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『水曜日のダウンタウン』で山之内すずの「ツッコミ力」が開花、大物相手でも「同級生感覚」のツッコミ

田辺ユウキ芸能ライター
(写真:つのだよしお/アフロ)

俳優、モデル、タレントとして幅広く活動している山之内すずの、バラエティ番組における評価が急上昇中である。

山之内すずのどんなところがバラエティ番組でウケているのか。それは「ツッコミ力」である。

近年の女性タレントの飛躍を振り返ってみても、渋谷凪咲、あのなど、発言的にもキャラクター的にも「オチ」がつけられる存在が目立っていた。つまりふたりはストライカータイプ。お笑い芸人が数多く出演するバラエティ番組のなかで、積極的な切り込みや予想外のコメントで笑いを起こす女性タレントが重宝される傾向にあった。

ただ、山之内すずはちょっとタイプが異なる。兵庫県出身ということでテレビに出始めた頃から関西弁を喋っていたが、標準語に切り替えるべきか、関西弁で勝負をしていくべきか、どこかそういった迷いのなかでトークをしていたようにも映っていた。しかしこのところは特に「山之内すず=関西弁キャラ」のイメージが強くなった。しかも大阪出身者の関西弁とはやや違うトーンであることから、新鮮な印象を与える関西弁の喋りにもなっている。

山之内すずの見方がガラッと変わった瞬間「ランドセルの色、何色でした?」

「ツッコミ」「指摘」はやはり、関西弁特有の鋭さや勢いが大いに活きる。なかでも山之内すずの「ツッコミ」「指摘」が冴え渡っていたのが、6月21日放送の『水曜日のダウンタウン』(TBS系)である。

企画「昭和はむちゃくちゃだった系の映像、全部ウソでもZ世代は気付かない説」で、山之内すずはZ世代代表のタレントのひとりとして登場。一方、昭和世代代表のタレントとしてケンドーコバヤシ、伊集院光、藤本敏史(FUJIWARA)、中尾彬が仕掛け人として出演し、ウソの昭和文化について架空の証言や映像を絡めながら、Z世代のタレントたちを騙していった。

山之内すずは騙される側だったが、「ツッコミ」「指摘」で抜群の立ち回りを見せた。たとえば「昭和では電車の運行本数の少なさや乗り入れ整備が進んでいなかったことから、乗客が電車の屋根に乗っていた」という偽情報が発表されたとき、山之内すずは「ホンマに観たことない映像すぎて、ドッキリじゃないかって今、スゴい思ってるんですけど」とコメント。この鋭い感想に、伊集院光も「俺たち、その引き方にちょっと引いてんだよね」と見事な返しを見せた。ケンドーコバヤシはVTRを振り返りながら「これがうまい」とふたりのやりとりに感心していた。

ここでの山之内すずはドッキリに勘づいたのではなく、「昭和文化を紹介する」という番組の趣旨をより強調するため、「ドッキリ」のワードをあえて使ったと推測される。その点で山之内すずのリアクションはバラエティ番組としてもっとも的確であり、加えて「昭和はむちゃくちゃだった系の映像、全部ウソでもZ世代は気付かない説」の企画のなかでも屈指の名場面にもなった。

さらに収録の途中休憩時、Z世代の誰もが昭和世代の証言や映像に戸惑いを見せるなか、山之内すずは「ランドセルの色、何色でした?」と共演者に尋ね、各年代で背負っていた色が変化していることを確かめた上で、「ウチらの2、3個したからそうなんですよ。カラフルなんですよ。すずの世代はギリ、黒といろんな種類の赤系。ストロベリーピンクとか。だから3個でこんだけ差があるってことは、何十年(の年齢差が)あるとそりゃ変化はありますよね」と自分自身も、周囲も納得させた。その分析は視聴者の誰もが「確かにそうだ」と膝を打つもので、山之内すずへの見方がガラッと変わった瞬間でもあった。またこの分析は、いまバラエティ番組などで流行している「昭和文化とZ世代のギャップ」のような企画全体に対する見事な「指摘」としてもとらえることができるのではないか。

