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ハンカチ王子・斎藤佑樹が見せたバラエティ適性、関西弁のノリツッコミに所ジョージもびっくり

田辺ユウキ芸能ライター
(写真:アフロスポーツ)

「ハンカチ王子」の愛称で知られる元プロ野球選手の斎藤佑樹が、4月13日放送『1億人の大質問!? 笑ってコラえて! 春の拡大スペシャル』(日本テレビ系)で現役引退後、初のバラエティ番組出演を果たした。

斎藤佑樹は2021年シーズンをもって現役を退き、野球関連の企画などをおこなうために株式会社斎藤佑樹を設立。同番組に出演した理由も、野球界に還元できることを見つけるため。そのニックネームに絡めて「各地の王子に会いにいく」というロケに臨んだ。

今回、斎藤佑樹は香川県でアスパラガスを栽培する「アスパラ王子」のもとを訪問。そのロケのなかで、バラエティ適性を垣間見せた。

「持っているものは仲間」現役時代はキラーフレーズ連発

バラエティ番組で求められることのひとつは、インパクトのある発言・行動だろう。その点、斎藤佑樹はこれまでさまざまな名言を口にし、人々の心を掴んできた。

早稲田実業高校時代、2006年夏の甲子園のマウンド上で、ハンカチで汗を拭う姿から「ハンカチ王子」と名付けられるなど大フィーバー。早稲田大学4年秋には東京六大学リーグ戦優勝の際「斎藤は何か持っていると言われ続けてきました。そして今日、何を持っているか確信しました。それは仲間です」と口にし、流行語大賞に。プロ入り後も、2012年の開幕戦で完投勝利を挙げたときに「今は『持っている』ではなく、背負っている」、同年6月の試合勝利後は「最強の24歳になります」といった数々のキラーフレーズを残した。

一方で2010年12月25日放送『情報7daysニュースキャスター』(TBS系)では、プロ野球ドラフト会議直前の密着取材中に高級車を見つけて「あ、カレラ、ポルシェ。カイエン乗りてぇ」、「青山ってすげぇオシャレだと思うんですけど。青山に土地買うってヤバイですか」などと発言し、野球好きが集まるネット掲示板を長年賑わせた。

メディア映えしそうなコメントを連発してきた背景には、彼に対する注目度の高さがあった。斎藤佑樹自身もそれを自覚していたはず。時にはビッグマウスと叩かれることもあったが、常に「言葉」を求められることに対する、プロとしての彼なりの配慮やサービス精神があったように感じられた。

今回のロケでも、品種改良で育った紫色のアスパラガスの味が「甘い」と聞くと、「いやいや、そんなわけないでしょ。甘いわけないでしょ」と前フリをちゃんと入れて、生で齧って「ホンマや…」と関西弁でノリツッコミをしてみせた。

その模様をVTRで観ていた所ジョージも、「どこで身に付けたんだ」とびっくり。本格的なバラエティ番組は初めてで、しかもロケという慣れない仕事でありながら、こういった機転を利かせた会話ができたのは、メディアに向けて言葉を発信し続けてきたからこそではないか。

肉を食べて「肉を食べているみたい」と珍回答

写真:築田純/アフロスポーツ

笑いを集めたのは、アスパラガスを豚肉で巻いて焼いた料理を食べたとき。

豪快にかぶりついて「お肉を巻いているからですけど、お肉を食べているみたいです」と珍回答。アスパラ王子らから「いや、お肉なんで」とツッコまれ、「もうやめるわ」とイジけるところが愛嬌たっぷりだった。

ただ食レポ自体は実に上手。「もっと筋張っていると思ったけど、シャキッとしていて甘い。リンゴを食べているみたい」、「好きな食べものをアスパラと答える人はいないけど、このアスパラを食べたらそう言いたくなる」と、そのおいしさを分かりやすく伝えていた。その言い回しはさすがである。

誰もが大歓迎、バラエティ向きのスター性

写真:築田純/アフロスポーツ

現役時代、ビッグマウスと皮肉も言われていた斎藤佑樹。ただそこには、勝負に挑む者としての意地が入り混じっていたはず。

同学年の田中将大投手が2012年に24勝という驚異的な勝ち星を積み上げたときも、斎藤佑樹は「来年は25勝します」と対抗して宣言。負けたくないという、野球選手としてのあるべき姿があった。現在は、そういった現役時の緊張感がなくなったからか、番組内での彼のコメントはどれも肩の力が抜けていた。「ハンカチ王子」と呼ばれ続けたことへの違和感、野球選手として見てほしかったという気持ちを吐露する場面も、視聴者的には素直に頷けた。

あと、行く先々で喜ばれたり、驚かれたりするところもバラエティ番組には向いているのではないか。

「ハンカチ王子」という肩書きが広がった要因も、野球選手としての実力があってのこと。学生時代、日本中を何度も感動させたからこそ、斎藤佑樹は国民的なスターとなった。アスパラ王子も、彼が登場したとき「本当の王子が来た。撃ち抜かれた。テンションが上がっています」と声を弾ませ、その兄弟たちも「うわー!」と目を丸くした。

プロ時代は怪我による不振で苦しんだが、それでも斎藤佑樹が野球を通して日本中に与えたものはやはり大きかった。その輝きは何年経っても色褪せない。どれだけテレビに出ているタレントでもなかなか一般に認知されないなか、問答無用に歓迎されるのは斎藤佑樹の強みである。

『笑ってコラえて!』のレギュラーコーナーに

YouTube『侍ジャパンチャンネル』の4月8日配信回で、斎藤佑樹は今後について「野球界に対して自分が考えていた課題と向き合っていきたい。怪我が多かったから体と向き合える環境であったり、東京ではキャッチボールができる場所が限られているのでそんな場所を作ったり。企業などと組んでやっていきたい」と展望を語っていた。

所ジョージが「良いコーナーができた」と話していたことから、同コーナーはレギュラー化しそうな感じだが、斎藤佑樹にとって全国をめぐるこのロケは、自分の目標を実現させる良いきっかけ作りにもなるかもしれない。

芸能ライター

大阪を拠点に芸能ライターとして活動。お笑い、テレビ、映像、音楽、アイドル、書籍などについて独自視点で取材&考察の記事を書いています。主な執筆メディアは、Yahoo!ニュース、Lmaga.jp、Real Sound、Surfvote、SPICE、ぴあ関西版、サイゾー、gooランキング、文春オンライン、週刊新潮、週刊女性PRIME、ほか。ご依頼は yuuking_3@yahoo.co.jp

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