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今危機に直面するライブハウス等を救いたい!…のだが

木曽崇国際カジノ研究所・所長
(写真:アフロ)

以下の様な報道がなされました。以下NHKからの転載。

ライブハウス 国に損失補償など求め30万人余の署名提出へ

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200331/k10012360051000.html

新型コロナウイルスの感染拡大防止のため公演の中止などの影響が相次ぐライブハウスなどの関係者が、国に損失の補償などを求める30万人余りの署名を集め、今後、与野党の国会議員などに提出することになりました。この署名はライブハウスの代表者などが発起人となって今月27日に始めた活動で、坂本龍一さんなど多くのアーティストが賛同人となっています。

僕はナイトタイムエコノミー側の人間ですし、当然ライブハウスも救いたい。上記の署名活動は初期の頃から認知しており、当然、いち市民として署名も行いました。一方で、実はこの署名に関しては、特に賛同人の筆頭格として呼びかけを行った坂本龍一さんの過去発言などを巡ってこんな事も言われ始めています。

【参考】「たかが電気のために」⇒「たかがライブハウスのために」坂本龍一が投げたブーメランが8年後に音楽業界に帰ってくる

https://togetter.com/li/1488246

繰り返しますが、僕はこの活動を支持し、また自身も署名する立場ではあるのですが、上記の様なことが言われてしまうのは仕方ないなとも思うワケで、何で坂本龍一さんは「あんなこと」を言っちゃったんでしょうかね。彼が、東日本大震災後に起こった各種論争の中で発した以下の様な言葉は非常に有名になりました。

坂本龍一(2012/7/6):「命あっての経済なんで、命を蔑ろにする経済は、間違っているんですね」

私自身は坂本龍一さんほど声は大きくはないものの、一定程度の発信力のある業界人としてこれまでアチコチで音楽イベントのみに限らず、イベント業全体の危機を伝えて来ました。例えば、以下の私のYouTubeチャンネルの動画。

当然ながらそのコメント欄は賛否で溢れかえるワケですが、例えば批判者による典型的な意見っちゅうのがこういうものだったりするんですね。以下、上記動画のコメント欄より引用。

命より、重い物があるのですね。理屈では計れない経済影響のほうが 命より重いって考え方の人達が沢山いるのですね。人間って悲しいですね!どんな状況になっても少しの食料と電気とガスと水が有れば、しばらくは生きていけるのでは無いのでしょうか?

(出所:https://www.youtube.com/watch?v=HOKk5hIdEqQ&feature=emb_logo

まさに過去の坂本龍一論法ですね。返す返す、なんで坂本龍一さんは、過去にあんな発言しちゃったのかなあ、と。

で、私思うんですが、今の各イベント業者に対する営業自粛と補償の論議というのは実はまだこのテーマの論議としては「入口」でしかなくて、本当に大変なことになるのはこれから数か月後、自粛解除を巡る論議になると思うのです。当然ながらどこかのタイミングで政府は、今出している自粛の解除を行うワケですが、今度は自粛解除の時期を巡って必ず「安全」と「安心」を巡る論争が始まるわけですね。「何を根拠に自粛を解除するんだ/それでまたコロナ拡散が始まったらどうする」と。

そうなった時に、東日本大震災の時に「安全より安心を」論法で「放射能がー、線量がー」って延々と福島の風評被害を煽っていた人達(残念ながら今回の「ライブハウスを救え」の支持層とかなり被ってしまってる)は、またブーメランとか言われてしまうんでしょうね、と。何度でも言いますが、なんで坂本龍一さんは、過去にあんな発言しちゃったのでしょうかねえ。。

国際カジノ研究所・所長

日本で数少ないカジノの専門研究者。ネバダ大学ラスベガス校ホテル経営学部卒(カジノ経営学専攻)。米国大手カジノ事業者グループでの内部監査職を経て、帰国。2004年、エンタテインメントビジネス総合研究所へ入社し、翌2005年には早稲田大学アミューズメント総合研究所へ一部出向。2011年に国際カジノ研究所を設立し、所長へ就任。9月26日に新刊「日本版カジノのすべて」を発売。

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