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この1年の「カジノ有力地」報道の変遷

木曽崇国際カジノ研究所・所長

なんだか、私の専門の範疇で大きな報道が続いていて、連続投稿になってしまい申し訳ございません。以下のようなショウモない話が、またも報じられることとなりました。以下、読売新聞からの転載。

カジノ候補地、横浜市と大阪市に…政府方針

http://www.yomiuri.co.jp/politics/20150218-OYT1T50154.html

政府は、カジノを中核とした統合型リゾート(IR)について、2020年の東京五輪・パラリンピックまでに横浜市と大阪市の2か所で開業を目指す方針を固めた。IRの候補地には、全国20か所以上が名乗りを上げてきたが、五輪までに開業できるのは、再開発計画などで適地のある横浜と大阪と判断した。

ではここで、ここ1年くらいの間に国内で報じられたカジノ有力地報道の変遷をご紹介してみましょう。

●2013年12月:

フジテレビ連合、現実味増す一大お台場カジノ構想推進の舞台裏〜巨大ホテル、災害避難所も

●2014年3月:

ここにきて暗雲立ち込めるお台場カジノ構想とフジテレビの現在

●2014年10月:

独自 大阪カジノ"内定"へ

同10月:

カジノ第1号候補に大阪市、沖縄県、横浜市 政府案が判明

●2014年12月

沖縄県のカジノ検討中止 知事公約で転換

● 2015年2月【NEW!】

カジノ候補地、横浜市と大阪市に…政府方針←イマココ

こういう報道が継続的に出てくるという事は、国側にいる「誰か」がこの種のショウモない「絵」を必死で描いているということなのでしょうが、今年2月に東京都知事が舛添氏に代わるまで「お台場が最有力」と多くのメディアが報じ、今年の12月に沖縄県知事が扇長氏に代わるまで「沖縄が第一号候補」と報じられていた現状を考えると、この種の予見報道がなんともショウモないというか何というか。。

以前も似たような報道がなされた時に同様の解説をしたものと思いますが、この種のカジノ誘致というのは地域側の要望が前提にあるものであって、本来的に国が地域を決め打ちして進めるモノではありません。特に、今年は統一地方選挙の年で、全国各自治体の政治状況が一気に変わる刷新される年でもあります。大阪も神奈川も、今年首長選で東京や沖縄で起こったような「どんでん返し」は、容易に起こり得ます。

そんな中で、こういう報道がなされてしまう事自体が、裏で「絵」を描いている人達の思惑も含めて、非常に問題が多いと言えましょう。

国際カジノ研究所・所長

日本で数少ないカジノの専門研究者。ネバダ大学ラスベガス校ホテル経営学部卒(カジノ経営学専攻)。米国大手カジノ事業者グループでの内部監査職を経て、帰国。2004年、エンタテインメントビジネス総合研究所へ入社し、翌2005年には早稲田大学アミューズメント総合研究所へ一部出向。2011年に国際カジノ研究所を設立し、所長へ就任。9月26日に新刊「日本版カジノのすべて」を発売。

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