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アーティスト、作曲家、劇団主宰兼編集長が手がけるサイト「SPICE」は、エンタメ業界を救う!?

田中久勝音楽&エンタメアナリスト
「情報発信がまだ十分ではないエンタメのジャンルをクローズアップしたい」(秤谷)(写真:アフロ)
“エンタメ特化型情報メディア”「SPICE」総合編集長・秤谷建一郎
“エンタメ特化型情報メディア”「SPICE」総合編集長・秤谷建一郎

バンド、作曲家、劇団主宰、エンタメシーンのマルチプレイヤーがサイトの編集長になったワケとは?

鬼丸こと秤谷(はかりや)建一郎――アニソンやゲーム音楽のコンポーザーとして、忍者Visualバンド「音影」、“新世代音楽家集団”「TOTAL OBJECTION」のギタリスト、演劇クリエイティブ集団「Creative.Company.Colors(C.C.C)」の主宰として、また様々なアーティストのライヴやレコーディングに参加しているギタリストとして、エンタテイメントシーンの中で八面六臂の活躍している男がいる。そんなマルチな活躍をしている秤谷が総合編集長を務める、“エンタメ特化型情報メディア”「SPICE」が注目を集めている。チケット販売大手・イープラスが秤谷をヘッドに据え立ち上げたエンタメ総合サイトだ。アーティストでもあり、あらゆるエンタメに精通している秤谷が編集長を務めるということで、音楽はもちろんのこと、まだポータルサイトがないジャンルにも陽を当て、「エンタメ業界に関わっている人全てがご飯を食べられるようになって欲しい」という強い想いの元、スタートさせた。一人五役も六役もこなす秤谷に、その原動力になっているもの、「SPICE」が目指す理想の形を聞いた。「自分がワクワクしないところには身を置かない」と言い切る秤谷は前しか向いていなくて、いや、振り返る余裕がないほど多忙を極めているが、人から感動をもらいそれをまた放熱し、人に感動を与える――そんな彼に尊敬の意味を込めて“エンタメバカ”という言葉を贈りたい――。

インディーズでバンドデビュー。プロモーション方法のなさを憂い、自ら音楽無料配信サイト「audioleaf」を立ち上げる

――秤谷さんがエンタメの世界に飛び込んだのはバンドからですか?

秤谷 元々インディーズでバンドをやっていたのですが、当時はCDのリリースやライヴ情報を告知する方法がほとんどなく、プロモーションする方法もフライヤーをまくだけで、その他の方法は全然わからない状態でした。2008年ごろようやくネットが浸透してきて、ネットを使ったプロモーションが徐々に当たり前になっていく感じでしたが、事務所にも所属していないインディーズのバンドにはそんなすべもなく、それで自分達でメディアを持ちたいと思い、僕がネットの知識がありましたので2005年にインディーズ音楽無料配信サイト「audioleaf」を立ち上げました。

――バンドをやりながらメディアを立ち上げていった感じですか?

秤谷 そうですね、自分達のバンドを一番に取り上げられるじゃないですか?(笑)。他にも音楽系のサイトはいくつかあったのですが、同人っぽいものだったり、内容が雑多すぎたりして、僕は“バンド”のためのサイトが欲しかったんです。ロックでもポップスでも、バンドをチェックできる場所が欲しかったんです。だから「audioleaf」ってメインカラーがブラックなんですよ。当時は黒ベースのサイトがありませんでした。大体のサイトは白を基調にしたものが多くて、黒にしたのはかっこいいサイトに自分達の情報を載せたかったからです。

いち早くFlash Playerを取り入れる

――カッコよさにこだわり、他にこだわった部分を教えて下さい。

秤谷 当時はサイト上ではReal PlayerとMedia Playerでしか音楽を聴くことができなかったのですが、再生まで時間がかかってたんです。それが本当に嫌で、でも海外に目を向けるとmyspaceというコミュニティサイトがあって、そこがFlash Playerを使っていて、これは凄いと思い、ホームページ制作会社でアルバイトをしている時にFlash Playerは使ったことがありましたので、それを音楽にも使い始めました。たぶん日本でも早い段階で使い始めたと思います。ダウンロードではなくストリーミング再生が一番のポイントでした。その後、色々なサイトがFlashPlayerを使い始めましたがほとんどが失敗しています。なぜかというと、僕はバンドの現場にいて、バンドの連中の性格がわかるんですけど、基本はみんな面倒くさがりなんです。毎日更新したり、管理したりするのは苦手なんです。そういうことをきちんとやれば伝わって売れるはずで、サボるから売れないんですよ。もちろん才能の差はあるとは思いますが。他のサイトが参入してきて、どうやってうちに勝とうとしたかというと、機能の面なんです。「audioleaf」よりこんなこともあんなこともできますよって色々機能を付けすぎて、逆にユーザビリティが悪くなって、見られなくなったのだと思います。うちはアーティストが頻繁に更新しなくても古い感じにならないように工夫したので、見てもらえていたのだと思います。

