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"夏男”が冬に自分を見つめ直す 表現者・JUNHO(From 2PM)は今、何を想う?

田中久勝音楽&エンタメアナリスト

6人としての活動を一旦休止させている人気グループ・2PMのJUNHO(ジュノ)が、6枚目のミニアルバム『Winter Sleep』を自身の誕生日でもある1月25日にリリース。毎年夏に作品をリリース~ツアーが恒例だった彼が、冬に歌いたいと思った理由とは?本国でも昨年夏にソロデビューを果たしたほか、俳優として次々とドラマ出演を果たし、その評価も高い。そんな多忙を極める表現者・JUNHOに、じっくり話を聞くことができた。

「動物には"冬眠”するけど、人間はしない。でも人間にもそういう時間が必要」

――JUNHOさんというと、毎年夏にミニアルバムを発売して、熱いライヴをやっている“夏男”というイメージが強いのですが、冬の時期に作品を出そうと思った理由から教えて下さい。

JUNHO 歌いたいという気持ちが強くなって、そのチャンスがちょうどこの時期にできて、曲を作りはじめて浮かんだテーマが“冬眠”でした。“冬籠り”というか…。

――忙しすぎて、少し疲れています?(笑)

JUNHO そういう風にも考えられますね(笑)。そのキーワードから作ったのが「Winter Sleep」です。“夏男”のイメージが強いかもしれませんが、僕は1月25日が誕生日の、冬生まれなので、色々な意味でスペシャルな事ができるのかなと思いました。今「少し疲れているのでは?」という質問をしていただきましたが、みなさん学生時代には夏休みと冬休み、長い休みがあって、それを使って学校では学べない事を学んだり、友達と会って色々な事を吸収したり、家族とゆっくり過ごしたりしていたと思います。でも働いている人の多くは、簡単に長期休暇が取れなくて、休みたい、遊びたいと思ってもなかなか叶わない。だからそういう人たちの気持ちを代弁できる、癒しになるような曲になるといいなと思いました。

――確かに表題曲をはじめ、この作品全体が温かくて優しい肌触りです。今JUNHOさんは俳優としても活躍していて、体力的にも、そして精神的にもタフさが求められる役柄を演じていましたが、自分も少し癒されたいという気持ちが曲にも表れているのでしょうか?

JUNHO 役の影響はないと思います。でもデビューしてから10年が経って、これまで活動してきた中で、周りで胸の痛むような出来事が起こったり、残念な出来事があったりして、そんな時には、「果たして今自分は、いい人生を歩むことができているのだろうか」と、自問自答した事もありました。もちろん一生懸命生きていますが、これからもっと自分がエネルギーを発揮するためにも、動物は“冬眠”で力を蓄えますが、人間にもそういう時間は必要だと思いました。だから「Winter Sleep」を書き始めた時には、そういう気持ちがあって、できあがったものを聴いてみると、確かに癒される自分がいました。

「「Winter Sleep」は10年前、今の仕事に夢を抱いていた自分から、今の自分への問いかけ」

――一回立ち止まって、冷静に自分を見つめている歌詞ですよね。

JUNHO ふとこういう気持ちになる時があって。それは純粋に“人間・JUNHO”に立ち返って、しっかり自分を休ませたいという事なのかもしれませんが、これまでの10年間は、芸能人ではない自分よりも、芸能人として活動していた時間の方が圧倒的に長いので、「素の自分っていったい何なんだろう」という事を考えたりもしました。なのでこの曲は、10年前に今の仕事をしたいという夢を抱いていた自分自身が、今の自分に話しかけるような歌詞になっています。

――一曲一曲の歌の表現力が、今まで以上に豊かで鮮やかで、曲に、より入り込めました。「Winter Sleep」以外で、JUNHOさんの中で思い入れが強い曲を教えて下さい。

『Winter Sleep』(1月25日発売/通常盤)
『Winter Sleep』(1月25日発売/通常盤)

JUNHO ありがとうございます。嬉しいです。一番自分で聴いたのは「飛行機」です。メロウでセクシーな曲ではあるのですが、あまりきつくなり過ぎないように、大人の感じを表現しながら楽しめました。 

――「Frozen Heart」の詞は、短い中で起こるドラマティックな展開が、インパクトありました。温かく、希望を残してくれる歌詞でした。

JUNHO そう感じて欲しいと思い作ったので、想いを汲み取っていただけてよかったです(笑)。ライヴの事を思い浮かべながら作った曲です。

――このインタビューが公開される頃には、『JUNHO (From 2PM) Winter Special Tour “冬の少年”』がスタートしていると思いますが、どんなライヴになりそうですか?