『水ダウ』6月21日放送回は「山之内すずのツッコミがすごい説」の証明だった

この番組がドッキリであることが明かされてからは、山之内すずの「ツッコミ祭」だった。

ドッキリ企画がバレそうになる窮地をさまざまなコメントで何度も救った伊集院光について「伊集院さんがそんな言うならホンマなんかっていう」と感想を口にし、めちゃくちゃな証言ばかりする中尾彬に対しては「中尾さん急にもっとぶっ飛んだ話、盛り込んでくるし。なんですか、『ドーベルマンに追いかけられる』って。どういうことって思って」と呆れ、「学校の懲罰で生徒を屋上からロープで吊り下げていた」という内容について「何人も連なってぶら下がっていた」と話した藤本敏史には「あと、宙吊りの干し柿も結構厳しいですよ」と、このVTRを観ている全員が考えていたことをすべて「ツッコミ」「指摘」していったのだ。

まさに山之内すずの無双状態で締め括られた。この企画は「山之内すずのツッコミがすごい説」の証明にもなっていた。

浜田雅功らが相手でも同級生にツッコミを入れている感覚

山之内すずのツッコミのおもしろさは、大物などどんな相手でも「同級生にツッコミを入れている感覚」であるところだ。

山之内すずは6月28日放送『浜ちゃんが!』(読売テレビ)にも登場。同回では、出演者の演技力を試すゲームがおこなわれた。1問目は「おはよう」をお題とし、それがどんなシチュエーションで「おはよう」と言っているのかを当てるもの。ただし表情と言葉だけでそれを伝えるというルール。ところが浜田雅功は無意識に、身振り手振りをつけてしまった。山之内すずはすかさず「ジェスチャーってありなんですか」と口うるさめに指摘。浜田雅功は「やかましいわ!」と言わんばかりに山之内すずの頭を叩いて笑いをとった。そのやり取りも「同級生感覚」の楽しさがあった。

また同日放送『ぶっちゃけツッコミ劇場』(MBS)にも山之内すずは出演。いろんな企業の商品などの真相を明らかにする番組内容だったが、ダイソーの商品の使用用途を当てるクイズコーナーで、ギャル曽根の解答にダイソー関係者も正解のような素振りを見せながら不正解を出した場面があった。山之内すずはすかさず「絶対、正解やと思った!」と、隣席の藤本敏史と一緒になってダイソー関係者にツッコミを入れていた。その光景もまた「同級生」と賑やかにしているみたいだった。

山之内すずのコメントを受けて、藤本敏史がボケる

写真:つのだよしお/アフロ

山之内すずの絶妙かつ瞬発力抜群の「ツッコミ」「指摘」は、その場面に一区切りつけるだけではなく、それがうまいパスになってさらに話が弾むパターンもある。

『ぶっちゃけツッコミ劇場』では「ダイソーの商品がダサい」という意見が挙がったところで「でもインスタで話題になっている。大人かわいいって。シンプルやけど、大人っぽくてかわいいよね、デザインがって」と、若者の間ではこういった風潮があるということを説明し、そして藤本敏史が「それもあるけど『子どもダサイ』もあるんですよね」とボケるきっかけにもなった。

さらに姫路セントラルパークの紹介時、同施設がいろんなアトラクションを実施していることから「サファリなんか、遊園地なんか、プールなんか、アイススケートなんか、どれ(がメイン)なんやろうってずっと思ってました。いろいろありすぎてなにがメインなんやろう」と素朴な疑問を指摘。それが姫路セントラルパークの大きなテーマである、という話にもつながった。

バラエティ番組における女性タレントの「ツッコミ」「指摘」という枠にはファーストサマーウイカらも数えられるだろうが、山之内すずはキャラクターやカラーがまた違う。当分、そのポジションで存在感をみせていくことになるだろう。

芸能ライター

大阪を拠点に芸能ライターとして活動。お笑い、テレビ、映像、音楽、アイドル、書籍などについて独自視点で取材&考察の記事を書いています。主な執筆メディアは、Yahoo!ニュース、Lmaga.jp、Real Sound、Surfvote、SPICE、ぴあ関西版、サイゾー、gooランキング、文春オンライン、週刊新潮、週刊女性PRIME、ほか。ご依頼は yuuking_3@yahoo.co.jp

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