バンドが大きくなっていくための、ノウハウを伝えるエージェント的なサイトを目指す

――“こだわり”が大きな原動力になっている。

秤谷 バンドマンが自分達の事をプロモーションする方法に関して無知なのは、教える人がいないから仕方なかったんです。売り方も、曲に関しても、ライヴのやり方も、売れている他のバンドをマネしたり、自分達で勉強していくしかなかったんです。日本は海外のように代理人とかエージェントがいないので誰も権利の事を教えてあげないし、教えてもらうにしても事務所がエージェントの役割を担うので、事務所に所属しなければいけないし、だったら僕がアーティストと事務所の間のような存在になって、でも一人ひとりに教えることは難しいので、サイトとしてエージェント的存在でいてあげたいなと。著作権の問題やプロモーション方法や、ライヴに関しても、このサイトをみればわかるようにしてあげたかったんです。ちゃんとやればインディーズでも食えるんだよ、という事をみんなに知って欲しかった。

小劇場界に飛び来んでわかった、プロモーション手法の遅れ。マネタイズできるように、バンドで培ったノウハウを伝授

――もどかしい感じだったんですね。そのバンドと秤谷さんのもうひとつの顔でもある劇団C.C.C.の主宰者としてはいつ頃から活動していたんですか?

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秤谷 演劇は5年ぐらい前からです。バンドをやっていましたが、自分は前面に立ってやるよりもプロデュースとかの方が合っているのかなと思っていて、もちろんプレイヤーとしてもやっていきますが、もう少しエンタメの方に触れたいという想いがあり、2007年に、「音影」という忍者スタイルでのショーとバンドと音楽劇をやるバンドもスタートさせました。その「音影」のライヴに、他の劇団で殺陣とかをやっている方に出てもらったんですよ。そうしたら僕のことを器用と思って下さったみたいで、体も大きいし派手なので、その方の劇団の本公演をやる時に出てもらえないかとオファーを受けました。不安を抱えながら出てみるとすごく面白くて、舞台を観たのもやったのも初めてだったので「これもすごくエンタメじゃん!」と思いました。それでいざ舞台の世界に飛び込んでみたら、小劇場界ってバンドなんか比にならないくらいプロモーションができていないんです。バンドと同じでチラシをまく、以上、みたいな感じでなんです。ポータルサイトもないし、それをアウトプットする場所がほぼないんです。だからお客さんが増えようがないし、みんなそのループにハマってるから、それぞれがそれぞれの劇団の舞台に出たら友達になって観に来てもらうという、役者同士で観ているだけなんですよ。あと友達がたまに観にきてくれたり。

――本当にアナログな感じだったんですね。

本当に初期のインディーズシーンみたいな感じでした。Twitterの使い方も知らない、FaceBookの使い方もわからない、ホームページも適当で。バンドマンよりもお金持ってないし、バンドはCDやMUSIC VIDEOという外に発信できる武器がありますが、彼らは武器も持っていないんです。それどころか、自分達の公演をUSTREAMやYouTubeとかで見せてしまったら、劇場に足を運んでくれないのでは?という考え方だったんです。僕の劇団では自分達の公演をブロードキャストで全部中継したりします。でもそれをやることを「お客さんが減っちゃう」と最初はすごく抵抗されました。それは違うよと。一日目観て良かったら公演中に来てくれるし、今回はだめでも次来てくれるという考え方がなかったんです。可能性を広げていくことが大切なのに、全部つぶしていっていたんです。だからその時の公演のDVDを、次の公演の時に手売りしているだけなんです。このなんとももどかしいループがあって、それぐらい発達していないマーケットだったので、僕がこれまで培ってきたノウハウを使って、彼らはちゃんとマネタイズできるエンタメ集団になって欲しいと思ったんです。僕が関わっている人たちだけでもきちんとノウハウを身に着けて、その人達が色々なところに行ってそれを広めることで、小劇場界全体に革新が起こればと思いました。

