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開催目前、注目の『米フェス』の音楽監督・本間昭光、島田昌典が語る、このフェスが目指すべき音楽

田中久勝音楽&エンタメアナリスト
左:島田昌典、右:本間昭光
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新潟県・長岡市を舞台に、新たなフェスが生まれる――『長岡 米百俵フェス ~花火と食と音楽と~』(以下『米フェス』)は、10月6日・7日長岡市・東山ファミリーランドで第1回目が開催されるフェスで、ネーミング通り、長岡といえばの花火と、新潟県の食と酒、そして2日間で23組(【10月6日(土)】NGT48、神田莉緒香、岸谷香、GLIM SPANKY、琴音、サンプラザ中野くん&パッパラー河合、にゃんぞぬデシ、BEGIN、BIGMAMA、藤木直人、FLOW、wacci【10月7日(日)】いとうせいこう is the poet、Creepy Nuts、Shiggy Jr.、JUNNA、東京パフォーマンスドール、ねごと、ひなた、平原綾香、杏子/スキマスイッチ/松室政哉 from 福耳、安田レイ、横山だいすけ、渡辺美里)の多彩なアーティストが共演する、日本で一番ハッピーで、快適なフェスを目指している。そこで記念すべき第1回目を目前に、このフェスのキーマン3組に登場してもらい、「花火」「音楽」「食」について詳しく話を聞いた。

第1回目のスペシャル・ナビゲーターいきものがかかり・山下穂尊とモデル/女優の長井短に続き、第2回目は音楽監督を務める日本を代表する音楽プロデューサー代表する・本間昭光と島田昌典が登場。凄腕ミュージシャンが集結したハウスバンドを率い、この日限りのアレンジで、名曲の数々を聴かせてくれる二人に、このフェス観どころ、聴きどころを教えてもらった。

「アーティストは代表曲、ヒット曲を披露してくれる。ファミリーのお客さんが多いと思うので、逆に奇をてらわない方がいいと思っている」(本間)

「ヒット曲はみなさんイントロから覚えていると思うので、変にアレンジしすぎない方がいいと思う」(島田)

――まずは『米フェス』に音楽監督として関わることになった経緯を教えてください。

本間昭光
本間昭光

本間 最初、このフェスの総合プロデューサーで、長岡市出身の北牧(裕幸/(株)キューブ代表取締役)さんから、島田さんと僕に「長岡でフェスを開催したいので協力してほしい」と声をかけていただいて。僕はいきものがかりのサポートミュージシャンとして、アオーレ長岡のこけら落とし公演に参加していて、長岡という街に愛着があるし、縁も感じています。

――J-POP寄りのアーティストが集結しました。

島田 二人ともJ-POPシーンでやっているので、自ずとそういうラインナップになりました。

――小学生以下無料ということで、二世代、三世代、ファミリーで来場するお客さんが多いと思いますが、セットリストもファミリー向けのヒット曲満載という感じですか?

本間 みなさん、代表曲を持ってきてくださるので、ヒット曲をたくさん聴くことができると思います。

島田昌典
島田昌典

島田 出演者の数も多いので“濃厚”な時間になると思います。

本間 アーティストの皆さんには、やはりファミリー層に向けた選曲をお願いしましたし、逆に奇をてらったことをやる必要はないと思いました。“普通”に、というのが今回は一番しっくりくると思いました。

島田 アレンジも原曲に忠実な方がいいと思います。ヒット曲はイントロからみなさん覚えていると思うので、変にアレンジしすぎない方がいいと思っています。

「子供からおじいちゃん、おばあちゃんまで楽しめる音楽を目指す」(島田)

――想定している客層を考えるとそうですよね。

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本間 ロックフェスでよく見かける、煽る必要は全くないと思います。

島田 子供からおじいちゃん、おばあちゃんまで楽しめるような感じになると思います。

本間 子供たちに人気のアニソンといえばの、FLOWが盛り上げてくれますし、野外で聴くBEGINは僕も楽しみです。“だいすけお兄さん”こと横山だいすけさんの歌は、お母さんと子供たちにはたまらないと思います。

島田 長岡で聴く、平原綾香さんの「Jupiter」も感動的でしょうね。「Jupiter」は長岡花火の名物“フェニックス”のメインテーマで、2004年の新潟県中越地震の復興祈念として始まった花火なので、長岡のみなさんにとっては忘れられない大切な曲になっています。

本間 JUNNAさんとのセッションも楽しみ。ミュージシャン泣かせのテクニックが求められます(笑)。

島田 彼女の曲は、歌謡曲ベースのプログレという感じなので、ハウスバンドの腕が鳴ります。若手女性アーティストでいうと、『音楽チャンプ』(テレビ朝日系)でグランドチャンピオンになった、地元・長岡市出身の17歳のシンガー・ソングライター琴音さんの歌も楽しみです。今まで地元の小さなイベントでは歌ったことがあるみたいですが、今回のような大きなステージで歌うのは初めてなので、どんなパフォーマンスを見せてくれるのか、楽しみです。70年代ロックの匂いを感じさせてくれる、GLIM SPANKYもいいですよね。

本間 ボーカルの松尾レミさんの声は、本当に唯一無二。どうやったらあの声が出るんだろう…。

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――コラボレーションも発表されています。

本間 そうですね。まず藤木直人さんと、いきものがかかりの山下穂尊さんのコラボ、岸谷香さんと僕と島田さんとでプリンセスプリンセスの「M」を演奏します。

島田 サンプラザ中野くん&パッパラー河合さん、にゃんぞぬデシさんとで今年発売30周年を迎えた「Runner 2018」、そして東京パフォーマンスドールと加藤諒さんのキレキレのダンスコラボも観ものです。

――お二人も、ハウスバンドと共に演奏されるんですか?

