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K-POPグループ群雄割拠の中、韓国の16歳の注目ソロシンガー・Samuelが日本デビュー

田中久勝音楽&エンタメアナリスト
「グループよりもソロの方が、自分の全てを見せる事ができる」

2017年に韓国デビュー。すでにアジア各国で注目を集める存在

弱冠16歳、2017年に韓国でデビュー。そのアイドル性とボーカルパワー、世界基準のダンスパフォーマンスから、“韓国のジャスティン・ビーバー”と称され、国内はもとより中国をはじめとするアジア各国で、早くも人気沸騰中のアーティスト・Samuel(サムエル)が、2月7日にシングル「SIXTEEN-Japanese Ver.-」で、日本デビューを果たす。K-POPというと、日本ではBIG BANG、東方神起、2PM、EXO、SHINee他、圧倒的にグループが人気で、そのグループからのソロデビューという形はあるが、本格派ソロアーティストのデビューに、大きな期待がかかる。デビューを目前に来日していたSamuelに話を聞いた。

練習生、一度デビューするも挫折、オーディション…様々な経験を経て、ソロデビューをつかむ。「流した涙は、これで終わりじゃない、未来が開けたと思えたからこそのもの」

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Samuelは弱冠16歳と紹介したが、韓国の芸能界でのその経験値は“ベテラン”ともいっていい。アメリカで生まれ、幼い頃からアメリカでダンスを習っていた、ブルーノ・マーズに憧れる少年は、「歌手を目指そうと思ったのは9~10歳の頃」で、11歳の時に男性アイドルグループ「SEVENTEEN」のデビュー候補生となり、レッスンを重ねていたが、年齢が若すぎるという理由でデビューを逃してしまう。その後、アーティストとしてのレッスンを更に重ねながら、デビューのチャンスを狙っていた。そして13歳の時、ヒップホップユニット「1PUNCH」でデビューを果たす。しかし長く続かずに解散。次にMnetのオーディション番組「プロデュース101シーズン2」に出演した。101人の練習生の中から、11人を国民が選んでデビューさせるという内容で、この番組からデビューし、現在韓国で大人気のWanna Oneの候補生としてデビューを期待された。だが最終候補に残りながらも、惜しくも願いは叶わず、デビューする事ができなかった。しかし、この番組でSamuelは圧倒的なパフォーマンスを見せ、韓国のエンタテイメントシーンに爪痕を残した。

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「自分が知らなかった、色々な環境を経験できたと思っています。激しい競争の中に自分はいたんだと改めて思いました。練習生として落ちたとか、オーディションで脱落したと結果がわかった時は、自分にはまだ足りないところ、至らない点があったんだと思い、もちろんその時は悔しくて泣きました。でもそれは残念だから泣いたのではなく、ここまで頑張ってきて、逆にいい結果を残したと思えたからこそ、これで終わりではなく未来が開けたからと思い、涙が出てきました。結果的にこうしてソロデビューできたので、すごく満足しています」と、感謝の気持ちを忘れない謙虚な性格も、彼が各国で絶賛されている理由のひとつだ。

「ソロとしてデビューする事になり刺激を受けたのは、Rain(ピ)、SOL(BIG BANG)、クリス・ブラウン」

また彼を育成してきた所属事務所ブレイブ・エンターテインメントのスタッフによると「「1PUNCH」を解散して、「プロデュース101」に出場するまでの2年間、ソロデビューの準備は進めていました。オーディションに出場する事で、芸能界のシステムを知ったり、同年代の候補生の中で競争するというムードを経験する事によって、他の16歳よりは考え方が大人びているのだと思います。グループの中の一人として別の顔があったと思いますが、ソロとしてこれから色々なものを観せてくれるはずです」と語り、様々な事を経験させる“英才教育”を施し、心身共に充実した状況で、満を持してソロデビューさせる事に成功した。

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16歳とはいえ、その音楽、パフォーマンスの完成度の高さには驚かされる。理想のアーティストを聞くと「ソロ活動をするにあたって、すごく刺激を受けたのは、韓国のアーティストでは、Rain(ピ)さん、BIGBANGのSOLさん、海外のアーティストではクリス・ブラウンさんです」という名前を挙げてくれた。Rainは日本でも人気の韓国のスーパースターだ。そんなスーパースターと比較しても決して引けを取らないと、事務所スタッフの鼻息は荒い。「Rainさんはソロとして活躍した偉大なアーティストですが、デビューした年はSamuelの方が早く、そういう意味では彼もこれからもっと色々なもの吸収できるし、伸びしろがあると思う。英語圏で生まれたというバックグラウンドも含めて、可能性が高いと思っている」。

