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アカデミー賞で日本作品が大健闘 時代を動かした『ゴジラ-1.0』 宮崎駿監督は貫禄の2度目オスカー

武井保之ライター, 編集者
日本映画界の快挙、アカデミー賞視覚効果賞を受賞(C)アフロ

『ゴジラ-1.0』が「第96回アカデミー賞」視覚効果賞を受賞。日本映画として、アジア映画として初の歴史的快挙となった。まさに時代が動いた瞬間になった。

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授賞式のステージでオスカーを手にした山崎貴は、受賞への思いを熱く語った。

「40年前にハリウッドから遠く離れた場所でキャリアをスタートし、このステージに立つことができるとは思ってもいませんでした。

ノミネーションを受けたときは(伝説のボクシング映画『ロッキー』の主人公)ロッキー・バルボアの気持ちでした。これからリングに上がって強敵と対戦しなくてはいけないと(笑)。

『ゴジラ-1.0』の受賞は、ハリウッドではない場所でがんばっているアーティストのみなさんをハリウッドはちゃんと見てくれている、誰にでもチャンスがあるという証だと思います」

「第96回アカデミー賞」視覚効果賞を受賞した『ゴジラ-1.0』の山崎貴監督(C)Getty Images
「第96回アカデミー賞」視覚効果賞を受賞した『ゴジラ-1.0』の山崎貴監督(C)Getty Images

『ゴジラ-1.0』は、邦画実写史上最大規模となる2600館以上で北米公開され、最終興収は5641万ドル(現在の為替レートで約84億円)の大ヒット(2月1日で北米公開終了)。北米興収で歴代邦画実写1位、アジア実写映画1位、外国語実写映画3位となる記録的ヒットとなっていた。

(関連記事:庵野秀明『シン・ゴジラ』と山崎貴『ゴジラ-1.0』の決定的な違い

世界の注目と尊敬を集める宮崎駿監督が2度目のオスカー

宮崎駿監督の『君たちはどう生きるか』は長編アニメーション映画部門賞を受賞した。宮崎監督作品としては、日本作品で初めての受賞となった『千と千尋の神隠し』以来21年ぶり。

最有力と言われていたエンターテインメント大作アニメーション『スパイダーマン アクロス・ザ・スパイダーバース』を退けて、世界的な注目と敬意を集める日本のアニメーション作家の貫禄の2度目の栄誉となった。

本作は宮崎監督が原作・脚本を務めたオリジナルストーリー。2013年公開の『風立ちぬ』以来10年ぶりの長編作品。これまでに『第81回ゴールデングローブ賞』で日本作品初のアニメーション映画賞、『第51回アニー賞』キャラクターアニメーション賞(長編)と絵コンテ賞(長編)、『第77回英国アカデミー賞』アニメーション賞を受賞している。

なお、国際長編映画賞にノミネートされていたヴィム・ヴェンダース監督、役所広司主演『PERFECT DAYS』は惜しくも受賞を逃した。

受賞した『関心領域』は、第二次世界大戦中を舞台にアウシュビッツ強制収容所の隣で平和な生活を送る一家を映し出す。現在の紛争と日常が隣り合わせの世界へのメッセージを込めている。

(「第96回アカデミー賞授賞式」WOWOWにて放送・配信中)

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ライター, 編集者

音楽ビジネス週刊誌、芸能ニュースWEBメディア、米映画専門紙日本版WEBメディア、通信ネットワーク専門誌などの編集者を経てフリーランスの編集者、ライターとして活動中。映画、テレビ、音楽、お笑い、エンタメビジネスを中心にエンタテインメントシーンのトレンドを取材、分析、執筆する。takeiy@ymail.ne.jp

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