「舞台は映画と同じくらいカジュアルなもの。もっと小劇場に足を運んでほしい」

僕は2014年に全国各地から、シンパシーを感じた役者ばかりを集めて、オールスターみたいな劇団「C.C.C」を作ったんです。その劇団は1回目からそれまでのノウハウを全部駆使しています。’80年代には小劇場ブームみたいなものもあって、若い人たちがこぞって劇場に足を運んだ時代もありましたが、今は「観た事ないしわからないし、面白いの?」という感じでなかなか広がらないのですが、個人的には映画と同じぐらいカジュアルなものと思っていて。デートのプランの中にひとつ加えて欲しいですし、もちろん観にきてくれる人も多いのですが、もっともっと劇場に足を運んでほしいです。

――どこか間口が狭いイメージがあるのかもしれませんよね。

劇団GAIA_crew第11回本公演「アマオト~星巡ル夜君ヲ探ス」で客演
劇団GAIA_crew第11回本公演「アマオト~星巡ル夜君ヲ探ス」で客演

秤谷 プロモーションって2パターンあると思っていて、知らせることで動員が増えるものと、どういうものかきっちり内容を伝えないと、チケットを買ってもらえないものがあって、いいものを作り続けていれば、公演をやっていることを知らせて、来てもらって、観て満足してもらえれば分母が増えていきます。だから僕は小劇場に関してはこだわりとかエゴとか全くなくて、純粋にお客さんが観て面白いと思うかどうかだけなんです。趣味嗜好は違うにしても10人来たら8人が面白いと思うものを目指してやっています。

演出・脚本を手がけない珍しい劇団主宰。「適材適所が大切。自分はプロデュースが向いている」

――脚本も書いているのですか?

秤谷 これが面白くて、僕は本も書かなければ演出もしない主宰で有名です(笑)。普通は主宰が演出、脚本を手掛けることが多いのですが、そうじゃないところで主宰の役割ってあると思っていて。やっぱり適材適所だと思いますし、一番いいものを書ける人が書けばいいし、一番いいもの見いだせる人が演出をやればいいし、僕は何ができるかというと、劇団を世の中に広めるためのプロモーションとか、プロデュースなんです。うちの劇団には脚本家が4人いて、何をやるか決めたら、4人が書いてきたプロットの中で一番面白い人の本でやります。で、演出もその本の世界ならこの人とか、もちろん書いた本人がやることもありますし。

「エンタメ業界にいるまだまだご飯を食べることができていない人を、食べられるようにしてあげたい。「SPICE」はそのための一歩」

――そんな秤谷さんが、エンタメサイトをやろうと思ったきっかけはなんだったんですか?

秤谷 これまで色々な仕事をしていまして、その中のひとつに「@JAM」というアイドルイベント(当時はアイドルやサブカルなど全般のイベント)の0回目を立ち上げました。その時に出会った人がイープラスの今の僕の上長でして、その人やイープラス社長の橋本さんと多くのお話をさせていただき、夢を語っている時に、やりたいことの最終到達点が同じということに気付いて、チープな表現ですがとても簡単に言えば、エンタメ業界にいるまだまだご飯を食べることができていない人を、食べられるようにしてあげたいということです。この先に考えている大きなビジョン、そしてそのための一歩としては新たなメディアを立ち上げる事だと。片やもっとメジャーになるために、片やもっと掘り下げたところを拾えるような、そんなメディアにしたいという話を聞き、同調しました。僕自身も「audioleaf」を長年やってきて、もっとなんとかしたいと思っていましたので、ジョインさせていただいた感じです。2015年の4月にイープラスに入社して、やることが明確で一本道でしたので、とにかくスピード感を持ってやり、7月にサービスインしました。

ポータルサイトがないエンタメのジャンルを積極的に取り上げたい

ポータルがないジャンルってまだたくさんあるんですよ。イープラスはエンタメのチケットを全部扱っていますので、まだまだ情報発信できていないジャンルのものを、クローズアップしてあげたいです。例えばバレエとか。バレエのポータルはないんですけど、バレエが好きな人は確実にいて、全ての情報が掲載されている場所がないのでそれを作ってあげたい。モータスポーツもそうですし、プロレスもそうです。プロレスは雑誌がありますが、もっと情報があってもいいと思いますし、プロレスが好きな人って潜在的にはものすごく多いです。そういうニッチな部分をもっと拾ってあげたい。メジャーなところから発信したいと、沸々としている人達の声をもっと拾ってあげたいです。

