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スキマスイッチ ”泣ける歌詞”と、発売前から話題になっていた新曲「ミスターカイト」に込めたメッセージ

田中久勝音楽&エンタメアナリスト
左から常田真太郎(鍵盤、Cho)、大橋卓弥(Vo、G、Har)

歌詞を先行解禁し、良さが広がる。「ミスターカイト」という曲がどんな曲なのか、その期待が高まる

『ミスターカイト/リチェルカ』(9月13日発売/初回限定盤)
『ミスターカイト/リチェルカ』(9月13日発売/初回限定盤)

「よく“追い風に乗って”という表現はあると思いますが、“向かい風(逆風)に乗って上がる”という表現はあまりないと思うので、自分達をカイトに見立て向かい風と共に上がっていくという表現が「ミスターカイト」の醍醐味だと思います」――これはスキマスイッチの約2年ぶりのシングルで、9月13日にリリースされる(た)「ミスターカイト/リチェルカ」の「ミスターカイト」について、メンバーの大橋卓弥とともに同曲を書きあげた常田真太郎の言葉だ。この「ミスターカイト」の歌詞が今、泣けると話題を集めている。この作品はまず8月1日に歌詞検索サイト「歌ネット」で歌詞のみが先行解禁され、サイト内リアルタイムランキング1位を獲得。歌詞の良さがSNS上で拡散され、「ダメだ…ミスターカイトの歌詞見ただけで泣いちゃう」、「<月曜日の朝は街にリセットしきれない気持ちが泳いでいた>この歌詞で一気に曲に引き込まれる」、「散々なことが続いて疲れきった今、聴いてしまったら涙が溢れ出てしまう、あぶない」という声が飛び交い、絶賛の声が伝播していった。

多くの人が共感できる、閉塞感漂う社会の中で生きるすべを教えてくれる、勇気が出る言葉の数々

大部分の人が憂鬱に感じる月曜日、ストレスが溜まる満員電車の中、<知らないふり 見えないふり 気づかないふり>、息がつまりそうになる社会の中で生きる日々……そんな言葉をシンプルなサウンドに乗せ、大橋がひと言ひと言丁寧に歌い、常田のコーラスが乗る。そしていきなり展開が変わり、壮大で、まるで風が吹いてくるような疾走感のあるサウンドになり、サビを迎える。<向かい風を捉えたなら 大地を蹴り、跳べ!>と気持ちを鼓舞する。Aメロとサビのサウンドの違いが印象的で、面白い。この展開について大橋は、「この曲は、サビを聞いた人がフル尺を聞いた時に、こんなAメロなんだと驚きがあったらおもしろいんじゃないかと思い作った曲です。過去に自分自身が、サビとAメロのギャップで衝撃を受けた曲があり、その体験があって今回の「ミスターカイト」を作りました。歌詞に関しても、Aメロは大橋が、サビは常田がと、書き分けをして作っています。「ミスターカイト」は、今までのスキマスイッチにはない楽曲で、今の音楽シーンにも中々ない楽曲だと思います。今のスキマが歌う「全力少年」です」と、自身の大ヒットナンバー「全力少年」を例えに出し、曲の完成度に自信を持っているようだ。

いつも追い風ばかりではない、向かい風をチャンスと捉えることで、より上へ上と上昇できる、成長できる

追い風にうまく乗り、“順風満帆”に進むのもいい。しかし向かい風、逆風をうまく捉えた方が、より高く上がれる、成長できると教えてくれる。凧(カイト)は追い風では風に乗れない。風を受け、高く揚がっていく。スキージャンプも向かい風が好条件だ。揚力で風に乗るのだ。そう考えるとピンチはチャンスという例えがあるが、向かい風をチャンスと捉えることで、バネにすることで人は成長できることを、改めて気づかせてくれる。それが幅広い世代の心に刺さっている理由だ。常田は「自分達が常にファーストインプレッションを与える側でありたい、何かを作った上で評価を受ける側でありたいと思っている中で、いつも追い風ばかりではないことはわかっています。常に前へ向かって走り続け、自分達で上がっていきたいという思いを纏めると、このカイト(凧)という表現が自分達にはとても合っていると思います」と、タイトルと歌詞に込めた想いを教えてくれた。

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この曲は、スキマスイッチのライヴではすでにおなじみのナンバーで、リリック映像をスクリーンに映しながらしっかりと歌詞を伝える演出で、多くのファンに感動を与えている。ファンは「「ミスターカイト」が好きすぎて、かっこよすぎて泣く。ライブで2回聴いて、2回とも泣いた」「「ミスターカイト」、ライブで聴いて久しぶりにライブで泣いたなー。CDで聴くのが楽しみ」など、感動したという声がネット上に多く上がっている。映画『君の名は。』などでおなじみの、映画監督・新海誠氏もこの作品の発売決定のニュースを受け、Twitter上で「スキマスイッチの新曲「ミスターカイト」。聞き終えた後になにか大きな体験を自分の中に残してくれる、特別な1曲です。実はずっとリリースを待ち望んでいました。あるご縁があって、ラフ音源の状態から何度も聴かせていただいていたんです。嬉しい!」と絶賛している。

雨が降る、横浜・みなとみらいが舞台になったこの作品のMUSIC VIDEOも先日公開され、「「ミスターカイト」MVやっと見た!!すごい鳥肌…!!この曲聴くたびにじわぁぁって涙出てくる」、「仕事終わって、「ミスターカイト」のMV見た。カッコいい、カッコ良すぎて泣く。仕事の疲れが癒やされる」というコメントが、早速数多く寄せられた。

人の心を癒したり、背中を押したり、気づかせてくれたり、何かを与えてくれるものが音楽だ。「ミスターカイト」は、全ての人の事を優しく包み、寄り添ってくれ、“明日への一歩”を踏み出すために、無理矢理ではなく、そっと気持ちを鼓舞させてくれる、どこまでも純粋なメッセージソングだ。

スキマスイッチ オフィシャルサイト

音楽&エンタメアナリスト

オリコン入社後、音楽業界誌編集、雑誌『ORICON STYLE』(オリスタ)、WEBサイト『ORICON STYLE』編集長を歴任し、音楽&エンタテインメントシーンの最前線に立つこと20余年。音楽業界、エンタメ業界の豊富な人脈を駆使して情報収集し、アーティスト、タレントの魅力や、シーンのヒット分析記事も多数執筆。現在は音楽&エンタメエディター/ライターとして多方面で執筆中。

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