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イオングループが健康マージャンの普及でプロ連盟と業務提携…ところが!?

木曽崇国際カジノ研究所・所長
(写真:アフロ)

私自身も長らく業界誌にコラム連載をさせて頂くなど、ずっと業界と関係してきた身ではありますが、いよいよマージャン界も陽の目を見る日が来たのでしょうか。以下、麻雀新聞からの転載。

日本プロ麻雀連盟とイオンファンタジーが業務提携!

https://majan.co.jp/tonikkyoku/

2017年11月13日に、雀荘業界を揺るがすような一大ニュースが発表された。それは、日本に存在するプロ麻雀団体である、「日本プロ麻雀連盟」と、イオン株式会社の子会社である、「イオンファンタジー」が、健康麻雀の普及に向け、業務提携を結んだ、というものだ。

日本プロ麻雀連盟は、麻雀ファンたちの間では言わずと知れた麻雀界の重鎮であり、多くのプロ雀士の所属する団体だ。一方、イオンファンタジーはイオングループに所属する、主として、児童向け遊戯施設を運営する企業だが、シニア層向けにも事業展開を行っている。

実は、イオングループは高齢者向けの「朝活」の一環としてここのところ健康マージャンの普及活動を行っており、閑散期となる朝に高齢者を店舗へ呼び込むことにより売上も増加したなどという報道もなされていました。以下、2016年12月の日刊スポーツからの引用。(記事内にマージャンの記述はないですが、以下事業にはマージャンも含まれています

イオン葛西店「朝活」2時間前倒しで売り上げ3割増

https://www.nikkansports.com/general/nikkan/news/1755045.html

東京の下町、江戸川区葛西の高齢者が「朝活」で元気いっぱいだ。イオン葛西店が今月9日から1、4階一部の開店時間を2時間繰り上げた。従来の午前9時から早朝7時に前倒しして開店すると、高齢者の客が急増した。無料参加できる体操や囲碁、将棋などを楽しみ、仲間とカフェで朝食をとるサービスがヒット。店の売り上げは前年同期比で30%増えた。外食チェーンが深夜営業から手を引く中で、シニア向けの早朝営業が注目されそうだ。

ちなみに健康マージャンというのは「賭けない/飲まない/吸わない」を標語として全国的に普及運動が行われている、新しいマージャンの潮流(とはいえ、既に数十年の歴史はあるが)でありまして、近年では高齢者向けの認知症予防対策などとしても注目され、厚生労働省が主催する全国健康福祉祭(ねんりんピック)の公式競技としても採用が行われているものです。

その普及と、店舗の閑散期への顧客誘引を関連付けたイオンさんは「さすが」というべきではありますが、一方で業界事情をそれなりに知っている人間からすると…。今回、イオングループが提携を行った日本プロ麻雀連盟というのは、確かにマージャン業界最大かつ最も伝統のある競技者団体の一つではあるのですが、一方で健康マージャンなどの新しい潮流からは最も遠い存在でありまして(何もしていないとは言わないが…)、例えばかつては同じくプロ連盟と提携をしている大手事業者・コナミ社との間ではこんな事案もあったなんて話が広く流布されている位であります。

【ニュース】コナミ、日本プロ麻雀連盟へ賭博行為の自粛要請?

https://matome.naver.jp/odai/2150261171303340101

健康マージャンに関しては、その普及拡大に対してもっと尽力をしてきた主体は全く別のところにあるわけで、おそらく今回のイオングループとプロ連盟との連携の報道に関しては、業界に近しい人で有れば有るほど同じプロ団体と提携するにしても「そこじゃねぇだろ」とツッコミたい気持ちで一杯になっているのではないでしょうか? 以下はリンク先をご参考までに。

日本健康麻将協会のご案内 ー健康麻将とその歴史

http://www.kenko-mahjong.com/news/report/pamphlet.pdf

麻将連合μについて

https://mu-mahjong.jp/info/#sec1

国際カジノ研究所・所長

日本で数少ないカジノの専門研究者。ネバダ大学ラスベガス校ホテル経営学部卒(カジノ経営学専攻)。米国大手カジノ事業者グループでの内部監査職を経て、帰国。2004年、エンタテインメントビジネス総合研究所へ入社し、翌2005年には早稲田大学アミューズメント総合研究所へ一部出向。2011年に国際カジノ研究所を設立し、所長へ就任。9月26日に新刊「日本版カジノのすべて」を発売。

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