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誰がための「カジノ反対」か?

木曽崇国際カジノ研究所・所長

最近、私のYouTubeチャンネル側の企画で「100人に聞いてみた」というミニ調査企画を開始しているのですが、これが非常に学びが深い。今回の「日本人のギャンブルに対する姿勢」調査は非常に興味深かったです。以下、私のYouTubeチャンネルの該当動画。

今回のミニ調査の結果によると、全体の中で自分がギャンブルすることを許容する人は39%。これは、家族に対して許容する人の比率である40%とほぼ同等であり、原則的に自分がギャンブルをしない人は家族にも同じスタンスを求めている事が判りました。一方で、家族ではない友人や知人がギャンブルすることに対しては全体の64%がそれを許容しており、アカの他人がギャンブルする事に対しては全体の75%の人が「許せる」と回答しています。

ギャンブルに対する許容度

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要は、世の中の大多数の人は自分および家族以外の人間がギャンブルをすること自体は選択の自由であると考えているという事が見えてくるワケですが、だとすると現在全国で激烈に進められているカジノ導入反対運動は誰が、どこの層の人達の意見を代表しているつもりでそれを煽ってるのだろうかなあ、と思うわけです。

逆に、我々推進派側に未だ説明不足な部分があるのだろうなと思うのは、我が国のカジノは自分および、自分の家族を「カジノ事業者側に入場させない様にする仕組み(=自己排除、家族排除プログラム)」の導入が、2018年に成立したIR整備法で義務付けられており、少なくとも今日本に存在するあらゆる賭博業と比べて安全性の高い制度設計となっています。にも関わらず、カジノ反対派には「いまあるギャンブルはさておき」などという意味不明な前置きでカジノ導入だけをターゲットとして反対運動を展開している人が多数いるわけで、その辺は我々としてもまだまだ市民への周知努力が足りない部分があるのだろうなあ、と改めて思った所であります。

また、横浜あたりではどこぞの建築家がIRによる都市開発は「20世紀で破綻」したなどと主張しながら、横浜市が指定しているIR整備区域に対してカジノなしの開発構想を発表したなどという報道がなされていますが;

【参照】横浜IR、カジノなき構想を 建築家ら「20世紀で破綻」

https://www.kanaloco.jp/article/entry-406535.html

そもそもIR、すなわち「統合型リゾート」という用語が生まれ、それを都市政策として取り込もうとする発想が生まれたこと自体が2005年前後、シンガポールによるIR導入計画以降のことですから、そもそも「20世紀に破綻」どころか、その頃にはまだ生まれていません。建築家としてご自身の専門性の中で何を発表して頂くのも構わんと思うのですが、自分の知らんことをあたかも知ってるかの如く標榜すると恥かきますよ、とだけ申し上げておきたいと思います。あの種のモノは、一体、誰がための「反対」なんでしょうね。

国際カジノ研究所・所長

日本で数少ないカジノの専門研究者。ネバダ大学ラスベガス校ホテル経営学部卒(カジノ経営学専攻)。米国大手カジノ事業者グループでの内部監査職を経て、帰国。2004年、エンタテインメントビジネス総合研究所へ入社し、翌2005年には早稲田大学アミューズメント総合研究所へ一部出向。2011年に国際カジノ研究所を設立し、所長へ就任。9月26日に新刊「日本版カジノのすべて」を発売。

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