Yahoo!ニュース

テヨン(少女時代) 満を持して発売するミニアルバムで見せる、ソロシンガーとしての現在地

田中久勝音楽&エンタメアナリスト
Photo/田中聖太郎
Photo/上飯坂一(5月31日東京国際フォーラム)
Photo/上飯坂一(5月31日東京国際フォーラム)

5月31日、テヨン(少女時代)の、4都市7公演におよぶ全国ツアー『TAEYEON JAPAN TOUR 2019 ~Signal~』のファイナルが、東京国際フォーラムホールAで、5,000人のファンを集め行われた。

現在の自分を投影した歌、歌詞をとにかく“伝えたい”という気持ちが前面に出ている、“正攻法”のライヴ

Photo/田中聖太郎(5月9日NHKホール)
Photo/田中聖太郎(5月9日NHKホール)

その、5月9日のNHKホール2days公演の初日を観た。6月5日に発売される初のソロミニアルバム『VOICE』を披露する場でもあり、新曲を歌う前にはやや緊張の表情を見せながらも、ダイナミックかつ繊細な“美しい表現力”で、テヨンワールドに引き込む。寂しさ、静けさがわたしを強くしてくれると歌う、ツアータイトルにもなっている「SIGNAL」などの新曲を、バンドをバックに歌い、ポップチューンもロック色が増し、その力強い歌がより際立つ。「ソロアルバムなので、私自身のことを歌詞に込めたいと思いました。今という現実にいる私の気持ちや情緒を伝えたいと思いました」と語っているように、現在の自分を投影した歌を、とにかく“伝えたい”という思いが前面に出た、いい意味で“正攻法”のライブだった。

そしてライブの翌日。NHKホール公演2日目を控えるテヨンにインタビューを行い、このツアーについて、そして日本初となるソロミニアルバム『VOICE』について聞いた。

「昨年のショウケースライブでは、自分というシンガーについてより知ることができ、今回のツアーでは成長した姿をお見せすることができたと思います」

――今回のライブで、『VOICE』に収録されている新曲を歌う時に、緊張しているのが伝わってきて、テヨンさんほどのキャリアがある方も緊張するんだと、意外でした。

Photo/田中聖太郎(5月9日NHKホール)
Photo/田中聖太郎(5月9日NHKホール)

テヨン 音源が公開されて間もなかったので、やはりファンの皆さんのことを意識すると、少し緊張しました(笑)。

――バンドを従えてのライブで、ポップな曲もロックな感じで、熱量が高い時間になっていました。

テヨン バンドの皆さんとやるのは本当に楽しいです。最近はジャンルを限定していなくて、コラボレーションする機会も多いですし、異なるジャンルの合成というか、枠に捉われずに自由にできていると思います。

――去年、日本で初めてのソロショーケース「TAEYEON-JAPAN SHOW CASE TOUR 2018-」を行い、ライブのスタイルが違うと思いますが、今回のツアーに向けて気持ちの変化はありましたか?

Photo/田中聖太郎(4月13日福岡サンパレス)
Photo/田中聖太郎(4月13日福岡サンパレス)

テヨン 去年のショーケースライブを終えて、今回のツアーまでの間、ソロシンガーとしての自分自身についてより知ることができました。自分のいまの実力も含め『高揚すると自分はこうなるんだな、こういう性格なんだな』って、自分を振り返るショーケースライブになりました。気づいたこともたくさんあり、自らが成長していく機会になり、今回のライブではその成長した姿をお見せすることができたと思っています。

日本1stソロミニアルバム『VOICE』は「私自身を表現している歌詞を歌いたかった。今の私の気持ち、情緒を伝えたかった」

――2015年のソロデビュー以来、韓国ではミニアルバム3作、フルアルバム1作、シングル3作(デジタルを含む)をリリースしているのに、日本ではまだ作品を発表していなかったのが意外でした。そして今回まさに満を持して、ミニアルバム『VOICE』をリリースすることが決まって、まずどんな作品にしたいと思いましたか?

