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木梨憲武 シンガーとして自由奔放にまさに“セッション”を楽しむ 「くせになる」

田中久勝音楽&エンタメアナリスト
写真提供/BS-TBS

デジタルEP『木梨ミュージック コネクション2』(11月29日)
デジタルEP『木梨ミュージック コネクション2』(11月29日)

“時を超えた、ここでしか聴くことができないサウンド”がコンセプトの音楽番組『Sound Inn S』(BS-TBS)に、木梨憲武が登場。木梨はこれまで、とんねるずとしてはもちろん、野猿、矢嶋美容室などで積極的に音楽活動を行なってきたが、2019年10月EP「木梨ファンク〜NORI NORI NO-RI〜」でソロ歌手デビュー。そして久保田利伸、SALU、藤井フミヤ、松本孝弘、星野青果店(星野源)、AKLOら豪華ゲストが参加したアルバム『木梨ファンク ザ・ベスト』を発売した。昨年10月にはEP『木梨ミュージック コネクション』をリリースし、11月にはデジタルEP『木梨ミュージック コネクション2』をリリースしたが、いずれも強力な“木梨憲武コネクション”の人脈によって、超豪華ゲストが参加し制作され、数々のランキングで1位を記録し注目を集めた。“仲間”と人生を謳歌する“木梨憲武イズム”が詰まった作品になっている。

そんな作品の数々を引っ提げて、木梨が『Sound Inn S』で3人のアレンジャーと豪華ミュージシャンと共に「くせになりそう」(木梨)なセッションを楽しんだ。

佐橋佳幸
佐橋佳幸

木梨×佐橋佳幸で所ジョージの名曲をセッション。「もう配信されていますが、今日のバージョンに切り替えます」

まずは、木梨が敬愛する所ジョージが作詞・作曲を手掛けた「私は神様を知っている」(2014年)を披露。『木梨ミュージック コネクション2』ではギタリスト佐橋佳幸のギター1本で収録されているが、この日のために佐橋がジャズテイストにリアレンジ。ソプラノサックスやビブラフォンが加わり、歌がオリジナルの時とは違う表情になる。この曲について木梨は「所さんはギター一本で簡単そうに歌っているけど、実はメッセージが深くて、奥さん(安田成美)も大好きな曲」と語り、歌い終わると「もう配信されている曲だけど、今日のバージョンに切り替えます」とそのアレンジを絶賛していた。

「ミュージシャンとゼロから作っていく喜び、歌に関して正解を探すことが楽しい」

2曲目は作曲宇崎竜童、作詞阿木燿子という、これまで数々のヒット曲を生み出した名コンビが手がけた「不機嫌なモナリザ」(2020年)を、坂本昌之のアレンジで披露した。宇崎のギター一本から生まれた曲が、坂本の手によりストリングス、ホーンが印象的なクールで上品なアレンジに生まれ変わり、木梨の力強いボーカルが映える。木梨はソロ活動をするにあたって、尊敬する北島三郎からもらった「(歌を)届けろよ」という言葉を紹介し、このドラマのような物語性のある歌詞を、ひと言ひと言丁寧に、しっかり“届ける”。作品を作ることについて「ミュージシャンとゼロから作っていく喜び、歌に関して正解を探すことが楽しい」と語っている。

収録スタジオに到着してすぐに本番と言われ、ノーメイクでマスクをしたままで歌うAI
収録スタジオに到着してすぐに本番と言われ、ノーメイクでマスクをしたままで歌うAI

何が起こるかわからない木梨流エンタテインメント

ラストはバブルガム・ガムブラザーズの1990年の大ヒットナンバー「WON’T BE LONG」を、笹路正徳のアレンジでカバー。しかしひと筋縄でいかないのが、木梨流エンタテインメント。本番直前に突然スタジオを飛び出す木梨。木梨の次にこの番組の収録を控えている親友AIが、ちょうどスタジオ入りしたところを待ち伏せし、AIを見つけると「じゃあ本番行こうか!」と、「うそでしょ」と驚くAIを連れて収録スタジオへ。ノーメイク、ノーリハーサルのAIと、番組史上最多の総勢32名のミュージシャンが奏でる、ハッピーで壮大なサウンドをバックに、超ノリノリでやり切った。これまでもテレビの予定調和を壊し、その自由奔放さと“巻き込み力”で人々に楽しさを伝えてきた“木梨イズム”が炸裂した。一流のシンガーと一流のアレンジャー、そして一流ミュージシャンが、心から音楽を楽しんでいる瞬間を見ることができる。もちろんスタッフはヒヤヒヤしたと思うが、予定調和を壊し生まれる空気感は、視聴者に面白さとなって伝わる。

最高のサウンドに包まれながら歌った木梨は「一生の思い出になりました。この番組は月1放送だと聞きましたが、昔のように毎週にするようプロデューサーに掛け合います」とご機嫌だった。

木梨が出演する『Sound Inn S』(BS-TBS)は、2月20日(土)18時30分からオンエアされる。なお、番組放送終了と同時に「Paravi」で未公開映像と共に独占配信される。

BS-TBS『Sound Inn S』オフィシャルサイト

音楽&エンタメアナリスト

オリコン入社後、音楽業界誌編集、雑誌『ORICON STYLE』(オリスタ)、WEBサイト『ORICON STYLE』編集長を歴任し、音楽&エンタテインメントシーンの最前線に立つこと20余年。音楽業界、エンタメ業界の豊富な人脈を駆使して情報収集し、アーティスト、タレントの魅力や、シーンのヒット分析記事も多数執筆。現在は音楽&エンタメエディター/ライターとして多方面で執筆中。

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