1月20日(土)札幌ニトリ文化ホール
1月20日(土)札幌ニトリ文化ホール

JUNHO これまでの夏のツアーとは全く違うものにしたいと思っています。夏のツアーは「LAST NIGHT」「HYPER」「2017 S/S」と、まるで3部作のように音楽的にどう成長できるのかという事を、悩みながら作っていったシリーズでした。今回は初めての冬のツアーなので、このアルバムからはもちろん、これまで歌わなかった曲も入れたり、今までの曲もアレンジを変えて違う曲のように仕上げてみたり、新鮮なものにしたいと思っています。

「その時自分が一番好きな事、ハマっている事、伝えたい事を素直に作品に反映させたい」

――今回で6枚目のミニアルバムになりますが、作品を作る時、音に向き合っている時にいつも心がけている事を教えて下さい。

ツアーは、セットリスト、ステージセット、美術、照明、小道具まで全てJUNHO本人がプロデュース
ツアーは、セットリスト、ステージセット、美術、照明、小道具まで全てJUNHO本人がプロデュース

JUNHO 幸いなのは、あらゆるジャンルの音楽が好きで、興味があって、ひとつの音楽のジャンルに偏るという事はありません。なので、リード曲はもしかしたら同じテイストに感じるものがあったかもしれませんが、その他はありとあらゆるジャンルの曲が収録されているはずです。いつも心がけているのは、その時自分が一番好きな事、ハマっている事、伝えたい事を表現していく事です。

「一番エネルギーを充電できるのはライヴ。日常の些細な出来事にも刺激を受け、それが曲のヒントになる」

――本国・韓国では俳優としての評価がどんどん高くなっていて、日本ではアーティストとして人気で、俳優もミュージシャンも“表現者”ですが、表現するという事は自分にとってどういうものですか?

JUNHO 歌手としての表現というのは、本当に自分が伝えたい事、感じている事を歌として表現できて、それをさらにライヴでお客さんに伝える事ができます。俳優というのは作品、脚本がまずあって、作家の方が書いた文章の中にある世界観を、役柄を通じて表現していくものです。だから考え方によっては俳優としての表現の方が難しい気もします。でもそれぞれの魅力があるので、今は両方を一生懸命がんばるだけです。

――演技も歌も、自分の中にあるものを出していくアウトプットの作業ですが、逆に自分の心の栄養になるものをインプットする時間は、これだけ忙しい中でいつ作っているのでしょうか?

JUNHO 一番大きなものは、ライヴでお客さんからの愛を感じる事で、まさにエネルギーの充電です。ささやかなもの、事にインスピレーションを受ける事もあります。もちろん時間を取って、何かを観賞したり、美しい景色を見る事も大切です。でも日常の中にも刺激的な事はあります。例えば掃除をしている時も、掃除というテーマが浮かんで、曲ができるかもしれないし、“冬眠”というテーマも、忙しいからこそ浮かんできたテーマです。色々な状況から色々なものを吸収しているのだと思います。

「人生の中でコンスタントに何かをやり続ける事が一番難しい。僕はコンスタントに作品を出し、コンスタントにライヴをやって、ファンの皆さんにずっと会い続けたい」

――2PMとして、ソロとして、日本での音楽活動も長くなりましたが、音楽的な部分でのこれからの目標を教えて下さい。

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JUNHO これまで歌手として長い時間、日本のファンの皆さんと音楽を通じてコミュニケーションを取ってきました。これからも変わらず、コンスタントに作品を出し、ライヴをやり、皆さんに会う事を続けたい。人生の中で、コンスタントに何かをやり続ける事が一番大変だと思いますが、でも歌手として最大限努力していきたい。音楽的にはいつになるかわかりませんが、今までやってきた音楽の集大成的なもの、ひとつのアルバムの中に自分の音楽はこれだというものを集約した作品を出したい。そしてこれは恐れ多い事だとは思いますが、それがひとつの音楽のジャンルとして提示できるような、スタンダードになる一枚を作りたい。

JUNHO(From 2PM)『Winter Sleep』特設サイト 

音楽&エンタメアナリスト

オリコン入社後、音楽業界誌編集、雑誌『ORICON STYLE』(オリスタ)、WEBサイト『ORICON STYLE』編集長を歴任し、音楽&エンタテインメントシーンの最前線に立つこと20余年。音楽業界、エンタメ業界の豊富な人脈を駆使して情報収集し、アーティスト、タレントの魅力や、シーンのヒット分析記事も多数執筆。現在は音楽&エンタメエディター/ライターとして多方面で執筆中。

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