――母体のビジネスがチケットビジネスで、あらゆるジャンルのものを扱っているという部分でも、やる必要性が大いにあるということですよね。

秤谷 そうですね。稀有なサイトだと思うんですよね。完全なるオウンドメディアではないので、そのチケット情報を出していくためだけの媒体ではないので、ここは完全に切り分けていて、僕らは僕らの意志で情報を発信していきます。一方でオウンドメディアという性質はやはりあって、例えば最新の公演情報が全て揃っている部分は、メリットとして受け取っています。イープラスからの恩恵も受けながらも、でも提灯記事にならない、書き手の意志が存在する記事を発信していきたいです。そういう意味で稀有なサイトだと思います。

「いただいた情報をそのまま配信するのではなく、自分達の信念と主観を入れ込んで発信したい」

――性質上もそうですし、営業的にもそういう提灯記事的なものを書かざるを得ないシーンもこれから増えてきて、それが多くなると他のサイトと変わらなくなります。

秤谷 そこはこだわりたいところです。今はレコード会社、PR会社からきたリリースをそのまま配信するサイトが多いですが、そうではなくそこに必ず“意志”、僕らの信念と主観を挟めば違う情報になって発信されると思っています。そこはできる限り死守したいですし、そうじゃなければ存在意義がなくなってしまいます。誰かが誰かにレコメンドをする、それをシェアして情報が広がるという時代だと思いますしね。だからこそ、「確固たる意見」は必要だと思います。そしてメジャーとかマイナーとか関係なく人に刺さるもの、今誰かが知りたいと思っていることを、的確な言葉と的確なタイミングで伝えていきたいと思ってます。

――「SPICER」という存在が特徴になっています。

SPICEのTOP画像
SPICEのTOP画像

秤谷 そうなんです、今約150人くらいいる「SPICER」を増やしていきたいです。ライターさんといっても、お願いをして書いていただくことはもちろんですが、うちではライターさんにも発信してくださいとお願いをしています。そのライターさんが趣味や大好きな事をうちで吐き出してもらいたいんです。例えばK-POPの記事ばかりやっているけど実はロックが凄く好きというライターさんがいたら、うちではロックの記事を書いて欲しいです。

――その人が好きな事を語っている時の“熱量”ってすごくて、それに惹かれるんですよね。

秤谷 僕も御多分に漏れずオタクなんですが、オタクってそうじゃないですか?自分が大好きな事を人に話している時が一番楽しいからそれをサイトでやって欲しいんです。業界の裏側の人にも是非参加して欲しいです。イベンター、マネージャー、レコード会社のA&Rとか、普段話が聞けない人達に色々な話を聞きたいです。

――サービスインして約8か月経ちましたが、手応えはいかがですか?

秤谷 今の段階では合格点ですが、これからやらなければいけないことが山程ありますので、この一年でそれがどこまでできるかです。先ほども出ましたが、他サイトにはない自分達の主観が入った情報出しはできているはずなので、業界の方たちからも「今までこういう書き方してくれたところなかった」という声をいただいていますので、積み重ねていきたいと思っています。メディアって一朝一夕ではできないものですので、時間をかけて作り上げていきたいです。それと、イープラスが今までおつきあいがなかった人やアーティストが、「SPICE」をきっかけにチケッティングに繋がってくれると嬉しいですね。間接的には営業になるかもしれませんが、でも僕たちがやりたいことをやっていてそれがいい循環に繋がっていくのであれば、それが一番いい形です。

「自分がワクワクしない場所には身を置かない。仕事をしながらストレス解消」

――ところで、ミュージシャン、コンポーザー、劇団をこだわりながらやって、さらにそこにサイトの立ち上げという大変な作業が加わり、一体時間をどう使っているのかが知りたいです。趣味も全力でやっていると伺っているので、いつ寝ているんだろうと。

秤谷 仕事ではあるのですが、やりたいことをやっていて、僕は人生でやりたいこと以外やっていないんです(笑)。自分がワクワクしないものの中には身を置かないようにしています。だからまずつらくないんです。寝なくてもつらくないし、他の事で遊ばなくても辛くないし、お酒を飲んでストレスを解消しなくても、仕事をしながらストレスを解消しています(笑)。曲を作っていてそれが完成して聴いている時、ストレスはなくなりますし、舞台をやってお客さから拍手もらった時は、それまでの苦労は全部吹っ飛びますし、「SPICE」をやっていてTwitterで「面白い」という反応をもらったり、取材した時にアーティストにお礼を言われたりすると、苦労なんて全部消えてなくなります。つらい事と楽しい事を繰り返しているので、ストレスが溜まらないんです。1日2時間ぐらい寝られれば十分ですし、物理的に眠いことはありますが、ワクワクしてアドレナリンが出ている時って眠れないじゃないですか。もちろんすべての事を効率化した上でのことですが。無駄な事は二度やらないというか、例えば確認も一回で済むよう、返信が必要ないようなメールにしたり。それとシンキングタイムは作るようにしています。作曲の仕事はやはりインプットが必要で、プロモーションとかはアウトプットなのでインプットしていかないと、枯れます(笑)。

「ずっと”ノリノリで生きる”が目標。ユーザー、友達、お客さんから感動をもらい、それをまた外に向かって出す循環器みたいなもの」

――いつも自分に言いきかせていることはありますか?