「グループよりもソロの方が、自分の全てを観せる事ができる。これからの成長過程を見て欲しい」

日本でK-POPというと、グループの人気が高いがソロとしてどう勝負するのかを本人に聞くと「僕は自分が持っている全ての面を観せたい。グループよりもソロの方が、自分の色々な面を観せる事ができる。そのためにも今までしっかり準備してきました。それと自分の成長過程も見せる事ができるのも、強みだと思っています」と、韓国の音楽関係者からも評価が高いそのライヴパフォーマンスには、本人も自信を持っている。そしてまだ16歳という若さを武器にし、ファンにその成長過程を見守って欲しいという。

日本デビューシングル「SIXTEEN-Japanese Ver.-」は「大人でも子供でもない16歳という"今"を、最大限に表現した」

日本デビューシングル「SIXTEEN-Japanese Ver.-」(2月7日発売)
日本デビューシングル「SIXTEEN-Japanese Ver.-」(2月7日発売)

16歳、今のSamuelの全てが詰まったデビューシングル「SIXTEEN-Japanese Ver.-」「123」「With U」で、日本でその成長ストーリーをスタートさせる。所属事務所の代表であり、音楽プロデューサーとして韓国国内でこれまで数々のアーティストに楽曲を提供し、ヒットさせてきた「勇敢な兄弟(ヨンガマン ヒョンジェ)」を始め、所属プロデューサー達が総力を挙げて、今のSamuelを最大限にアピールする楽曲を作り上げた。「SIXTEEN~」はトロピカルサウンドを組み合わせたダンスナンバーで、「子ども扱いしないで」という歌詞は、まさに等身大のSamuelだ。「16歳の部分を最大限に表現した曲。16歳は大人でも子供でもない、学んでいる段階だと思います。ダンスの振り付けの一部は自分で考えました。最初、完成した振り付けを見てもっと16歳っぽくしようと思い、できるだけ新人らしい爽やかさをアピールしました(笑)。これも成長していくストーリーを観てもらうためです」(Samuel)。

「123(One Two Three)」は、「SIXTEEN」とはガラッと違って、ややヘビィなオールドスクールスタイルのヒップホップで、MUSIC VIDEOは渋谷でロケをしている。「With U」はR&Bヒップホップで、メロウなメロディと歌詞で、元I.O.Iのチョンハとのデュエットだ。「できるだけ色々なジャンルの音楽を提示したい。これからもそうありたい。「With U」の歌詞は、最初は恥ずかしかったけど、ステージの事を考え、歌詞を元に振り付けの構成を考えているうちに、そういう感覚はなくなりました」とラブソングを歌い、伝える難しさを教えてくれた。

事務所スタッフも「今のタイミングを最大限に生かせる3曲です。曲も衣装もダンスも全てその目線で作りあげました。変声期でもあるので、何度もレコーディングし直して、今らしいものにしました。愛の歌を16歳の彼が歌う、ぎこちなさの部分も含めて今できる最高の表現だと思っています。「With U」も1年後、2年後にはまた違う感じ方をしてもらえるはずです。この歳からの一年一年の発展性はすごいものがあるはず。だから毎年、皆さんの期待に応えられるものを作っていけると思っている」と、“今”の大切さを前面に押し出したプロデュースワークであると教えてくれた。

「とにかくライヴを、ステージに立っている自分を観て欲しい」

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「一人の時間好き。ステージの研究、音楽の研究をしている時が一番楽しい」と語るSamuelは、日本での活動についても「ステージに立っている僕を観て欲しい。色々な自分を観せることができる。音楽も、時代のトレンドを追いかけるのはすごく大事だと思うけど、アーティストとして音楽ジャンルを追求する、自分の嗜好をきちんと表現する事も大切だと思う。そこをうまく融合させて、皆さんに喜んでもらえる作品を出していきたい」と、早くもセルフプロデュース能力の高さを感じさせてくれ、前をしっかりと見つめて"韓国のジャズティン・ビーバー"は、日本の音楽シーンを闊歩し始めた。

Samuel日本オフィシャルサイト

音楽&エンタメアナリスト

オリコン入社後、音楽業界誌編集、雑誌『ORICON STYLE』(オリスタ)、WEBサイト『ORICON STYLE』編集長を歴任し、音楽&エンタテインメントシーンの最前線に立つこと20余年。音楽業界、エンタメ業界の豊富な人脈を駆使して情報収集し、アーティスト、タレントの魅力や、シーンのヒット分析記事も多数執筆。現在は音楽&エンタメエディター/ライターとして多方面で執筆中。

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