注目の俳優・工藤阿須加がドラマ初主演「最後まで先頭に立ち、全てを受け止める覚悟で臨んだ」

「今まで感じた事がない、意識しなければいけない部分の覚悟は、勉強になった」

今、映画にドラマに引っ張りだこの注目俳優・工藤阿須加が、ドラマ初主演を果たした――現在月9ドラマ『海月女』(フジテレビ系)にも出演中の工藤が主演を務めるドラマ『ザ・ブラックカンパニー』が、2月4日から、CS放送「TWO ドラマ・アニメ/フジテレビTWOsmart」でオンエアがスタートし、話題だ。原作は江上剛の著書「ザ・ブラックカンパニー」で、文字通りブラック企業に入ってしまった若者が奮闘しながら、大切なものを見つけ成長していく姿を描いている。30分×6話の連続ドラマとして放送されるが、初主演という記念すべき作品とどう向き合い、感じながら演技していったのかを、工藤に聞いた。

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高校卒業後、アルバイトをしながらバンド活動にのめり込む主人公・水野剛太(工藤)。しかし突然、コンビニのバイトを失い途方に暮れる剛太が、ふと立ち寄ったハンバーガーショップ「ヤンキーバーガー」で、商品について的確な意見を言った事がきっかけで、店を訪れていた同店社長に「うちで正社員として働いてみないか?」とスカウトされる。運があるのかないのか、それは悪夢の始まりだった――。

映画に続き、またブラック企業に勤める社員役。「どんな仕事でも仕事への面白み、楽しさを見つけるかは自分次第という事を、演じながら感じている」

――働き方改革が世の中的に、声高に叫ばれている昨今、そんな中で今回のドラマのテーマは非常にリアルですが、最初に脚本を読んだ時はどう感じましたか?

工藤 ブラック企業の話とは言いつつも、その中で友情や家族愛の部分が多く含まれていますし、コメディタッチなので、変に暗くならず、観て下さった方にも伝わりやすいと思います。しっかりと働き方の大切さが描かれているドラマだと思いました。

――工藤さんは映画『ちょっと今から仕事やめてくる』でも、ブラック企業に勤める会社員役でした。ブラック企業ものに縁があります(笑)。

工藤 そうなんですよね、重なっていますね(笑)。こういうブラック企業がテーマの作品に出させていただいて感じる事は、働くって大変な事だなという事です。実際色々な事情があって希望していた職に就けない方も多いでしょうし、逆に好きな事を仕事にしている人は幸せかもしれませんが、もちろん大変な事はあるわけで。どこでその仕事への面白み、楽しさを見つけるかは自分次第という事を、演じながら感じています。

「役と自分自身とが混同してしまう瞬間が怖かった」

――剛太は友達思い、親思いで本当に優しい青年ですが、工藤さんに感じる“隠しきれない人の良さ”オーラと、役どころがどこか重なって、そういう意味でもリアルでした。

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工藤 確かに、実際の自分とそんなにかけ離れていない部分もある役だと思っていて、だからこそ演じる上で、自分の意識が働き過ぎるという部分では難しかったです。これって、役の考えではなく、自分の考えなのでは?と錯覚したり、一瞬、水野剛太ではなく、工藤阿須加になりかけているのでは、という恐怖を感じたりしました。自分が出てしまうと、その瞬間、観ている人にバレてしまいそうで、伝わらなくなりそうだったので、そこは常に意識しながら演じるようにしていました。

――完成したものを観ていかがでしたか?

工藤 一番最初に感じた事は、本当に30分?と思うくらい、あっという間でした。それだけ、テンポがよくて、画の移り変わりも含めて、視聴者を飽きさせないというか、引き込む要素が詰まっているんだなと感じました。

「主演というのは、共演者の皆さん、スタッフさんからも一番見られる立場なので、最後まで先頭に立ち続けようと決めて、撮影に臨みました」

――今回が記念すべきドラマ初主演という事で、改めてどう受け止めましたか?

工藤 今まで先輩方が座長を務める姿を見てきて、どんなプレッシャー、どんなものを抱えながら戦っているんだろうと思っていました。でも今回、主演をやらせていただく事になった時に、結果、やる事は変わらないんだと感じました。役に関係なく、作品のために自分の全力を注いで、役と作品と向き合っていくというのは、変わらないんだと。そんな中でも自分は、スタッフさんからも共演者の皆さんからも一番見られる立場なので、最後まで先頭で立ち続けようと決めて、撮影に臨みました。

――覚悟ですよね。

工藤 今まで感じた事がない、意識しなければいけない部分の覚悟は、今回すごく勉強させていただきました。

剛太は、フェラーリに乗り、そのカリスマ性で従業員達を洗脳していく社長(速水もこみち)に憧れ、厳しい研修でしごかれた後、パワハラ・長時間残業は当たり前の過酷な職場に配属される。しかしそこで出会った店長や仲間と共に、もがきながら奮闘する。同期入社の元ひきこもり如月雅也を、工藤同様、現在注目を集めている俳優・岡山天音、愛嬌と冷淡さ両方を持つ社長の右腕のエリアマネージャーをMEGUMI、ハンバーガーショップの常連で、ネット界の有名人を村上虹郎が演じる。その他にも、保紫萌香、尾上寛之、深水元基、高橋ひとみら、個性豊かな俳優陣が脇を固める。

ドラマの撮影が3本重なるという、まさにブラック現場!?「僕らは夢を作る仕事だと思っているので、現場がブラックだと思った事がない。でも現場ではネタにしていました(笑)」

――現場の雰囲気はいかがでしたか?