テヨン ソロとしてのアルバムになるので、私自身の想いを込めたいと思いました。私自身を表現している歌詞を歌いたかったです。

――いしわたり淳さんをはじめ、作家陣がテヨンさんの心模様を紡いだ、美しい日本語の歌詞が、胸に響きます。

日本1stミニアルバム『VOICE』(初回限定盤A(Live Edition:CD+DVD(16曲)/6月5日発売)
日本1stミニアルバム『VOICE』(初回限定盤A(Live Edition:CD+DVD(16曲)/6月5日発売)

テヨン 作詞家の方には、今私が言いたいこと、伝えたいことをお伝えして、とても美しい歌詞を書いていただきました。すごく愛着がありますし、共感できる曲ばかりです。今の私、今という現実にいる私の気持ち、情緒を伝えたいと思いました。

――表題曲の『VOICE』は、今はもう離れてしまった、“あなたの声”に励まされるというせつなさと、前向きな思いが入り混じって、溢れてしまう感情を吐き出しているラブソングです。でも<背中を押してくれるから だから歩いて来れたんだ>という歌詞、そしてこの曲が1曲目ということもあり、テヨンさんとファンの方との関係性を表すメッセージにも聞こえます。

テヨン 愛には様々な種類があると思います。友情もあれば男女の間の愛もありますし、親子の愛もあるので、本当に色々ですよね。その受け取り方、解釈は人によって違うと思いますが、それが歌だからこそ出来るものだと思います。

「言葉の壁はあるかもしれませんが、素晴らしい歌詞をいただいたので、きちんと理解して歌おうと努力しています」

――『VOICE』には、様々なタイプ、ジャンルの曲が6曲入っていて、ミニアルバムでありながらフルアルバムのような満足度があります。難しいとは思いますが、特にご自身のお気に入りの曲を教えていただけますか。

Photo/上飯坂一(5月31日東京国際フォーラム)
Photo/上飯坂一(5月31日東京国際フォーラム)

テヨン 「Vanilla」ですね。素直に思いを伝えることができない、女性の心情を歌っていて、特に女性に共感していただけると思います。同じように歌詞の内容でいうと「HORIZON」です。レコーディングで大変だったのも「HORIZON」です(笑)。

――「HORIZON」はどういうところで苦労しましたか?

テヨン メロディが持っている雰囲気ってありますよね。それを最大限に活かして、魅力的に表現するというのが私の役目ですが、時にそれが難しい時があります。その日、その時でやっぱり色々な感情があって、「HORIZON」のレコーディングの時は、この曲が持っている雰囲気が私には合わない日だったみたいで、大変でした(笑)。

――この曲は、<今は恋のために生きてるんじゃない。そう、だけどあなたが生きるための恋をくれる>というフレーズがすごく印象的ですよね。

テヨン 私もこの部分がすごく気に入ってます!

――それにしても、どの曲も日本語が持つ繊細さやニュアンス、その温度感を見事に表現してくれています。

Photo/上飯坂一(5月31日東京国際フォーラム)
Photo/上飯坂一(5月31日東京国際フォーラム)

テヨン まず日本語の歌詞を韓国語に翻訳していただいて、理解して、そこからまたメロディに乗せるという作業をします。スタッフの皆さんに助けていただきながら、なんとか歌うことができました。レコーディング後もライブに向け、そして今も歌詞を何回も読み、意味ももっと理解しようとしています。言葉の壁はあるかもしれませんが、素晴らしい歌詞をいただいたので、きちんと理解して歌おうと努力しています。

――ライブのMCで、今後やりたいことはアジアを含めて、世界を回ってみたいとおっしゃっていました。

テヨン 少女時代でもアジアツアーをやっていたし、ソロデビュー後の3年前から、アジアツアーを続けていているので、またアジア各国の方に会いたいと思っています。多分アジアで行ったことがない国はないと思うので、もう少し遠くにいるファンの皆さんに会いたいですね。

――少女時代の時からも含めて、日本のファンに長く愛されていますが、テヨンさんから見た日本のファンは、どんな印象ですか?

テヨン 皆さん涙もろくて、そういうところを最初は隠しているんですけど、それが一気に出てくる瞬間があって、私もいつもウルっときます。とても熱い方が多いです。

「歌手として、人としてコミュニケーション、触れ合いを大切にしていきたい」

――テヨンさんがシンガーとして一番大切にしていることを教えて下さい。

画像

テヨン やはり伝えることと、コミュニケーション、触れ合いです。それは歌手としてだけでなく、人としても大切にしていることです。SNSもそのひとつの方法だと思いますし、ひとつのコミュニケーションとして、歌で何かを伝えられると思っています。だから今すぐにでもフルアルバムを作って、日本のみなさん、アジアのみなさんにまた会いに行きたいです。

テヨン オフィシャルサイト

音楽&エンタメアナリスト

オリコン入社後、音楽業界誌編集、雑誌『ORICON STYLE』(オリスタ)、WEBサイト『ORICON STYLE』編集長を歴任し、音楽&エンタテインメントシーンの最前線に立つこと20余年。音楽業界、エンタメ業界の豊富な人脈を駆使して情報収集し、アーティスト、タレントの魅力や、シーンのヒット分析記事も多数執筆。現在は音楽&エンタメエディター/ライターとして多方面で執筆中。

田中久勝の最近の記事