブームがあって、それが去っていってという感じでしたが、今はずっとお笑いが人気になっています。MC、コメンテーターにも芸人が多い。
マックン ○○芸人って、あらゆる分野で芸人が活躍しています。その分野の専門家よりも専門性が高い芸人の方が面白く話せるから、活躍の場がたくさんあるのだと思います。
パックン お笑いのセンスを持った人が、お笑い以外の情報を伝えられるようになったから、今テレビがすごく面白いと思う。ただ競争率が激しくなっていますけど。
――お笑い芸人は地頭がよくて、センスもあって、テレビのヒーローに慣れる存在ですよね。
パックン もう一つ必要で、空気を読む力です。ウケているのかウケていないのか、ちゃんと空気が読めないとだめです。この3つが揃っている人がヒーローになれると思います。あとは事務所の力です(笑)。
「発信したい、何かを伝えたいということは、仕事ではなく性格」(パックン)
――お笑い芸人としてこのコロナ禍で変わった部分ありますか?
マックン この2年は講演会も少なくて、そうすると二人の息がなかなか合わなくて、やっぱりしゃべっていないと錆びるんだって思いました。
パックン とにかく人に会いたいと思いました。寂しがり屋とも言いますが、人を必要としている自分を再確認できました。
マックン 俺にも会いたかったの?
パックン マックンも含めてみなさんにね。人の前に立ってお笑いができるという恵まれた状況だったということも改めて確認できたし、もっと人前に立って、もっと笑わせたいという欲がどんどん湧いてきました。会場でお客さんが喜んでいる顔を見るとすごく嬉しくて、それもお客さんに伝わる瞬間ってあるんです。以心伝心というか、ひとつになる瞬間があるんです。それが凄く貴重な体験だということも再確認できました。
マックン 笑ってくれないお客さんを見つけると、その人を笑わせるぞって気合が入ります。
パックン すべった時にその人の顔を見ると逆に笑ってくれたり(笑)。お客さんがいないところでも面白いことを発信したいと思ってYouTubeも始めました。発信したい、何かを伝えたいということも、仕事ではなく性格なんだということがわかりました。テレビ作りも一方通行のようなものと思うかもしれませんが、観ている人は心が動く瞬間があるし、やっている方も自分が言ったことで誰かの心が動いたかもしれないと思う瞬間があって、そのためにやっている気がします。それとギャラとロケ弁のためです(笑)。