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工藤 とにかく明るい現場でした。シリアスなシーンを撮っていても変に沈む事もなかったですし、コメディ要素があるので、僕らもいい意味で心に余裕ができたというか、チャレンジしやすかったです。ずっと力が入りっ放しだと、みんな疲れてしまいますよね。

――今回は撮影期間が短くて、ギュッと凝縮した感じで行われたとお聞きしました。工藤さんは、今オンエア中の月9ドラマ『海月姫』の撮影とも被っていたんですよね?

工藤 そうです(笑)。『明日の約束』(フジテレビ/関西テレビ系)の撮影とも被っていました(笑)。

――ブラック現場だ…(笑)。

工藤 いえ、僕らは夢を作る仕事だと思っているので、現場がブラックだと思った事なんてないです(笑)。でも現場では笑い話として、それがみんなのネタになっていました(笑)。チームワークは100点満点でした。みなさん優しいですし、作品に対して取り組む姿勢の真剣さと熱さはすごかったですし、一緒にいていい意味で楽をさせてもらったというか、支えていただき、後押ししてもらいました。岡山(天音)さんとのシーンは、年も近いですし、二人の友情物語でもあるので、居心地がよく、すごく楽しかったです。

――剛太と如月(岡山天音)のコンビは、お互いの存在によって成長していく姿が印象的ですね。

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工藤 そうですね。陰と陽というほどでもないですが、ひかれあって、お互いが目指している場所は同じだけど、考え方は違っていて。後半は急展開なので、飽きさせません(笑)。

――今回のドラマは、ブラック企業がテーマですが、夢に向かって頑張って、それを実現するために人と物事と真剣に向き合い、ぶつかっていく姿が描かれているので、セリフの一つひとつが胸に響きますよね

工藤 これは現場でみんなと話していたのですが、登場人物が、それぞれの立場で言うセリフに、間違っている事はひとつもないんじゃないかと。最終的にはお互いが向き合って、それぞれにないものを理解し合えば、いい方向に向いていくという事を、このドラマを観て感じて欲しい、という事をみんなで言っていました。

「寝る時間がなくても人に会う。人に会って話を聞いて、色々と想いを巡らし、演技にフィードバックさせていく」

――これだけ忙しいと、仕事以外の時間もすごく大切になってくると思いますが、何をしている時が今はエネルギーが一番充電できますか?

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工藤 趣味のキックボクシングをはじめ、体を動かす事も好きですし、散歩をしたり映画を観たり本を読んでいる時間も好きです。でもオフの時にいい時間を過ごしたなって思えるのは、やっぱり人と会っている時です。特に同年代に限らず、異業種で活躍している人と話をしていると刺激を受けます。その人たちが感じてきた事、経験した事を聞かせてもらったり、自分の夢や今思っている事を話すと、その経験を踏まえて助言というか、自分では気づけなかった事を教えてくれる時間は貴重です。世の中にはもちろん色々な人がいて、でも変に敬遠せずに、この人は何を考えているんだろう、僕の事をどう思っているんだろう、この人の生い立ちはどんな感じなんだろう、逆に僕がこの人を演じる時はどうすればいいんだろうとか、演技にフィードバックさせています。

――リラックスする時間といいながら、結局仕事につながっていくんですね(笑)。

工藤 そうなんですよね(笑)。リラックスしているのかわかりませんが(笑)。

――オフの時は、何もしないために海外に行ってのんびりするとか、そういう事はしないんですか?

工藤 一番やりたいのはそれなんですけどね(笑)。でもそれもやっぱり勉強するという事ですよね。行き先を決めたらその国の歴史や文化を調べて、行ったら行ったらでその国のいいところ、悪いところを感じて、それは自分が住んでいる国がわかってくるという事でもあって、その経験の積み重ねが、多分人としての深さになっていくのだと思います。だから20代のうちはとにかく人に会いたいと思いますし、色々なところに旅行したいです。時間は作るものです!寝なくても出かけます!

「ライヴはアーティストがその瞬間に燃やすエネルギーが、そのまま伝わってくる。自分も見ている人にエネルギーを与えたい」

――音楽はよく聴きますか?

工藤 大好きです。特に玉置浩二さんの音楽が大好きでよく聴いていますし、カラオケでもよく歌います。カラオケで歌うのは80年代、90年代の曲ばかりです。ライヴもよく行きます。去年もゆずさん、ONE OK ROCKさんのライヴに行って、盛り上がりました。ライヴはそのアーティストがその瞬間に燃やすエネルギー、魂がそのまま伝わってくるので、その日は興奮して眠れないです。ライヴに行くたびにそうやってエネルギーをもらって、僕も観ている人にエネルギーを与えたいといつも思っています。今回、主題歌「MARCH」を書きおろしてくださった雨のパレードさんの音楽も、よく聴いています。この「MARCH」という曲は、ドラマの後半になると、曲が持つ意味、歌詞がさらに深く伝わってきて、なるほど!と思っていただけると思います。

『ザ・ブラックカンパニー』オフィシャルサイト