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「ウーピー・ゴールドバーグに会いたい」神戸の売れっ子歌手・クマガイタツロウが“ハリウッド挑戦”を決意

田辺ユウキ芸能ライター
ワタナベフラワーのボーカル、クマガイタツロウさん/写真:本人提供

「映画『天使にラブ・ソングを3』に自分たちの曲を使ってもらいたい! そのために主演のウーピー・ゴールドバーグに会いに行きます」

そう話すのは兵庫県神戸市を拠点に活動しているバンド、ワタナベフラワーのボーカリストであるクマガイタツロウさんだ。

とは言っても、ハリウッドスターのウーピー・ゴールドバーグと親交があるわけではない。クマガイさんは、映画の祭典『第96回アカデミー賞』の開催のタイミングに合わせて3月7日から13日までアメリカのロサンゼルスに滞在。期間中は侍の格好で「Photo Free」と書いたプラカードを持って、同賞の会場であるドルビーシアター付近に連日張り付き、自分を撮ろうとする人たちに「撮るかわりに私の話を聞いてください。ウーピー・ゴールドバーグを探しています。ご存知ないですか」と尋ねていくのだという。そうやって手当たり次第に話してまわれば、ハリウッド映画の関係者らと出会い、ウーピー・ゴールドバーグにも近づけるのではないかという考えだ。

それにしてもなぜ、ウーピー・ゴールドバーグなのか。

ピコ太郎『PPAP』を絶賛した“ジャスティン・ビーバー方式”を狙って渡米

神戸を拠点に活動するバンド、ワタナベフラワー/写真:本人提供
神戸を拠点に活動するバンド、ワタナベフラワー/写真:本人提供

クマガイさんは1979年6月8日生まれの44歳。関西で数多くのラジオ番組、テレビ番組のレギュラーなどを抱える売れっ子だ。また2001年から所属しているワタナベフラワーも、「日本唯一のワクワクロックンロールバンド」を掲げ、神戸で絶大な支持を集めている。クマガイさんは、赤いジャケットと赤縁メガネの派手ないでたち、陽気でどんな人にも愛されるキャラクター、軽快なお喋りが特徴的で、いわゆる「ご当地タレント」として地位を築いている。

連日のようにメディアへ出演するなど大忙しのクマガイさん。ただ、「自分も、ワタナベフラワーも全国的にはまだまだ。だけどもうおっさんだし、若くて才能がある人たちがどんどん出てくるなか、このままやっていても大きくハネることはない。音楽業界、芸能界の大きいところへ入っていくことは難しいと自覚しているんです」と本音を口にする。

「この先、どうしたら良いかと考えたときに、ピコ太郎さんがブレイクしたときのことが頭をよぎったんです。『PPAP(ペンパイナッポーアッポーペン)』(2016年)は、ジャスティン・ビーバーが絶賛したことがきっかけとなり世界中で流行りましたよね。こういうことなんじゃないか、と。ちょうどそのとき、ワタナベフラワーで『泣きなさんな』というゴスペルの曲を初めて作ったんです。曲作りの際、参考に自分が大好きな映画『天使にラブ・ソングを…』を観まくっていました。そして曲が出来上がったタイミングで、『天使にラブ・ソングを…』の3作目が製作されていることを知りました」

ウーピー・ゴールドバーグに「ええやん」と言ってもらいたい

映画『天使にラブ・ソングを…』は、ウーピー・ゴールドバーグが主演をつとめる人気シリーズだ。1992年に封切られた1作目が世界的に大ヒットし、翌年には続編も公開。同作は、ウーピー・ゴールドバーグが演じるクラブ歌手のデロリスが、トラブルから身を隠すためにサンフランシスコの修道院でシスターとなり、そこで聖歌隊を指導する物語。デロリスは、ゴスペルやロック調にアレンジした聖歌を歌わせるなど破天荒なパフォーマンスで話題となっていく。

そんな同シリーズの3作目製作が最初に報じられたのが、2018年。それから一旦製作が止まっていたが、2021年には監督、脚本家が決定したことがニュースとなり、その後も製作が徐々に進行していることが伝えられている。

クマガイさんは「曲を作るときも観ていた『天使にラブ・ソングを…』が、約30年ぶりに続編を作っているなんて。なんだか運命を感じたんです」と振り返る。そして「もしウーピー・ゴールドバーグが『泣きなさんな』を聴いて、『ええやん』と言ってくれたら世界がウネるんじゃないか」とひらめき、“ハリウッド挑戦”を決意したという。

目指しているのは『天使にラブ・ソングを3』の挿入歌

クマガイさんは「曲を売るために予算をかけてテレビやCMのタイアップをとるなどすれば、音楽のプロモーションは成立します。だけどその盛り上がりは一時的で、一部の人にしか響かないことが多い。それだったら、たとえば100万円を使うなら、みんなも、自分もワクワクできる楽しいことをやった方が良い。もしウーピー・ゴールドバーグに会うことができたらなにかが変わるかもしれないし、会えなくても『こんなことをしたんですよ』といろんなところで喋ったり、飲み会の席で笑ってもらえたりすると思うんです。そういう風に考えたら『成功しても失敗しても、これはやったら勝ちやん!』となったんです」と口を大きく開けて笑う。

目指しているのは、『天使にラブ・ソングを3』の挿入歌として「泣きなさんな」の英語バージョンを使用してもらうこと。クマガイさんは同曲を英語で歌えるようになるために指導を受けた。もちろん、ちゃんとゴスペルで歌唱できるようにレッスンしたという。現地で「どんな曲を歌っているのか」と尋ねられたときにすぐ歌えるように準備もしている。ちなみに同曲の英語バージョンのタイトルは「Show me your smile」で決定した。

また、ウーピー・ゴールドバーグのInstagramもまめにチェックし、たまにコメントも書き込んでいるそうだ。「ウーピー・ゴールドバーグはかつて大阪に住んでいたこともあるので、もしかすると日本人のコメントを見てくれているかもしれない」と期待を寄せている。

街への恩返し「神戸に応援してもらって生きている」

そんなクマガイさんの目標は、自分の経験を神戸に生かすことだ。

「これからどんどん世界に向けてチャレンジしていきたい気持ちはあります。でも自分は神戸に育ててもらい、神戸に応援してもらって生きています。だから絶対に離れたくはないんです。また現在、神戸は世界的な観光都市になるために再開発が進んでいます。神戸空港も国際線就航に向けて整備が進んでいますし、さまざまな国、地域、人々と身近になることができます。国際化に際して飲食やイベントの展開はもちろんなのですが、音楽も重要になるはず。そうなったとき、自分も一緒になって神戸でいろんな企画を実現させたい。今回の渡米はその第一歩。いつか、ウーピー・ゴールドバーグを神戸に招待したいですね」

「ウーピー・ゴールドバーグに会いたい!」と銘打った今回の企画は、クマガイさんが単身で渡米予定。奮闘する模様は、クマガイさんのInstagram、Xなどで報告されるという。

芸能ライター

大阪を拠点に芸能ライターとして活動。お笑い、テレビ、映像、音楽、アイドル、書籍などについて独自視点で取材&考察の記事を書いています。主な執筆メディアは、Yahoo!ニュース、Lmaga.jp、Real Sound、Surfvote、SPICE、ぴあ関西版、サイゾー、gooランキング、文春オンライン、週刊新潮、週刊女性PRIME、ほか。ご依頼は yuuking_3@yahoo.co.jp

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