本間 アーティスト、曲によって演奏のスタイルは変わってきます。バンドに関してはお任せしますが、その他のアーティストとはハウスバンドで、この日限りのアレンジを披露します。例えば渡辺美里さんだったら、僕がピアノで、島田さんにシンセで参加してもらったり、色々な組み合わせでできるようにしています。

――ハウスバンドも凄腕ミュージシャンが揃っています。

本間 いきものがかりのレコーディングやライヴに参加したミュージシャンを中心に、とにかくどんな音楽にも、どんなリクエストにも対応できる凄腕ばかりを揃えました。

いきものがかり・山下穂尊がテーマソング「輝き」を作詞・作曲。本間と島田が初の共同アレンジを手がける

――開催地の長岡市と、会場の東山ファミリーランドの印象を教えてください。

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島田 関わってくださっているみなさんの、長岡という街を愛しているという気持ちが伝ってきます。

本間 会場の東山ファミリーランドはJR長岡駅からも近いし、ライヴエリアはすり鉢状になっているので、ちょうど、“巨大な日比谷野音の自然版”、という感じで(笑)、非常に観やすいと思います。みなさん地元愛が強いし、長岡という街にプライドを持っています。そういう街に生まれ育ったことが羨ましいですね。花火もプライドのひとつだと思いますが、今年、初めて花火大会を観させていただいて感動しました。これは絶対生で観たほうがいいです!都内の花火大会とは別モノです(笑)。橋を通行止めにして、そこからナイアガラをやるし、ありとあらゆるものが規格外でした。

島田 スケール感が違うし、何より音が他の花火大会、花火とは全然違います。すごい迫力で、承転結がしっかりあって、最後は転調してクライマックスを迎えるという、音楽に近い構成でした。

――その花火が『米フェス』でも観ることができますが、スペシャル・ナビゲーターの山下穂尊さんが書き下ろしたテーマソング「輝き」に合わせた音楽花火も楽しみです。

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島田 20分間で4つのプログラムがあって、そのラストが「輝き」です。小学生たちのコーラスに乗せて、超大型スターマインを打ち上げます。

本間 「輝き」は島田さんと僕が初めて共同アレンジしました。両日とも、最後に出演アーティストで歌います。

――本間さんも島田さんも、アーティストのバックバンドでツアーを回るとき以外は、普段はスタジオ、レコーディングスタジオでの作業がメインだと思いますが、やはりステージでの演奏は楽しみですか?

本間 ライヴってレコーディングにはない楽しさがあって、演奏を通してミュージシャン同士の“会話”というか、駆け引きが楽しみ。

島田 シンガーも含めてそうですが、その時の空気でできあがる音楽があって、それを自分達も体感できるし、お客さんも体感できます。それがライヴの面白さだと思う。

「このフェスが登竜門になって、ここから音楽シーンのメインストリームに出ていくような、アーティストを作っていきたい」(島田)

――オーディションを勝ち抜いた人のパフォーマンスも楽しみです。

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島田 『COME100オーディション』と題して、やっています。オーディションを勝ち抜いた2組が『米フェス』のメインステージで、パフォーマンスすることができて、しかも副賞は米一俵です。20歳以上(0-20)は色々な可能性を感じさせてくれる人がチャンレンジしてくれ、地元のおじさんバンドもすごく面白くて。ただ、19歳以下の部門が合格者がいなかったので、追加オーディションをやります。『COME100オーディション復活戦!』と題して、”新潟在住、出身、新潟で活動をしているアーティスト、年齢制限無し”という条件で受け付けていますので、ご応募お待ちしております。22日まで受け付けています。

本間 今はオーディションもたくさんあるので、このオーディションが広がっていくためには、やはりフェス自体を続ける必要があるし、ここを狙ってくるようになってもらうには、ステージに上がれることはもちろん、今後はプラスαが必要だと思っていて。例えば島田さんと僕が、音源にするときにお手伝いをするとか。

島田 そうですね、そのフェスに出られる、ステージに立てるオーディションは他にもあるので、やはりプラスαが必要ですね。このフェスが登竜門になって、ここから音楽シーンのメインストリームに出ていくようなアーティストを作っていきたいですね。

「全員がハッピーな気持ちになれるサウンド作り、環境作りを心がける」(本間)

――『米フェス』の共通言語は「笑顔(HAPPY)」です。

島田 音楽の力によって、子供からおじいちゃん、おばあちゃんまでみんなが笑顔になればこんなに素晴らしいことはないと思う。もちろん美味しい食べ物とお酒、花火も笑顔の素です。

本間 全員がハッピーな気持ちになって帰ってもらえるようなサウンド作り、環境作りを心がけます。

――お二人が音楽監督として関わるという事は、聴き手にとっては“品質保証”のようなものですね。

本間 そうありたいですね。セッションを楽しみたいですし、「『米フェス』のハウスバンドとのセッション、すごく楽しかった」という話が、アーティストの間でも広がっていくと、来年からの『米フェス』も、楽しみになってくると思っています。

島田 このフェスをきっかけに、アーティスト同士の交流も増えていくと嬉しいですね。

『長岡 米百俵フェス ~花火と食と音楽と~』オフィシャルサイト

音楽&エンタメアナリスト

オリコン入社後、音楽業界誌編集、雑誌『ORICON STYLE』(オリスタ)、WEBサイト『ORICON STYLE』編集長を歴任し、音楽&エンタテインメントシーンの最前線に立つこと20余年。音楽業界、エンタメ業界の豊富な人脈を駆使して情報収集し、アーティスト、タレントの魅力や、シーンのヒット分析記事も多数執筆。現在は音楽&エンタメエディター/ライターとして多方面で執筆中。

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