Yahoo!ニュース

服部克久さんに捧ぐ 後輩音楽家・ミュージシャンがメッセージを込め、美しい音を響かせる奇跡の一夜

田中久勝音楽&エンタメアナリスト
写真提供/BS-TBS
画像

8月8日(土)放送の『Sound Inn S』(BS-TBS/18時30分~19時)は、前回(7月11日放送)に引き続き、6月11日に83歳で亡くなられた、日本の音楽シーンの至宝であり、この番組の功労者でもある服部克久さんに感謝の意を込め、服部さんを慕い、長年連れ添った盟友といえるミュージシャン、作・編曲家が集結し服部克久サウンドを奏でる。

今回も、服部さんが自身の作品を思い通りに編曲・プロデュースした『音楽畑』シリーズから「自由の大地」(指揮:渡辺俊幸)、「愛おしきかな人生」(指揮:宮下博次)、そして「別れの詩」(指揮:斎藤ネコ)が演奏された。

「自由の大地」×渡辺俊幸

渡辺俊幸
渡辺俊幸
賈鵬芳(ジャー・パンファン)氏
賈鵬芳(ジャー・パンファン)氏

1曲目の「自由の大地」(1987年)は『新世界紀行』(TBS系/1987年~1992年)のテーマ曲としてあまりにも有名な、服部さんの代表曲のひとつ。今回は去年新たに書き下ろされた「ニ胡 Version」が演奏された。指揮の渡辺俊幸は「感動的な名曲。服部先生のことを思い出し、涙腺が緩みました」と語り、万感の思いを込めこのせつなく、そして雄大で希望を感じさせてくれる美しい曲を、15人編成のストリングスを含むスーパーバンドと共に紡いでいった。二胡を演奏するのは服部さんとは30年来の音楽仲間である賈鵬芳(ジャー・パンファン)氏。その音色が郷愁感とさらなる切なさを運んでくる。

「愛おしきかな人生」×宮下博次

宮下博次
宮下博次

「愛おしきかな人生」は、昨年9月に音楽家生活60周年を記念して、5年ぶりに発売されたシリーズ最終作『音楽畑22 The Final?』に収録されている作品。この、人間大好き人間の服部さんの、その人間を見つめる、どこまでも優しく温かなまなざしを感じることができる名曲を指揮するのは、服部さんとは師弟関係の宮下博次。「服部先生の音楽に憧れて弟子入りしました。初めてお会いしたのは45年前、この番組でした。音楽、生き方全て影響を受けました。改めて先生の音楽は美しいと感じました」と語り、繊細で優美なサウンドを作り上げていた。

「別れの詩(うた)」×斎藤ネコ。本間昭光、島田昌典、冨田恵一、河野伸、笹路正徳、亀田誠治、坂本昌之がセッションに参加

左から本間昭光、島田昌典、冨田恵一、河野伸、斎藤ネコ、笹路正徳、亀田誠治、坂本昌之
左から本間昭光、島田昌典、冨田恵一、河野伸、斎藤ネコ、笹路正徳、亀田誠治、坂本昌之

『音楽畑-Champs de la Musique-』(1983年)に収録されている「別れの詩(うた)」では、服部さんと共にこの番組のアレンジャーとして参加している作編曲家・亀田誠治(B)、河野伸(Key)、斎藤ネコ(アレンジ&指揮)、坂本昌之(Key)、笹路正徳(Key)、島田昌典(Key)、冨田恵一(G)、そして本間昭光(Key/※50音順)という日本を代表する音楽プロデューサーが一堂に会し、一時代を築いた名音楽家へのリスペクトと感謝の気持ちを込め、まさに一夜限りの奇跡のセッション。深く、広がりを感じさせてくれるストリングスが印象的で、ミュージシャン一人ひとりが、服部への言葉を音に換え、捧げるように演奏し、迫力のあるセッションになっている。どこか、再会を予感させてくれるような“別れの詩”になり、心に深い部分にまで響いてくる。前回とこの日演奏された曲を聴き、改めて服部さんが作る、歌うように流れるメロディは、人の心の奥にスッと入ってきて、得も言われぬ感動の波を作り出してくれると感じた。服部克久サウンドは、これからも人々の心を潤してくれる。

画像

また、この番組での服部さんのアレンジの数々を振り返るコーナーも見どころのひとつだ。本番前にアーティストにディレクションする服部さんの姿を見ることができる。

日本を代表する音楽家とミュージシャンが、日本の音楽シーンに大きな足跡を残した偉大な音楽家・服部克久さんの名曲の数々を演奏する『Sound Inn S 服部克久メモリアル PART2』は、8月8日(土)18時30分~BS-TBSでオンエアされる。なお、番組放送終了と同時に「paravi」で未公開映像と共に独占配信される。

BS-TBS『Sound Inn S』オフィシャルサイト

音楽&エンタメアナリスト

オリコン入社後、音楽業界誌編集、雑誌『ORICON STYLE』(オリスタ)、WEBサイト『ORICON STYLE』編集長を歴任し、音楽&エンタテインメントシーンの最前線に立つこと20余年。音楽業界、エンタメ業界の豊富な人脈を駆使して情報収集し、アーティスト、タレントの魅力や、シーンのヒット分析記事も多数執筆。現在は音楽&エンタメエディター/ライターとして多方面で執筆中。

田中久勝の最近の記事