TOTAL OBJECTION
TOTAL OBJECTION

秤谷 座右の銘じゃないですけど、生きている間の目標が“ノリノリで生きる”です(笑)。日々感動して生きているので、友達、お客さんから受け取った感動を、僕のフィルターを通して外に出しているだけなので、循環器みたいなものです。僕が書く曲の詞は、人間が生きるとか日々をこなすということは、ポジティブに生きようがネガティブに生きようが、たぶんたどり着くゴールは一緒だから、だったらノリノリで生きた方がいいじゃん、という考え方に基づいて書いています。お日様見ながら歩いても、下向いて歩いてもたぶんゴールにはたどり着けるから、だったら無理にでもお日様見ながら歩いた方がいいんじゃない?という事を歌詞にも曲にも込めています。誰がマイナス思考、ネガティブが悪いと決めたのか、ポジティブなのはいい事と誰が決めたのかということなんです。そのままでそれを受け入れて生きよう、ということをずっと言ってたら、ある時、お母さんと娘さんとで僕のバンドのライヴに来てくれた時、終わった後話しかけられて、お母さんが「うちの娘は何年間も引きこもりだったけど、ある日「お母さんこの人達知っている?」と見せられたのがTOTAL OBJECTIONのCDで、それから学校に行ってくれるようになりました。私たち家族はTOTAL OBJECTIONに救われました」と泣きながら言ってくれました。その時僕は音楽をやっていて本当に良かったと心から思いましたし、僕らの歌で世界中の人間を救えなくても、一人の人間の考え方が変わるのであれば、どんどん発信していこうと思いました。そうやって一人ひとりからの、ひとつひとつの言葉をインプットしてエネルギーに変え、燃やして生きているので忙しくても全然平気なんだと思います。僕の考えに同調してくれる人とはシェアしているということなので、そうなるとファンとかお客さんとかの関係ではなく、友達だと思いますので、世の中でシェアできる人が増えれば嬉しいですね。

一億総発信者時代。求む発信者=「SPICER」

――それを「SPICE」で伝えようとしている。

秤谷 エンタメという娯楽で心が豊かになるものをできるだけ多く発信して、それが何かが変わった、インタビューを読んで変わったという人がいるならば、それだけでサイトをやっている意味があると思います。「SPICER」は300人が目標です。発信者が欲しいです。今はもう総発信者時代だと思います。インスタグラムやTwitterで個人が自分の意見を発信していて、それをメディアでやってはいけない理由ってないと思うんです。

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◆ SPICE(スパイス) ◆サービスイン: 2015 年7 月22日 ◆サイトカテゴリー: エンターテインメント特化型デイリー情報サイト ◆扱いジャンル: 音楽(ポピュラー音楽、クラシック音楽等)、舞台(演劇、ダンス、演芸等)、 アート、アニメ/ゲーム、イベント/レジャー ◆記事本数: 毎日 30 以上、月間約 1000 記事 ◆記事ソース: オリジナル記事&提携メディア配信ニュース記事 ◆コンテンツ構成: 動画記事、ニュース記事、「ちょい読み」ニュース、インタビュー、対談、 ライブレポート、特集等 ◆閲覧デバイス: スマートフォン、タブレット端末、PC の web ブラウザ ◆購読料: 無料 ◆運営会社: 株式会社イープラス (東京都渋谷区・代表取締役社長:橋本行秀)

エンタメ特化型メディア「SPICE」

音楽&エンタメアナリスト

オリコン入社後、音楽業界誌編集、雑誌『ORICON STYLE』(オリスタ)、WEBサイト『ORICON STYLE』編集長を歴任し、音楽&エンタテインメントシーンの最前線に立つこと20余年。音楽業界、エンタメ業界の豊富な人脈を駆使して情報収集し、アーティスト、タレントの魅力や、シーンのヒット分析記事も多数執筆。現在は音楽&エンタメエディター/ライターとして多方面で執筆中。

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